桃の紅茶と金色のドラゴンの話
「レティシア。よく眠れた?」
食事のテーブルについているフェリス様は、
相変わらず金髪が朝の光を受けてきらきらと輝いていらっしゃる。
はっ!!
家の中に推しがいるのって、もしかしてとっても贅沢なのでは…!!
「はい。フェリス様の魔法のおかげです、ありがとうございました」
「………、………」
何故か赤面してしまわれた。
何故だろう?
「レティシア様。本日の朝の紅茶は、桃の紅茶でございます」
「ありがとう。いい匂い」
レティシアの目の前で、給仕の者がティーポットから注いでくれて、桃の甘い匂いが立ち昇る。
うん。
香で言うなら、昨日の、いちごの紅茶より桃の紅茶ほうが好きかもー。
どれも美味しいけど。
「フェリス様。レティシア様は、昨夜、竜の夢をご覧になったそうですよ」
春キャベツとあさりのスープが運ばれてくるなか、サキが嬉しそうにフェリスに報告する。
「……竜の夢? どんな?」
「私が森で泣いてたら、金色の子供のドラゴンが慰めてくれて」
早くフェリス様にドラゴンの夢の話をしたかったのに、いざ話そうとすると、何だか恥ずかしい。
何でだろう?
「子供のドラゴン」
フェリス様が繰り返す。何か考える風で。
「はい。ちいさな、可愛いドラゴンでした」
「…子供には化けないか」
ぼそっとフェリス様が言ってる。何のこと?
「優しい竜がいちごをくれて、背中に乗せて私を城まで送ってくれました」
「背中に? 夢の中でドラゴンに乗ったの?」
「はい! 絶景でした! 上から見下ろした街の景色が」
空を飛ぶときの、風の感触。ドラゴンの背中の感触。
「レティシアは怖くなかったの? ドラゴンのこと?」
わあ。フェリス様、極上の微笑み。
夢のお話聞いて、こんなに優しく微笑ってくれるなんて、フェリス様もドラゴン大好きなのかなー。
御先祖でもあるし、きっと大好きなんだよね。
「ちっとも!」
「ドラゴンて、女性が好きなもふもふの毛皮ではないけど……」
そもそもフェリス様が、もふもふという言葉を知ってることにびっくりです。
「鱗が金色に光ってて、凄く可愛くて、綺麗でした」
何故か、自分のことのように、自慢げに語ってしまう私。
「なんとなく……フェリス様に似てました。優しい気配が」
これを言おうか言うまいか悩んだ末に言ってみる。
「僕? 僕がドラゴンなら、確かにレティシアを乗せて飛んであげたいね。
それは凄く楽しそうだけどな……」
空を自由に飛べることに憧れるように、フェリス様が言う。
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