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10万部突破【書籍④巻&COMIC②巻発売中】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


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君の眠りを、守る者になるよ


「……ん……、」


遠方から来た心細いであろう姫君の気持ちが安らぐ内装に、

と整えさせたレティシアの部屋だが、

果たしてこれで正解なのかは、フェリスにはわからない。


記憶にあるフェリスの子供時代の部屋は、

うず高く積まれた本と、謎の科学と魔法の道具だらけで、これまた参考にならぬと思う。


「……ん、…い、や……」


フェリスが食事にあまり興味がないと言ったら、

ごはんはちゃんと食べてくれ、とレティシアに泣かれてしまった。


フェリスの食事事情どうこうより、

いろんな悲しいことを思い出させてしまったんだと思うのだが。


あの頃のフェリスにそっくりの、親を亡くした、居場所のない小さな子供。


「……ん……」


フェリスが、レティシアの額を撫でると、安心したような顔色になった。


「夢魔よ、疾く去れ。我が花嫁を、我に還せ」


レティシアに何をどうしてあげたらいいのか、的な難題に比べると、

フェリスにとって魔法は大変扱いやすい。


昔から、気心の知れた友人のように。


人の心の複雑さに比べたら、フェリスにとっては、魔法の呪文のほうがよほど読み解きやすい。


「……フェリス、さま……? ……わた、し……?」


レティシアが瞳を開くと、安心した。


レティシアが受けた魔法授業は初歩も初歩で、

高度で危険な呪文とは縁がないと知ってはいるが、

それでも稀に、魔術習得中に、身体や心の一部、あるいはすべてを失う者がいる。


魔法にむいてない者より、魔法にむいている者のほうが、事故は起こりやすい。


「魔法の授業で気を失ったそうだ。

 レティシアは慣れていないから、身体がびっくりしたんだろう」


「まあ…。マーロウ先生や、皆様に、ご心配を…かけてしまいました」


驚いて、レティシアは身体を起こそうとしている。


「寝てていいよ」


とはいえ、寝たまま、フェリスと話すのも落ち着かないらしい。


それはフェリスがレティシアの立場だとしても、そうだと思う……。


「いえ。何処も痛くないんです」


「何の実践をやってたの?」


「火球と水球を作ろうとしてて…」


「ああ。物質の構成に触れるのか…」


フェリスは、空間に、マーロウ師の手紙を浮かべてみる。


レティシア姫は魔法の素質があること、

レティシア姫も興味があるようなので、魔法の授業は増やしてはどうか、との進言。

そして、魔法省の者は、常にフェリス殿下の訪れを楽しみにお待ちしている、との結び。


「マーロウ師が、レティシアには素質があるって書いてる」


「マーロウ先生お優しい……初日から倒れてては、魔法使いの初級弟子、落第です」


赤くなって困っているレティシアが可愛い。


レティシアに魔法の素質があるのは、マーロウのお世辞ではなくて、ホントなんだけどな。

レティシア本人が気づいてないだけで。

レーヴェの御墨付きだし。


「そんなことはないよ。魔法の授業、レティシアが楽しいようなら、増やすけど、

 歴史や行儀作法の授業よりは危険もあることだから、無理はしないって約束して欲しいな」


あぶないことしないでください、

いくら魔法学が得意だからって、無茶はダメです、フェリス様!!


とレイやサキからずっと叱られる役だったので、

こんなことをレティシアに言ってると、ちょっと大人になったような気分だ。


「好き」「趣味似てるかも」「面白いかも」「続き気になる」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。

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