似たもの同士
「私の方こそ、本国では、居場所のない身の上です。殿下のおかげで、こちらに呼んで頂けましたが…」
なんと。
あのやっかい者の姫様がディアナ王家に輿入れとは。
変人の王弟殿下とはいえ、ずいぶんな玉の輿ではないか?
と嘲笑していた大臣がいた。
確かに、変人だろうと何だろうと、大陸一の王国の王弟殿下の花嫁になりたい妙齢の姫君はあまたいるだろう。
しかも、フェリス本人に会ってみると、噂より、ずっと美男だし、優し気な方だ。
レティシアにしてみると、相手が八十歳の老人だろうと、話がまったく通じない男だろうと、本国でこの結婚に拒否権などなかったので、美貌もさることながら、フェリスが少しは話が通じそうな人なのがありがたい。
「では、私たちは似たもの同士だな」
「え?」
「生まれた場所に、居場所がないというところが」
「殿下…」
「フェリスだよ。臣下ではないのだから、ちゃんと名前で呼んで、レティシア」
「フェリス…様」
「様もいらないよ」
「いえ、それは、ちょっと……」
逆に呼びにくい。
「私たちが二人で決めたことじゃないとはいえ、あなたは私の正妃なんだから、私に何も遠慮することはないよ」
「フェリス様、不思議な方ですね」
「変わってるとはよく言われる。…でも、姫も、ちょっと不思議な感じがするな」
「そ、そうでしょうか」
ドキリとする。
何もかも見透かされそうな、透き通った青い瞳に見つめられて。
「うん。なんだか、姫くらいの歳の子と話してる感じじゃないな。大人と話してるみたいだ」
わあ。
鋭い。
背の高い立派な青年なのに、猫っぽいというか…、犬っぽいというか…、金色の美しい甘えたな獣のような人だなあ。
人がましくないというか……。
仲良しの大型犬に似ている…。
「好き」「趣味似てるかも」「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。




