婿君について尋ねてみる
「ちいさい姫といえど、きっと、私の悪評は聞いておろう?
私の妃では、この宮廷ではあまり楽しく過ごせぬかもしれぬが…」
フェリスが、レティシアの小さな手をとる。
「……あの」
「ん?」
聞きにくい。
でも、気になる。
「どうぞ、何でも遠慮なくご質問を。姫?」
遠慮して言い淀んでいたものの、フェリスに促される。
「どうして、フェリス様は悪く言われるのですか」
「うーん。どうしてだろうね」
困ったように、彼は笑った。
「私としては、邪魔にならぬように、気を付けているつもりなのだが…、何だろう、ただそこに居るだけで目障りな男なのかも知れない」
現ディアナ国王マリウス陛下は、フェリス様より十歳年上の二十七歳。
フェリス様とは母親の違う異母兄弟だ。
「そんなことないです。フェリス様は目障りじゃないです」
謙遜? だとは思うのだが、思わずぶんぶん首を振って、真面目に否定してしまった。
悪い言霊になってはいけない。
ちゃんと否定しておかなくては。
この国に、言霊の概念があるのかは謎だが。
「……ありがとう。レティシア」
ちょっと眩しそうに、嬉しそうに、フェリスが笑った。
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