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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第689話 √7-22 『ユキ視点』『五月二十八日』




『――これでもう、完全に二人は恋人だからっ』

『…………ん』

『んっ……これは嘘をついてない味。うむ正直でよろしい、じゃあ練習しよっか』


 というのが私にとってここ数日間での”主な”ユウジとのキスだった。

 もっとも登校時のキスはおでこにチューだけど、それはそれで良かったけど。

 そう、挙げたのはあくまで主なシーン選択であって、まぁえっとその合間合間にもちょくちょく……ね?


「はっ…………私ってもしかしてキス魔みたいになってる!?」


 思い返してみればすべて自分から求めるか、不意打ち気味に食らわせる一方だったかもしれない。

 そして数日間で、ギリギリ両手で数えきれるぐらいしてたりして……。


「もしかしてえっちなのは私なのでは……」


 ……で、でもね!

 別にキスが気持ちいいからしてるんじゃないんだよ!

 いや確かにね、気持ちよくない……わけじゃないし、でもまだ深くはしてないからそこまでじゃないと思う!

 キスすると、なんかユウジの身体の奥に触れられる気がして、それを触れられるのが”この世界では”たった一人私だけっていうのは良いなあって思うのは確かなんだよ。

 そしたら、ああ私とユウジは恋人なんだなぁって実感出来て安心して嬉しいんだよね。


「いや、そうじゃない……はず」


 だからきっと裏を返すとまだ私に不安はまだあって、こんな行為でもユウジと私が結びつけられていることが保険になっていると思える節がどこかにはあって。

 記憶の中で、ここまでユウジと早く結ばれたであろう女の子はいないはず……と思う。

 いくらこれまでのことをすべて覚えている私でも、知らないことは分からないし、プライベートなことだからユウジと他の女の子のこれまでの恋愛事情をすべて知る由もない。

 けれど、まあ傍から見てて「ああ、付き合ってるなぁ」とか「これは関係進んだっぽいなぁ」とか察することは出来るわけで。

 それを鑑みれば入学から二ヶ月経たずに交際に至るのは、まったくもってイレギュラーなのだと思う。

 きっと私もこれまでのように、これまでの世界を忘れることが出来ていたのなら、私はもっと後にユウジへの恋心を自覚して考え抜いた末に告白をしていたはずで。

 それが私の記憶の中にあるユウジとマイが付き合った世界、その世界でも私はユウジに恋をしていて、そして告白をして、そして振られた。

 振られたヤケクソで髪も切って、なんかユイに恋愛を切り替えていた気がするけど、あの時の私はどうかしていたのでノーカウントで……。


「怖かったんだよね、ふとしたことで関係が戻ってしまうのが……それとも無くなってしまうのが」


 そんな記憶があるからこそ、同じタイミングで告白してしまえばユウジに振られてしまう未来を”知っている”私としては、怖かったんだと思う。

 だからあまりにも変な行動を以てしてもユウジと付き合いたかった、直前にあったユウジと他の女の子のえっちな出来事も面白くなかったけど、面白くない以前に不安があって、それで焦ってしまった。

 それから紆余曲折……と文字で表現するほど拗れてはいなかったし、文脈で察せられそうな期間もなかったけど。

 マイとの友人関係が進む一方でマイがライバルにもなり、決心がついたことでいよいよユウジと本格的に付き合いだすようになった。

 そんな私は舞い上がったのと、不安とで、ユウジにキスを迫るようになってしまった――んだからね!


「だから……別にそこまで私はえっちじゃないんだからね!」


 という誰に出来るわけでもない言い訳を自室でする私、そう私は至って普通!

 この心の内の不安が解消される、いよいよ完全にめでたく完璧にこれまでになく究極的にユウジと深い関係になれた時が私のキス魔の卒業!

 そう、主に私が告白した文化祭までは仕方ないんだよ、うんうん。

 それまでは、だから仕方ないよね――


 

五月二十八日



 体育祭までおおよそ二週間。

 ユウジとの関係は着実に進んで……はいなかったり。


 というのは、再告白からのキスをしてしまったばっかりにむしろ付き合い始めを考えると進み過ぎてしまっていると思う。

 そうは言っても進展がないのをもどかしく思うのは確かで。

 だからちょっと、変化が欲しいなぁと思う気持ちがあって――



 お昼時、基本的に私たちは机を数個集めてから自分の椅子を持ってきて弁当を広げていることが多い。

 たまに学食で別れたり、ほかの友人とご飯を食べる時以外はだけどね。

 思えばユウジと付き合い始める前後から友人付き合いが悪くなってる気がする、他クラスだから仕方ないとはいえあからさまなのは良くないよね……反省しないと。


 ユウジの席を中心にして、どうしてか最近はユウジを私とマイが挟み込む恰好になってるんだけど……マイも割と攻めてくるよね。

 マイはおそらく私とユウジが付き合っていることは悟っているんだろうけども、ライバル宣言するあたり諦めるつもりは無さそうだし。

 気を抜いたら”私のユウジ”を取られる覚悟で私もいる、それだけに強敵と書いて友と読むのがマイだ……自分で言ってて良く分かんなくなってきた。


「そういえばユウジ様の今日、というより金曜日のお弁当はいつも雰囲気が似ていますね。何かあるのですか?」

「あ、やっぱそういうの分かるのか。今日金曜は俺の弁当当番でな」


 そうだったの!?

 いつも月・水・金は弁当持ってきて、それ以外はコンビニ弁当だったりおにぎり・パンだったり学食だったりな印象しかなかったよ。

 まさか弁当当番が違うなんて……ちらっと横目に見るとユイの弁当の彩りも大体同じ、というのもユイがユウジと一緒に住んでいるというのは割と皆に周知されているので問題は……ないのかな、ないといいな。

 ユイがユウジと付き合っていたことも覚えてるんだけど、いやいやこの世界ではまさかね、ユイも別にアクション起こしている様子はないし……ないよね?

 どうしよう、なんか不安になってきた。


「献立の中で肉料理の割合が多い気がします」

「あー、そういうとこかー。栄養価とか見栄えとか多少気にしてるけど、やっぱ自分の好きな献立入れちゃうもんだしなー」


 確かに野菜で彩りのバランスも取っているように見えがちだけど、肉野菜炒めにソーセージとからあげが各々少ない量ながらも同居している。

 とはいってもどれも美味しそうなんだけど……今更だけどユウジが金曜日は作ってたんだ、彼女なのに知らない私とは一体。


「私の考えでは月曜と水曜もそれぞれ別人が作っているように思えました、どうでしょう」

「いい質問ですね」


 なんでユウジ池上○先生風に言ったんだろう、というのは置いておくとして。

 そっか、月曜水曜は別人が……そう、言われればなんとなく思い返すことで違いが分かるのは確かで。

 とはいっても言われないと分からないなんて……私は記憶力が良いといってもこの様だ、私がすべてを覚えていたとしても、自分で考えて事柄を結び付けなければ無意味なんだよね。


「月曜が姉貴で水曜がホニさんでな、いやー二人には敵わない」

「月曜がお姉様で、水曜がホニさんですか……なるほど参考になります」


 私の主観だと月曜のお弁当は総じて出来がいい、料理の色つやからおかずの配置に盛り付けかに至るまでがとにかく綺麗、毎週に渡って献立が代わり、飽きさせない工夫も完璧……さすがミナお姉さんである。

 更に水曜のお弁当は全体的に和風テイスト、とはいってもこれまでの世界を比較すると最近は洋風テイストも取り込むようになってきた印象、そして和食はミナお姉さんに匹敵するレベルで多分完璧だと思う。

 なるほど、これはユウジにとって強敵だ…………って私にはもっと強敵じゃん!?


「でもこのから揚げにこだわりを感じます。ここは私のからあげと交換頂けますか」

「おう、いいぞ」

「!?」


 新情報目白押しなせいで完全にマイに後れを取ってしまった、私の完全な戦略ミス!

 そうマイのここまでのユウジとの会話はこうした”おかず交換”への布石だったんだ!

 そして話の流れ的にまったくおかしくない、友人間のおかず交換なら普通、マイがよく言う友人の大義名分にそれが難なく出来てしまう!

 油断をするとマイが攻めてくるなんて、くぅ侮れない……彼女だからと余裕を感じている場合じゃなかった!


 ……そうは言っても彼女の目の前で他の女の子とおかず交換しないでよ! 

 ユウジのばかあ!


 と内心吠えているだけで私は完全にフリーズしてしまって、そのままおかず交換を見届ける形に。

 惨めすぎる……無力感に苛まれる私。


「美味しいですね。しょうがが効いているのと濃いめの味付ではっきりしているので、冷めても美味しいと思います」

「マイのもこれ美味いな……醤油ベースの竜田揚げか、他の具材の水分を吸い過ぎていない心遣いもいいな」


 二人とも語り合っている、そしてなんか楽しそうだし盛り上がってるし!

 完全に私が話題に入るタイミングを逸してしまった……とはいっても、ここで変に割り込んで空気を悪くしたくはないし、今だけは私も身を引くことにする!


 それにしても……これは私も今後はお弁当に気合を入れなければ! 

 そうでないと――ここから先生き残れない!


 そう弁当にいつも以上に気合を入れることを心に決めたのだった(二人の会話を邪魔する勇気もなく、ぐぬぬと唸りながら弁当を食べながら今日の昼食が終わる)。


未来のとある場所にて

ユウジ「そういえば二人って料理出来るんだっけか」

マナカ「私暇だったので料理の腕磨いてましたから、多分下野君並には出来ます」

アイシア「カップ焼きそばのお湯捨ての見極めなら任せてほしい」

ユウジ「そうか、嵩鳥の料理食ってみたいな」

マナカ「いいですよ、ではその内に」

アイシア「ユーさん私のカップ焼きそばはー?」

ユウジ「ということで適当に調理室で弁当作ってきたから二人とも食べてくれ」

マナカ「ということでという意味が分かりませんがありがたくご相伴にあずかります」

アイシア「やったーユーさんのお弁当!」

ユウジ「どうだ?」

マナカ「……私の嫁になってください下之君」

アイシア「私に一生味噌汁作ってユーさん!」

ユウジ「意味はなんとなく分かるが俺は嫁じゃないし味噌汁は作ってないし一生はちょっと」

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