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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十四章 神楽坂ミナの暴走!
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第423話 √b-8 神楽坂ミナの暴走!

 


「あ、ユウくーん!」


 生徒会での一大決心から戻ってくると教室でまず出迎えたのは座ったまま手を振る神楽坂ミナだった。


「ただいまーっす」


 と、俺も手を振り返しながら”いつものメンバー”の集まる机へと向かい行く。

 そうかつて先刻までは、昼休みの始まり直後に、姫城マイ対神楽坂ミナによる目と目で戦い合う、空気を感じるだけでは血を血で洗う熾烈なバトルが繰り広げられていた、と粗筋だけでも述べておく。

 そんな雰囲気に触発されてユキもユイも少なからず複雑な表情をしていたのは記憶に新しい。

 俺が出戻ってきたのは昼休みの終いも五分に迫る頃、昼飯抜きが真に遺憾ながら決定した瞬間である。


 いつものメンバーには先に昼食を、と言っていたので既に全員が弁当箱を軽くして包みに戻しての、何か談笑をしていたタイミングでの帰還だったようだ。

 現に着席すると「昼食先に失礼しました。そしておかえりなさいませ、ユウジ様」とご丁寧にも姫城さんに言われてしまった。


「ユウジ、生徒会だよね。結構大変じゃない?」

「まあな、ガムを噛まずになめ続けるぐらいの苦行が強いられそうだ」

「その表現わかりにくいよね!?」

「ガムを噛まないことを――強いられているんだ!」


 ユイに集中線が入っているが気にしない。

 まあ、色々なもどかしさに悩まされるって意味で。それはもちろん、生徒会に限ったことではないけども。


「へー、ユウくんが生徒会かぁ。珍しいこともあるね、ユウくん万年帰宅部だったのに」

「帰宅部という自分の時間を最大限に有効活用できるポジションに唯一無二の誇りを思ってたな」

「じゃあ、なんで入ったの?」

 

 元姉貴にそれを言われるのは妙にシュールレアリズムというか、それを聞くのがあなたですかっという、

 拉致に関与したのは誰だっけねえ? 一体誰が俺を推薦したんですかね?

 ――拉致も推薦の事実はあれど、それに関わったという姉貴の存在はこの世界にはもうないんだけどさ。


「そりゃあ、決まってるよ」

「決まってる?」


「生徒会の権限があればなんでもできそうだから」


「あはは、職権乱用目当てなんだ」

「ユウジ、そうだったんだ!?」

「……生徒会役員のユウジ様になんでもしてもらえる、ですか」


 ミナがそれなりに盛大に笑い、ユキが驚いていた。姫城さんはよくわからないっす。

 まあ、自分勝手できるって意味にしか聞けないよなあ。


 でも、これでも少しは考えてるんだぜ? 


 空虚にぽっかりと空いた穴がこれ以上広がらないように、手を足を精一杯に伸ばして繋ぎとめるために俺は、今こうしてる。 

 ――今は幼馴染でもいい、だけども少なくとも俺にとっては姉貴が必要だからさ。

 どうして姉貴が幼馴染になったのか、どうやったら姉貴は姉貴に戻ってくれるのか。


 焦って逃しちゃしょうがないからな。


「生徒会役員が命ずる! ……休み時間をアト五分でも」

「ユウジ、昼ごはんは諦めた方が賢明だよ?」

「ぬあー、ちくしょー!」

「ご愁傷さまユウジ様」

「タイトルにみたいにせんでください、姫城さん」

「どうどうユウくん」


 まあでも考えたら弁当開けたらダメだったわな。

 ――今日急いだせいでユイも俺も同じように弁当つくちゃったし。



* *



 ごきげんよう、オルリス=クランナですわ。

 お昼時はそれなりに固まったクラスメイトで昼食を頂いております。


「おー、クランナもジェイシーもそういや同じ弁当なんだな」

「たしかに! そういえば二人とも二組の下之くんの家にホームステイだよね? 誰に作ってもらってるの?」

「え、ええと……下之くんに、ですね」

「ユウジにです」


 私が下之くんと答える一方でアイシアはユウジなんですよね……私は他人行儀すぎるのでしょうか?

 家では確かにそうですけれど、学校でそういうのは……少し恥ずかしいのですわ。


「はー、下之が料理してんのか」

「へぇー、下之くんが作ってるんだー! いつも美味しそうだよねー」


 運動部に所属する滝川さんと、明るく活発な印象の女生徒の相田さん。

 そして私とアイシアの四人でお喋りし時間を共にすることが多いんです。


 ……そういえばユウジってすごいですよね、家の家事をホニさんやユイさんとやりつつも放課後は何か残ってやっているようですし。

 料理もおいしいのですよね……私も勉強した方がいのですけれど、ユウジやホニさんの料理を食べていると勝てる気が――



『生徒会役員副会長補佐代行一年二組下之ユウジ、至急生徒会室へ』



 そんなアナウンスが鳴り響いたのです。

 ……生徒会役員? 一年二組で、それも聞いた名前は――下之ユウジ?


「え、下之ってあの下之以外いないよな……生徒会役員なんか、驚いた」

「へぇー、あの生徒会に下之くん入ってるんだ!」


 ユウジ、生徒会? でも、あの人はそんなこと家でも学校でも何にも――

 確かに考えてみれば普通に下校するはずだというのに、学校に一人残るユウジの姿はありました。何かの部活だとばかり思っていましたわ。

 それに放送も体外は『生徒会役員は――』でしたし、このように名指しで呼ばれることは今までにありませんでした!

 ……私、どうすれば生徒会に入れるのか分からずに悶々としていましたのに。こうも身近に……! 


「(……ユウジに相談してみましょう)」


 この国にきて、この学校にきて。

 部活でもなく私が入りたいと思ったのは、まぎれもなく生徒会なのですから!

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