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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十三章 気になる彼女はお姫様で未来人で。
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第414話 √3-66 気になる彼女はお姫様で未来人で。(終)

√3完結です!

「ユウジなんか怪しい」


 俺が教室に着くなり、ユキはじとっとした目でそう言った。


「い、いきなりなんだよ?」

「うぬう、アタシも変だとは思ったのだ」


 ユイも頷きながらそう同調した。


「何がなんだか……」

「とぼけるなっ、ユウジ!」


 ユキに冗談めかしてそう言われる。まあでもオルリスはまだ時間が必要そうだしさ。


「てか何が怪しいんだ?」

「――ユウジ様が誰かと付き合っているのではないかです」

「うおっ!?」


 気づくと姫城さんも俺たちの席の周りに来ていた「おはようございます」とまあご丁寧にあいさつ。


「そうそう! てかなんで先週の最初の方は休んだのかなー?」

「気になるのぉ気になるのぉ」

「気になります。それにどうしてユウジ様の事故現場に、欠席していたというクランナさんが居合わせるというのも不可解です」


 ぐ……姫城さん痛いトコ突くな。

 てかユイは表情的に分かってそうだな……まあ、アドバイスに近いものも貰ってたしそうなんだろう。


「町はそれほど広くないんだし、偶然だよ」

「……そうかなあ」

「本当にそうですか……? 嘘ついたら針千本頭に刺して針山にしますよ」

「アレ、姫城さん元の性格に回帰してない!?」

「さっさと吐いちゃえYO」


 ……女子勢の問い詰めは結構に攻撃力高し。俺の巧妙な話術がなけれ――





「うう……」


 オルリスとの関係は未だ未公開、ということで。 

 放課後はデートでも自宅訪問なんてわけがなく――なんと色気のないことか、生徒会活動だ。

 それについてはオルリスもショックなのか時折こっちを見ながら涙目である。

 そんな可愛いオルリスを傍観者のフリをしながら楽しむのも一興、実に弄り甲斐のある彼女だ。

 まあ……でも生徒会がなかったら、こここまで親密になる可能性なんて皆無だったし。そんなショック受けるな彼女さんよ。


「コピー行ってきます」


 そう俺が関係書類のコピーを頼まれ、席を立つと。


「わ、私もお手伝いします!」


 とオルリスは途端に顔をぱぁっと明るくさせてついてくる……うおう、可愛いなあ。


「このコピーを二百枚ですね」

「ああ、でこれを三百枚で――」


 事務的な話をするのだけどもオルリスは落ち着かない。

 仕事と私情の切り替えの巧みな彼女とはなんだったのか、もうそんな感じだ。


「あ、あのユウジ!」

「ん?」

「……私たち付き合っていますのよね?」


 不安そうに、怯えた瞳でそう問いかけてくる。

 ……オルリスは本当に心配性だなあ、昔の彼女の印象からこんなこと想像もつかないな。


「当たり前だろ、姫様」

「こ、ここではオルリスです!」

「オルリスと俺は付き合ってる。俺は少なくともそう思ってるぞ、オルリスは違うのか?」


 今回の俺は余裕があって、冗談めかすように問いかける。


「あ、当たりまですわ! ……私にとってあなたはか、彼氏さんなのですから」

「っ」


 おお、これは来た……言い淀みながらももじもじと言う彼女は極上の可愛さがあった。

 いつもどこか遠くて、真面目で姫様してる彼女とのギャップは凄まじいものがあった。


 そんな彼女を守っていきたくて、一緒に過ごしていきたくて。


 俺は一つの閃きで手を動かした――


「っっっ!? ユ、ユウジ!」

「ダメか?」

「だ、だめではないですが……心の準備が」

「じゃあ三秒間待ってやる」

「み、短すぎですわ…………え、本当に三秒? え、まって、本当に、まだ」

「しゅーりょー」


 そうして改めて俺は手を繋ぎ直す。 

 

「……待ってと言いましたのに」

「振り払ってもいいけど」

「いいけれど……?」

「俺が凹む」

「……わかりましたわ」


 そう彼女は、ぎこちないけども握り返してくれる。


「嫌々?」

「……嫌なんかではありません。でももう少し雰囲気のある場所が――な、なんでもないですわっ」

「休日」

「……休日がどうかしましたか?」

「今度の休日、デートしよう」

「で、デデデデデデデデート!?」

「お断り?」

「っっっ……ユウジは卑怯、ですわ。断ることなんて出来ませんのに」

「じゃあご期待ください姫様」

「だから姫と――いいえ、そうですわね。エスコートよろしくお願いしますわ騎士様」


 と、いうことで。

 情緒不安定で、百面相で、照れ屋な彼女を俺は持ちました。

 俺はどうやってでも彼女を守っていきたいと思います。


 彼女の笑顔が大好きで、一生一緒にいたいから。


 そういうわけで、まだ始まったばかりの関係だけども。

 きっとこれからも色々なことがあるわけで。


「これからも一緒に歩いて行こうか」

「っ…………はい」


 でも彼女のこの笑みがあれば、なんでも乗り越えられそうな気がした。






 の、だが。



「岡=アイシア=小百合はユーさんの家に住みますっ!」



 家に帰ろうと生徒会を終えて学校を出ようとしたその校門前に、いつぞやの仁王立ちで彼女はそう高々と宣言した。

 ……てか、この呼び方はアイシアじゃない!?


「あ、アイシアっ! どういうことですのっ」

「いやあ、その方が都合がいいですし。それに言ったよねオルリス――私も下之ユウジを狙ってるって」

「ほ、本気だったのですか!?」


 そういやシアはオルリスにオルと何か話したって言ってたっけ。


「そういうわけで、よろしくお願いです。未来の私の旦那様っ」


 シアはなんというか……現れる度に爆弾を投下するというか、なんというか。


「アイシアには絶対にユーを渡しませんっ! もう未来でお父様にそう申し上げたのですからっ」

「私もそうですよ?」

「ぐ……」


 ああ、オルも出てきてるし……てかタイムマシン乱用してるよねこの人たち。


「ユ、ユー! 私ではないのですかっ」

「今はそうじゃなくても、最後に来るのは私ことアイシアの元ですよね?」

「ユウジは私と付き合っていますのに!」

「ううん、未来の私はそう言いますけれど私はオルリスを諦めませんからぁっ!」


 ……今と未来の彼女らが大乱戦してる。


「「どっちなのですか」」

「私のユウジですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「アイシア、オルリスを好きなんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 前途多難というか、なんというか。

 

「はは…………」


 苦笑を漏らさるざる得ないわけで。

 俺の本当の戦いはこれかららしい――



 俺の彼女はお姫様で未来人。 



 下之家の空き部屋にアイシアだけでなくオルリスも本当に住みはじめてしまうのは、これからそう遠くないお話。

 それでもとりあえずはここで締めということで。




* *




「もしもユウジが”西洋美人の転校生”で真面目で頑固で方向音痴で照れ屋なギャップが可愛らしい彼女と結ばれたら」

 これはそんな五つ目のユウジの”イフ”の話。


√3完結です! 個人的にはこのお話結構気に入ってます、揺れ動くオルリスとユウジの心をそれなりに描写出来たのではないかと自画自賛です。それでも最後の展開は取ってつけたようなものになってしまいましたが、エンタータイメントですからこういう展開もあるよということで。オルリスの他に癖の強い「アイシア」という新キャラかつ超重要キャラも参戦し、これからも波乱の続きそうな予感がヒシヒシとですね! なおオルリスの後日談を用意する予定で、おそらく9~18話と地味に長い後日談をいずれ展開する予定です。お楽しみに? それでは次の「√b」でお会いしましょう!

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