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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十三章 気になる彼女はお姫様で未来人で。
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第400話 √3-52 気になる彼女はお姫様で未来人で。

祝400話!

十一月二日



「いやいやどうすんだよっ」


 俺は朝起きて、瞼をさすりながらすぐさま青くなり、頭を抱えた。

 朝ですよー、素晴らしいぐらいに寝起きの悪いモーニングですよ! クマ出来てること確実な程に寝不足っすよ。

 それなのに窓越しに見える空は超青々と……学校をサボるという気の重いこの日にさあ。


 いや、俺は微妙に真面目なんじゃないかなーとは思うよ? だから出席日数的に実はサボるのヤダ。

 でも、それよりもだ。


「(姉貴やユキ達にどうやって言い訳を……)」


 ユイは察してくれそうだが、ユキは色々と心配しそうだし。

 姉貴は……なあ。


「(捜索願い出されかねない)」


 それはあまりにも嫌過ぎる。かといって本当のことなんぞ言えない。


「どうすりゃいいんだよ……」


 くっそー、オルリスもこのタイミングで出てきやがって。もっと長期休みのある日程に出来なかったのかと小一時間。

 ……これは事後報告を使うか。そう、俺が家を出てしまえばどういうことはない。

 集合時間はサボリ確定だが七時十分だ。オルリスからしてそのちょっと前に来ていることだろう。

 てかなんで昨日は正午からだったんだろうな、今考えれば。で、喫茶店で話して終わったし。

 

「……メール用意しておくか」


 姉貴に起る、事後報告メール。

 家を出ておおよそ一分後にメールを送信できるように予め用意しておこう。


「格好は……とりあえずは俺がサボることを、同じ学校の生徒に怪しまれないように」


 おそらくオルリスも制服だろう。並んでも、違和感はそれほどないはず。


「――よし」


 メールを打ちながら着替え終わり、ダミーの為に鞄の中身を出して鞄だけを持つ。

 これは瞬間的な勝負だ。いかに家をはやく出れるか、姉貴に気付かれないかだ――行くぞ!





 俺は七時になろうとした目覚ましの、アラームスイッチを切ってから学ラン姿鞄を持って扉を開ける。

 階段をそろりそろりではなく、忍者走りよろしくに音をたてないように素早く。一段、二段と木張りの階段を降りて行く。

 ――降りた先から左向け左をして、数メートルほどのフローリングの廊下を進めばいいだけだ。そうだ、このミッションは容易い。

 

「んー……あ、ユウジさんおはよう」


 背後から聞こえた声は、寝ぼけ眼のホニさんだった。


「(なんというタイミングだホニさん!)お、おはようホニさん」

 

 俺は、少し小声で答える。朝だからという、未だに寝坊さんの多いことから来る大義名分もある。


「居間まで一緒にいこ、ユウジさん?」


 なんという嬉しい誘い! この言葉が心にしみる、これだけでご飯三杯と三日は戦える。

 だが俺、心を鬼にするんだ。この蜜な誘いに乗ってしまえば全てがおじゃん、姉貴が気づいていない今しかチャンスはない。

 そうだ、そう断れ。でも悲しい表情のホニさんを見たら一か月と二十五日は立ち直れない、廃人になる。

 だから……仕方ない理由、そうだ!


「ごめん、ホニさん。ちょっとトイレ行きたいから一階までで」

「うんっ」


 セーフな上にホニさんの素晴らしい笑顔を頂戴、なんだこの一石二鳥。掴んだ一羽の鳥が大物すぎるぞ!?

 俺はこんな幸せでいいんだろうか、いつか死ぬんじゃないか。朝から一番に見れた笑顔がホニさんだなんて嬉しさのあまり階段の踊り場で、文字通り踊りたい。三回転半ぐらいしたい。

 いやいやでも、この笑顔を味わいつくしていつものように居間へと足を踏み込んだらゲームは終了確定だ。

 てか姉貴の悲しい表情もみたくない、見たら凹む。結構凹む、一か月と二十三日ぐらい凹む、スーパー根暗モード確定だ。だから出来れば姉貴に捕まりたくないのだ。  

 それにしてもホニさんが向かう居間とは別方向に洗面所が有ったことに感謝感激アメアラレ。家の間取りよ、ありがとう!


「(もう少しで階段を降り終わるぞ……)」

「♪」


 振り返るとご機嫌のホニさん、ああ写真に残したい! このるんるんホニさんでgif作りたいぐらいに可愛い! 


「あ、じゃあホニさん」

「後でね、ユウジさん」


 そう……後なんだよな。それもずっと後。俺の”じゃあ”も普通に出かける感じだし。

 俺はゆっくりとトイレに向かうように装いながら耳を後ろへと傾ける。すると背後で、ホニさんが開けたであろう居間の扉が閉じた音。


「ダッシュっ!」


 忍者走り再開、廊下を靴下で滑るように通り抜け、靴置き場に昨日あえて放置していた自分のスニーカーに着地&イン!

 なんとか足に靴をはめ込んで、よしコレで――



「ユウくん、どこいくの?」


 

 うわあああああああああああああああああああ、姉貴だああああああああああああああああああああああああああ。

 心臓が飛び出しそうになるほどに驚いた、しかし声の主は少しばかり遠い。そして俺も靴を履き終えている。


「あー、姉貴ゴメン――今日俺サボるわ」

「え、サボ……えええええええええええええええええええええええええ」


 姉貴の驚きの声が響き渡る、それを気にしないように玄関扉を開いて、ポケットに忍ばせた鍵でおおよそ一秒。ガチャリと締める。


「ね! ユウくん、サボるってどういうこと! 不良なの!? ヤンキー・ユウくんなの!? 盗んだバイクを高値で売っちゃうの!? ねえっ――」

「(ゴメン姉貴っ)」


 俺は心の内でそう思いながら、走り出した。というかバイクは売るな、せめて走り出してくれよ。

 でもこれで少しは安心出来るだろう。流石に追ってくることは……は!?



「ユウくん、なんで!」



 追って来てるううううううううううううううう!? それもお玉持って制服にエプロン姿で、サンダル装備で!

 そして速い、圧倒的に速い。サンダルってそんな走れるものじゃないはずなのに。


「えええええええええええ」

「なんで! なんでユウくんはそんなこと! 何か私悪いことしたかな!? ユウくん怒らせることしたかなっ!? ごめんね、ごめんなさいユウくん! もう、ユウくんといつか交際したいなんて思わないから! 結婚は諦めないけど」


 ご町内でさりげなくこの姉貴はなんてことを! そしてスニーカー全力走りなのに差が縮まる縮まる。

 かくなる上は……!


「仕方ねえっ、メール送信」

 

 すると背後に近づく姉貴から着信音、制服エプロン姿だけど姉貴携帯持っててよかったぁ!

 そうして、突然に立ち止まる音。


「……せ、成功か」


 ちなみに、姉貴に送ったメールは。



『ちょっと買いたいゲームがあって、隣町に行かなきゃいけないんだ。だから姉貴に免じて頼む、今日はサボらせて! あと姉貴、弟として大好きだよ』 


 

 あ、弟としてってスルーしなきゃいいけど。少し見えた姉貴の顔はほわわんとしてたけど大丈夫……だよな?

 まあ、姉貴はそれが効果的だったのか「いってらっしゃい」なんてお玉を振りながら見送ってきたけども。


「……あ」


 明日どうしよう。

 連日ゲーム発売とか有り得ないしなあ……なんとか誤魔化したとしても明日辺りが限界だろう。

 

「早く見つけないとな」


 姉貴的にも、俺的にも、オルリス的にも……婿探しが先決だ。

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