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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第2章:魔法学園・魔闘大会編
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第89話:漆黒の雷

 お待たせしました。

「――――《雷げ


「《炎矢雨(フレア・レイン)》」


 レミリオンが魔法を放つ前に放たれる魔法。

 レミリオンに作り出された炎の矢が襲ってきた。素早く体勢を低くし矢の弾道から逸れると、その体勢からそのまま地面を蹴るように踏みつけウグラの懐に肉薄しようとした。だがウグラはそれを体を仰け反らせることで回避をする。


 そして、そのままレミリオンが繰り出してきた足を掴み、そのまま壁に向かって全力で放り投げる。


 空中で大車輪をしながら勢いそのままにレミリオンは背中から壁に激突した。余程の衝撃だったのか衝突したところを中心に競技場の壁には少しひびが入っていた。


「げほっ! ごほっ! く……まだよ!」


 壁を支えにレミリオンが立ち上がる。


「もう一回―――――《ら


「遅いわ!」


 再び魔法を使おうとしたレミリオンの目の前に、再びウグラが現れる。速度にして僅か2秒足らずで50メートル。先程まで開いていた距離などまるで無かったかのようだ。


 そして、今度はお腹……それも溝をピンポイントで蹴り、そのまま背後にあったひびの入った壁にめり込ませるかのように蹴り込んだ。


 レミリオンの口から血が吐き出され、辺りに飛び散る。


「!!」


 だが、レミリオンは自分に蹴り込まれている足を掴み、そのまま詠唱を始める。それに気づいたウグラはすぐに距離を取ろうとするが、がっちりと掴まれたレミリオンの手がそれを許さない。


「―――――《雷撃》!」


 レミリオンの指先から閃光があったかと思うと次の瞬間には、ウグラの体に電流が流れていた。バチバチと言う音と共にウグラの体を伝って地面にも流れる電流は、地面の砂を弾き飛ばしながら辺りに放電をしていく。


 だが、ウグラはそんなことを諸共しなかった。


 離せないならと、これでもかと言うぐらい力を入れ、ただえさえ壁にめり込んでいるレミリオンをさらにめり込ませるかのように押していく。


「ちっ、しつこいなお前は」


「ど、どっちの……セリフ……ですか!」


 ギリッと歯ぎしりをするレミリオン。そんなレミリオンを余裕綽々な顔で見るウグラ。


「まあ、どうせ無駄だろうけどな……闇炎―――」


 ウグラの手が彼女の目の前に出される。


「! し、しまっ―――」


 事の失敗に気づいたレミリオン。だが壁にめり込んでしまっている彼女に回避する方法などもはや無く


「《業炎》」


 ほぼゼロ距離から漆黒の炎がレミリオンを襲った。








==========





「あっ、あれヤバいかも」


 観客席から試合を見ていた俺は呟いていた。ほぼゼロ距離じゃなかったか?


「クロたちを馬鹿にしたから罰が当たったのよ」


 レミリオンに対してはいい思い出が全くないエリラは嬉しそうだな。


 それにしても妙だな。あいつあんなに力を持っていたのか?


 ……そういえばあいつ、先日妙な薬を持っていたな。あれと何か関係あるのかな?


 そう思った俺はステータスを覗いてみたが特に変化は見られない。スキルもこれっと言ったものは無く、前見たときと変化は殆ど見られないな。

 だけど、なんだ違和感は……?


 なんというか……ステータスと動きが比例していないような……。それにここからは聞こえないからハッキリとは分からないけど、魔法の詠唱早くないか?


 うーん、あの薬の件も含めて怪しいな……






==========






「はぁ……はぁ……」


「どうした終わりか?」


「くそっ、こんな奴に……こんな奴に……」


「まぁ、終わらせないけどな」


 ウグラの口元がうっすらと笑ったかと思えば、次の瞬間既にその顔は見えず代わりに晴れている空模様が見えた。

 既に満身創痍のレミリオンにはもはや、なるがままにされるしかなかった。


「ほらほら! 最初の威勢はどこにいったんだぁ!?」


 また見える顔。そして視界は今度は半分が暗くなって見える地面へと移り変わる。


「……も、もう無理……ぎぶあっ


 レミリオンは擦れ、審判に届いてるかさえも分からないぐらい小さな声で降参を言おうとしたが―――


「あ゛あ゛!? 何言っているか聞こえないなぁ!」


 それは、ウグラの声と蹴りによって掻き消された。蹴られた衝撃で血を時折吐きだしながら地面を二転三転と転がっていく。

 

「あ……あ……」


 地面に横たわったレミリオンは微かに唸る声を漏らしながら虚ろな眼差しをしていた。誰の目にも最早勝負あったと思った。



 だが、ここで誰もが少し疑問に思った事があろう。何故審判はレフリーストップをかけないのだろうか。誰が見ても既にレミリオンは限界だ。これ以上やると本当に命が危ないだろう。


 だが、そんな状態でも審判は顔色一つ変えずじっとゲームを見ているままだった。


「こいつで楽にしてやるよ……消えろ!」


 ウグラはそんなこと気にもせずに、まさに最後の攻撃が入ろうとしていた。


 黒い魔方陣がウグラの前に展開され、魔方陣の中央に黒い稲妻が走りだした。それはバチバチとは鳴らず、むしろゴゴゴゴとうねりを伴っていた。


 そして


「……《黒雷砲》」



 漆黒の雷を宿した球体がレミリオン目掛けて発射され、そして、誰が見ても魔法がレミリオンにヒットしたと同時に、強烈な爆音が辺りに響き渡ったのだった。

 今回の回は珍しく再三書き直した回でした。頭でイメージは出来ているけど上手く伝えきれないのでもどかしいですね。


 3日おきが癖付かないように頑張ります。


 では、また次回でお会いしましょう。

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