第10話
王城の朝。
カタリナは深呼吸をひとつ。
昨夜、セシルに真相を告げられ、心から安堵できた初めての朝だった。
「……今日から、普通に戻れるのね」
侍女たちも安心した顔で彼女を迎える。
15cmのヒールを履いても、今日は自然に歩ける気がした。
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リリアは静かに座らされ、国王と王子、セシルが向かい合う。
「リリア嬢。今回の件は、あなたが“悪意をもって書類を改ざんした”ことにより発覚しました」
国王の声は厳しい。
リリアは顔色を変えるが、言葉を濁すだけ。
ノエルが付け加える。
「ただし、王家としては公開処罰ではなく、教育的な措置を行います。
カタリナ嬢への謝罪と、一定期間の宮廷活動停止です」
セシルは隣で静かに見守る。
カタリナはもう、怒るでも泣くでもなく、落ち着いた表情でうなずく。
(復讐よりも、私は前を向く)
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その日の午後。
国王は正式に降格処分を取り消し、カタリナの名誉を回復した。
「カタリナ嬢、これで王宮内での地位も元通りだ。
お前の努力と正直さを、私たちは知っている」
カタリナは深く頭を下げる。
「ありがとうございます、陛下……!」
セシルは笑みを隠しきれず、横で小さく手を握る。
「お嬢様、本当におめでとうございます。
……私もずっと、守るべきものが守れた安堵でいっぱいです」
カタリナは顔を上げ、セシルを見つめる。
「……セシル、ありがとう。
あなたがいなければ、私はここまで来られなかった」
その言葉に、セシルの心臓が跳ねる。
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王宮の庭。
花が咲き誇る中、カタリナとセシルは並んで歩く。
「ねぇ、セシル」
カタリナが少し照れた声で言う。
「はい、お嬢様?」
「……もう、ちょっとだけ……甘えてもいい?」
セシルは笑顔で手を差し出す。
「もちろんです。
お嬢様が望むなら、私は一生、傍にいます」
カタリナはそっと手を重ね、自然に寄り添う。
セシルも肩を軽く抱き寄せ、背の高さで包み込む。
「……あの、セシル」
カタリナが小声でつぶやく。
「はい」
「……これからも、ずっと一緒にいてくれる?」
「はい、お嬢様。私の全ては、カタリナ様のためにあります」
庭に咲く花々のように、二人の笑顔は穏やかで、暖かく、そして少し甘い。
事件は解決し、未来は二人だけの時間で満たされていく。
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