協力 - 文月 慶①
すみませんm(_ _)m
ストーリーの都合上、第27部分「エピローグ - 文月 慶⑦」を少し改稿いたしました。
水瀬「学校が…吉波高校がなくなるかもしれない」
大勢で押しかけてきて急に何を言い出すかと思いきや…。
僕は今から三ツ星レストランの高級料理を堪能しようとしていたところなのに…。
「明日にしてくれないか? 僕は今、お腹が減ってるんだ」
僕がそう返すとざわついた。
そんな時間はないとか僕のせいでこんな状況になったとか、そんなことを口々に言っている。
学校がなくなる……か。年々、入学する生徒の数が減ってきているから廃校になるみたいな意味だと思ってたんだが、この様子だと違うようだな。
彼らをよく見ると何かに怯えているようにも見える。
何かもっと別の意味…。
僕は腕を組み、面会室の椅子にもたれかかった。
「仕方ない。少しだけ聞いてやろう。ただしご飯が冷めるから10分だ」
水瀬「はぁ…、わかった。早口になるからしっかり聞いてくれよ」
水瀬は呆れたような溜め息を吐いてから、学生大戦というものについて語り始めた。
簡単に言うとこうだ。
昔、僕らの学校に在籍していた生徒が大学受験者の数を減らすため、殺し合いの戦争を始めた。
それが終結したのは、近隣の大学の定員数より少なくなったとき。
その戦争が終わった後、亜和、七葉、石成の3校は暫くの間、吉波高校の支配下に置かれていた。
その3校が今でもそのことを根に持っていて、僕が鬼ごっこという名のテロをしたのを大義名分に戦争を仕掛けてくると。
まるで僕が原因とでも言いたいようだな。
で、それを阻止するための作戦を僕に協力してほしいと言うわけか。
「なるほどな。ふあぁ~……」
悪気はないが、思わず欠伸が出てしまった。
水瀬「おい! 話ちゃんと聞いてるのか? あまり言いたくないけど君のせいでもあるんだ!」
適当に話を聞いていると思ったのか水瀬は僕に対し、声を荒げる。
誤解だ、水瀬。この欠伸は決してバカにしたりふざけたりしてるわけじゃない。
ただ普通に眠いだけだ。投獄されてから暇でかつ快適で生活リズムが狂いまくっている。
昼夜逆転なんてかわいいもの。僕は今、いつ寝てるか自分でもわからない。
気づけば意識が飛んでるような感じだ。
「悪気はない。生活リズムが崩れてしまっていて急に眠たくなるんだ。確かに学生大戦が起こりうる原因は僕にもある。尻拭いと言った意味でも協力したいところだが……」
今の僕にできることはない。彼らが僕に求めているのはある物を造ること。
しかし、ここから出ることができない上に“BrainCreate”は政府に押収された。
開発途中のものも人質を収監した秘密基地にあってあそこも今は政府の管轄にある。
「あれがないと僕は何もできない。残念だが作戦に必要なものを造るのは不可能だ」
僕が首を振ると、珍しく大人しくしていた皇が自身のスマホを取りだし何かをし始める。
奴はすぐに手を止め、こちらを見て特有の不気味な笑みを浮かべた。
ピコンッ!
奴が笑ったのと同時に僕のスマホがメールの通知音を発する。
まさか…! 僕はポケットに入れていた自分のスマホを確認した。
“ようこそ、ジミーズへ。今日から君も俺様の下僕だ♪”
と言う意味不明なメッセージに添付されていたアプリ。開発途中の“BrainCreate”。
いったいどうやって?
僕はニヤつく皇に目を向けた。
「本物か? あそこは政府の管轄。何をした?」
皇は人差し指を立てて左右に振る。
皇「チッチ……ぐはっ」
と同時に獅子王が彼の背中を叩いてその動きを制止した。
久しぶりだな、獅子王。まさか、お前があのゴリラだったとは。
生徒会長にしてやったというのに、恩を仇で返しやがったな。まぁ、上手くやっているようで何よりだ。
皇「痛ぇな、加減しろよ。水瀬……いや、俺の功労でたくさんの能力者が集まったからな。その中の1人に盗りに行かせた。アプリのデータをコピーしただけだから政府は気づいてないぜ! お前がここを出て作戦に使えば気づかれるけどなぁ♪ にしてもあいつの能力は便利だぜ。こんな簡単に盗めるとはな」
水瀬「いや、君は陽しか勧誘してないだろ。他は僕が面接で見つけたんだ」
誇らしげに自身の功績を騙る皇と、それに反発する水瀬。
どっちが本当のことを言っているのかは明白だ。
となると今、ここにいるのは全員“特質”持ちか。この作戦には必要のない生徒もいるようだが…。
どちらにせよ、よくやってくれた。
「僕の発明品を取り返してくれたことに感謝する。協力してやろう。ちなみに僕はその能力のことを“特質”と呼んでいる。気に入ったらそう言ってくれ」
皇「へぇ、特質ねぇ。悪くはねぇな」
「後、作戦に参加しない生徒もこの中にいるみたいだが?」
僕の質問に対して今度は水瀬が口を開く。
水瀬「バックアップと作業を手伝ってもらうためだよ。万が一、作戦が失敗して全面戦争になった際の戦闘員と作戦の準備を手伝ってもらうために来てもらった」
全員、自分の意志でここにいるのか。いくら特質を持っているとはいえ身体を張ることに躊躇がないのか?
いったいどんな条件や報酬を? 学校のために無償でやってるのなら尊敬する。
僕がこの作戦に参加することを確認した彼らは面会室から順に出ていった。
明日の放課後に僕はここを抜け出し、学校の体育館倉庫で彼らと合流する。
抜け出すとき看守にバレないかって?
“BrainCreate”を手にした僕にとって脱獄は赤子の手を捻るようなもの。
最後に水瀬が出ていくとき、僕は彼に1つの質問を投げかけた。
「あいつはまだ戻らないのか? 彼がいればこの作戦も必要ない。彼なら……1人で全ての学校を沈められるだろう」
水瀬は斜め上に視線を移し、考える素振りをする。
水瀬「あいつって…。あぁ! 彼は後、1週間延長でハワイ旅行を楽しむらしいよ」
こんなときに呑気に旅行か…。なんてタイミングが悪いんだ。
まぁ、良い。この作戦は無事に完遂させる。
僕の鬼を打ち破った彼らなら、ただの学生如きに引けをとることはないだろう。




