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BREAKERZ - 奇っ怪な能力で神を討つ  作者: Maw
自警部•ゴリラ消失編
222/271

奇策 - 皇 尚人⑤

夕暮れ時、街灯がなく薄暗い田舎道。


上機嫌な俺は、缶コーラを片手にチャリを漕いでいた。


単刀直入に言うぜぇ♪


昨日の放課後、よだれマスターが行方不明になった。


これでようやく動けるぜ。ていうか、もう動いてるがなぁ♪


よだれが行方不明になったことで、犯人を割り出すことができた。


俺は今、拉致られたゴリラとよだれ、犯人がいる場所へ向かっている。


奴に着けた発信機を頼りにな。


あの時文月(ふづき)からくすねたのは、おむすびせんべいだけじゃねぇ。


囚人ニート作の発信機でゴリラの居場所を炙り出してやるぜ。


チャリで向かってるとは言っても、到着までにまだ時間はある。


奇策の全貌や、大半が“俺の直感”による名推理を語るから聞いてくれ♪


缶コーラを飲み干した俺は、通りすがりに見つけたゴミ箱へ投げ入れた。


ふぅ、頭が冴えるぜ。


まずは、昨日あった出来事からだ。


昨日俺に策がないと踏んだあいつらは、集団下校のルールを破り外へ飛び出した。


ゴリラを捜すという名目のおとり作戦、奴ら1人1人がおとりかつ戦力として犯人を捕まえるためにな。


そして、襲撃に遭えば位置情報で互いに居場所を知らせ合う。そこに“BREAKERZブレイカーズ”が駆け付けてフルボッコ。


まるで悪党みてぇな作戦だな♪


だが上手くは行かなかった。


水瀬みなせ鬼塚おにづか剣崎けんざきを除いた全員が位置情報を一斉に送ったんだ。


複数の敵による一斉の襲撃。


敵に遭遇していない水瀬みなせ鬼塚おにづかはそう判断した。


2人は1番近い場所へと駆け付けた。


水瀬みなせはオナラ野郎の元へ、鬼塚おにづかはブロッコリーの元へ。


だが、敵は既に撤退していたらしい。


日下部くさかべはパニクったのか、辺り一帯に臭いオナラを撒き散らして失神していた。


近所迷惑も良いところだ。


そしてオナラの酷使でイボ痔が悪化したらしく、今は入院しているらしいぜ♪ ざまぁねぇな。


樹神こだまの方にも敵の姿はなく、ただ“アフロブレイク”と叫んでいるアフロしかいなかったらしい。


行方不明になったのは剣崎けんざきだけだ。


病院送りになったのも日下部くさかべだけ。


敵は1人じゃなかったと水瀬みなせは言っていたが、総戦力を上げて襲撃してきたと考えるには生温い。


全員を拉致る気で来てるんなら、もっと消えてるはずだ。


逆張りってわけじゃねぇが、俺は敵は1人だと予想するぜ。


そっちの方が、俺の推理 (直感) に都合が良いんだよ♪


位置情報が一斉に送られてきたとは言ったが、1人1人がほぼ同時に送ったって訳じゃねぇみたいだ。


グループチャットを見返してみたが、1人につき5分程度の間隔が空いている。


まぁ、普通なら考えねぇよな。


たった1人の犯人が5分間隔で、町中に散らばったあいつら全員の所に回ったなんてなぁ♪


だが、特質を持った人間にならできない芸当じゃねぇ。


元々、俺は直感的に犯人は1人だと思っていた。そして、大してガチじゃねぇともな。


ここからは、推理と奇策の話をするぜ。


ゴリラが行方不明になったあの日、俺はまず身内を探ろうと思った。


身内ってのは、“BREAKERZブレイカーズ”のことじゃない。


吉波よしなみ高校に通う全生徒のことだ。


特質や神憑かみつきといった能力持ちの存在がパンピー生徒に知れ渡ったのは、球技大会の時だったな。


暴走した五十嵐いがらしを止めるため、自警部じけいぶの実力を示すために俺たちは戦った。



剣崎けんざきのオタ芸剣舞。


文月ふづきのへなちょこ拳法。


俺の話術。


獅子王ししおうの太陽見てゴリラ化。


不死身の不知火しらぬいの凄惨たるグロシーン。


毎回生きてんのか死んでんのかわかんねぇ男虎おのとらのヌンチャク振り回し拳法。


そして、最強鬼塚(おにづか)王撃ワン・ビートだ。



ほとんどの生徒がこれらを目の当たりにした。


逆に言えば、それ以外の能力は見ていないし知らないということだ。


樹神こだまのブロッコリーとかな。


最初に拉致られたゴリラは、自分の能力を惜しむことなく全体公開していた。


校内の生徒には、大方手の内がバレている。


動機は置いといて、仮に“BREAKERZブレイカーズ”にちょっかい掛けようとしたら誰を狙う?


生徒会長ってのもあって、元から知名度が高く顔も割れているゴリラ会長様が狙い目ってことだ。


だが、これだけじゃ何の証拠も得られねぇ。


運と直感が味方すぎる俺でも、犯人候補が数百人の生徒じゃ当てられねぇよ。


まぁ、ゴリラの正体は1発で当てたがなぁ♪ だが、あれもあいつが冷静で完璧にシラを切っていたら見逃してたぜ。


明らかに動揺したから見抜けたんだ。


更に犯人を絞り込むため、俺はある奇策を思いつく。


これには時間が必要だった。ゴリラ行方不明がバレて廃部がどうとかなるのはめんどくせぇ。


まずは、バレないための時間稼ぎにホログラム機能付きおむすびせんべいを使って偽物の獅子王ししおうを席に座らせた。


奇策はここで終わりじゃねぇ。


この後、俺が何もしなかったのは事実だがそれも作戦の内ってわけだ。


狙いの1つは犯人に粗を出させるため。


俺たちにちょっかいを掛けたいのに、鬼塚おにづか護衛付き集団下校のせいで1人じゃ手を出せねぇ♪


フラストレーションの溜まった犯人が何かやらかしてくれるとラッキーだと思っていたが…。


まぁ、それなりにヒントをくれたぜ。


そして、もう1つの狙いは…、昨日の放課後に起こした水瀬みなせたちの行動にある。


クズだの悪魔だの、何でも言ってくれ。


俺は次に誰が消えるのかを見たかった。


消えた奴を見て、確信を得たかったんだ。


先にそう話したら良かったって? お人好しの水瀬みなせがオーケーすると思うかぁ?


それに、犯人に作戦がバレるかもしれねぇだろ。


あくまでも自然な流れでそうなるよう誘導する必要があったんだよ。


俺は清く正しい善人だからな。不信感を煽るような口調や態度を続けるのは心苦しかったぜ♪


剣崎けんざきが消えたこともそうだが、昨日起きた一連の出来事を聞いて確信した。


犯人は、吉波よしなみ高校の生徒だ。


能力が割れている剣崎けんざきとは真っ向から戦って拉致。


能力がわからない日下部くさかべや他のメンツには、様子見でちょっかいを掛けたんだろう。


情報を少しでも得るために…。


そして、水瀬みなせ鬼塚おにづかの元には来なかった。


鬼塚おにづかは最強だ。様子見なんかしなくてもわかる、勝ち目はねぇと思ったんだろう。


五十嵐いがらしとの戦いを見てたらそうなるわな。


水瀬みなせの所には何故来なかった?


俺自身、あいつのことはよく知らねぇ。


何の能力もねぇモブキャラだと思ってたが、最近は水だの風だの使うらしい。


リーダーの俺ですらそういう認識だ。


犯人から見てもモブキャラに映るだろう。


普通なら他と同じように様子見、何も知らずに舐めてたら剣崎けんざきのついでに拉致ろうと考えるかもな。


一応、副部長だ。上手いこと拉致れたら“BREAKERZブレイカーズ”は瓦解する。


だが、寄り付きもしなかった。


知ってるってことだな。水瀬みなせはモブだが、頭は切れるってことを。


少しのミスで正体を見破られると危惧して、接触を避けたんだろう。


決して俺たちを舐めてはいねぇ。


むしろ、慎重に動いている辺りリスペクトすら感じる。


この時点で、犯人は十数名に絞られた。


もちろん、“BREAKERZブレイカーズ”のメンツも容疑者だ。


ついでに…、あのうるせぇラグビー部もな。


ここまで来たら、俺なら運でゴリ押しってのもできそうだが♪


まぁ、もう少し話をするぜ。


昨日の時点で、美澄みすみは先生どもにチクろうとしていたな。


それを水瀬みなせが1日だけ待ってくれと説得した。今日中にゴリラを見つけると…。


だが、見つかるどころか行方不明者が更に増えた。


どうなったと思う? 普通に考えたら、チクられて俺たちは終わってるよな。






美澄みすみ恵璃紗えりさは今日、体調不良で欠席だ。






俺たちにそう言ってきたのは、若干足を引きずっている京極きょうごく瞬介しゅんすけ


昨日、練習で追い込みすぎて足がったんだと…。


高校生活最後の大会も近いし、気合いでも入ってんだろう。


俺の中で候補を絞りに絞ったが、結局最後は運ゲーか。


これぐらいの確率なら引き当てられる。運と直感に愛された俺ならなぁ♪


俺は京極きょうごくの肩を組んでこう言った。



『運が良いなぁ♪ 少なくとも今日1日は稼げたぜ』



そして、冷たい目でこちらを見てくる水瀬みなせらにニヤリと笑って見せた。


『今日も死ぬ気で捜索だ。それしかねぇ。安心しろ、今日はリーダーの俺様も参加するぜぇ♪』



キキィー…



話は終わりだ。ちょうど着いたぜ。


庭木に囲まれた瓦屋根のデカい家が、俺の前にそびえ立つ。


築年数はわからねぇが、かなり年季が入っている。


発信機はこの中だ。


運ゲーとは言ったが、ほとんど間違いねぇと思っている。確たる証拠はねぇが、奴には当てはまることが多いんだよ。


正面から入ると警戒される。


裏口とか空いてる窓を捜すか。



他の奴らが何も知らずにゴリラを捜索している中、俺は古びた和風の家に足を踏み入れた。



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