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BREAKERZ - 奇っ怪な能力で神を討つ  作者: Maw
自警部•ゴリラ消失編
218/271

奇策 - 皇 尚人④

京極きょうごく「こ、これより全校集会を始めます」


体育館の舞台に立ち、マイクを持った京極きょうごくは若干ぎこちない様子でそう言った。


朝のホームルームをすっ飛ばし、俺たちパンピー生徒は全員体育座りをさせられている。


お偉い生徒会や先生方の話を聞くためにな。


定期的に開かれる全校集会。開いて何の得があるのかはわからねぇ。


校長が自己満足で講釈垂れるクソだりぃ時間としか思えねぇよな。


いつもは鬱陶しいイベントだが、このタイミングで開かれるってのは運が良いぜ。


全校集会の司会をするのは、だいたい会長のゴリラだ。


だがゴリラ不在の今、務めるのは副会長の京極きょうごくってことになる。


最初こそぎこちなく緊張したような様子だったが、奴は無難に司会をこなしていった。


流石は副会長、陸上部のキャプテン様だ。うちのモブ臭ハンパねぇ副部長とは大違いだぜぇ♪


そして…、



京極きょうごく「最後に、校長先生のお話です。校長先生、お願いします」



そう締め括った京極きょうごくは少しホッとした表情を浮かべ、舞台に上がった雲龍うんりゅうにマイクを手渡した。


退屈な全校集会だが、正直ここまでは苦痛じゃねぇ。長いのはいつもこっからなんだよ。


地獄の長話が始まると思った矢先のことだった。


俺はうっかりしていたぜ。あいつは、普通の校長じゃねぇ。


奴は京極きょうごくから受け取ったマイクを両手で強く握り…、



御影みかげ雲龍うんりゅう…、マイクをへし折ったら殺すわよ?」


雲龍うんりゅう「うっ…!」



へし折りかけた。


舞台の近くで立っている教頭様の脅迫によって、マイクは守られたってわけだ。


デカい図体にそぐわないオドオドとした様子の雲龍うんりゅう


御影みかげの発言によって、ピリッとした空気が流れる体育館内。


御影みかげ「ん゛んっ…! 雲龍うんりゅう校長、マイクをへし折るのは止めてくださるかしら? コロシアム的な雰囲気になりますわよ?」


奴は失言を誤魔化そうと咳払いをして訳のわからない言葉を並べる。


御影みかげは政府の手先。


俺たち“BREAKERZブレイカーズ”にとっちゃ印象最悪なおばさんだが、パンピー生徒が持つ印象は若干違う。


奴は今年の始業式に戻ってきた。そこで泣きながら謝って生徒の信頼を取り戻しているんだ。


生徒の間では、反省し心を入れ替えた優しい教頭先生だというイメージが強いだろうな。


だから、今の失言は大きなミスだ。


それぐらいあのマイクが大事なのかぁ?



雲龍うんりゅう「すみません…」



額に汗を滲ませながら謝る雲龍うんりゅう


そして、奴はこちらに振り向き、マイクを使わずに大声でこう言った。



雲龍うんりゅう「殺すとか……死ねとか………マイクへし折るなとか…………人を傷つけるようなことは…………言うな!」



何重にもなって反響する怒声。


教頭様に言えないからって、俺らに怒鳴るなよ。ガタイの割に小せぇ野郎だな♪


長くなるだろうと思われた校長先生のお話は、今の一言で終わった。


理不尽に怒鳴られるのは癪だが、長々話されるよりマシだぜ。


これで全校集会は一通り終わりだ。


校長からマイクを受け取った京極きょうごくと視線がかち合う。


さて、ここからが正念場だ。


ミスは1つも許されねぇ。逆にここを何とかすれば、かなり楽になるぜ♪


終わったと思い込んだ生徒たちは、体育座りを崩しざわつき始める。


そんな中、水瀬みなせら“BREAKERZブレイカーズ”は真剣な表情で舞台を見据えていた。


一度深呼吸をする京極きょうごく


奴は俺の目を見ながら軽く頷いた後、マイクを持ってこう言った。



京極きょうごく「すみません。僕たち生徒会から少しお話をさせてください」



崩した姿勢のまま振り向くパンピー生徒ども。ざわつきは少し遅れて収まった。


舞台近くに立つ先生たちは、段取りにはない出来事に戸惑っているみてぇだ。


そんな中、京極きょうごくは続けてこう言う。



京極きょうごく「ご静聴ありがとうございます。それでは“BREAKERZブレイカーズ”、壇上にお上がりください」



奴がそう言い終えると同時に、俺たちはゆっくりと立ち上がった。


俺たちとは言っても、“BREAKERZブレイカーズ”全員ってわけじゃねぇ。演者が多ければ多いほどヘマするリスクは上がる。


だから、前に立つ奴は最小限に抑えるぜ。


BREAKERZブレイカーズ”及び自警部じけいぶの代表として、俺と水瀬みなせ


そして、パワー担当の鬼塚おにづかがぐったりした獅子王ししおうを担いで立ち上がった。


あぁ? ゴリラいるじゃねぇかって?


ヒャハハ♪ ちゃんと獅子王ししおうに見えてんのなら作戦は順調だぜ♪


再びザワザワし始めるパンピーたち。



「あ、あれ何だ?」


「いや、生徒会長だろ?」


「ゴリラの中の人だ! 俺たちを何度も守ってくれた!」


「副会長が司会してたから、いないと思ってたけど…。何かぐったりしてねぇか?」



奴らの視線は鬼塚おにづかに集中する。


緊張して少し動きの硬い水瀬みなせと、全身から汗を噴き出し足がガクブルな鬼塚おにづかが壇上へ向かう。


チッ、あいつら見てるとこっちも緊張してくるぜ。


お前ら…、特に鬼塚おにづか、ヘマすんじゃねぇぞ。


パンピー共に注目される中、俺も奴らの背中を追って壇上へ向かった。


クソッ、この俺としたことが……足が震えてやがる。


大丈夫だ、こうなることも俺は想定済みなんだぜ。


だから、あるものを持ってきた。


俺はズボンに手を突っ込み、そのあるものを取り出した。


これは、俺にとって最強の精神安定剤。


コーラ味のメントスだ。


俺は先生にバレないよう、こっそりと一粒口に運んだ。



ガリッ



たったの一口で効果はてきめん。


汗まみれの鬼塚おにづかの背中は虹色に輝き、俺を高揚させた。


コーラ味のメントスから得られる快楽と興奮は、俺の中にある緊張を上書きする。



「ヒャッ…♪」



おっと危ねぇ…! 思わず口から漏れそうだったぜ。


“ヒャッハー”は心の中に仕舞っとけ。


固い表情の水瀬みなせ獅子王ししおうを担いだガクブルの鬼塚おにづか


そして、メントス喰って準備万端の俺が壇上に上がり、京極きょうごくと肩を並べる。


京極きょうごく「では、少しお話を聞いてください」


ざわつく体育館内に、マイクに乗ったこいつの声が反響した。


若干静かにはなったが、それでも全員ヒソヒソと話してやがる。


ゴリラ会長のことが気になるのかぁ?


人気者じゃねぇか。ゴリラのクセに羨ましいぜぇ♪


恐る恐る獅子王ししおうを下ろし、ちゃんと前に向かせて立たせる鬼塚おにづか


京極きょうごくは、獅子王ししおうがしっかりと立ったのを確認してから話を進めた。



京極きょうごく「生徒会長、獅子王ししおうあきらを知っている人は多いと思います。救世主ゴリラとしても名高い彼の今の状態について、お話します」



ここまでは順調だな。


昨日話した奇策通りに進んでいる。


ただの司会如きで緊張してた時は焦ったが、もう完全に慣れたみてぇだな。


ガクブル鬼塚おにづかと違って、安心して見てられる。


「何か会長、動かなくね?」


「確かに、さっきも運ばれてきたし…」


パンピー生徒も獅子王ししおうの違和感に気づき始めたようだ。


まぁ、今はその違和感を拭うためのお話だぁ♪ 一時いっときの違和感を存分に味わいやがれ。



京極きょうごく「見ての通り、獅子王ししおう会長は動きません。その理由は、連休中に行った旅行にあります。彼はそこで心的外傷を負ったのです」



京極きょうごくは昨日話した作戦通りに話を進めた。


その話の内容ってのは、連休中に起こった出来事、フクマとの戦いについてだ。


ゴリラを含め旅行に行ったメンバーは、フクマという謎の敵からの襲撃に遭う。


特質や神憑かみつきの攻撃が効かない恐怖の根源的存在。


そんな奴との戦いに何とか勝利したのは良いものの、獅子王ししおうの心は疲弊していた。


最初は心配させないよう明るく振る舞っていたゴリラだったが、ある日限界が来たんだろう。


奴は1日ほど姿を暗まし、帰ってきた時には直立不動で動かなくなっていた。


途轍もない恐怖体験の反動は、あまりにもデカかったんだ。


……っていう設定な♪


この経緯を話した京極きょうごくから、俺はマイクを受け取った。


良くやったぜ、副会長さんよ。


ここからは話術と即興に長けた俺様に任せろ♪



「というわけで、このゴリ…、誰もが憧れ誰もが讃える天上天下唯我独尊の会長様は、こんな風になってしまいましたぁ♪」



あぁ、ちょっとヤベえな。


コーラ味のメントス喰ったせいで、まだハイになってやがる。


だが、大丈夫だ。


終わりさえ良ければ何でも良い。こいつらを1人残らず納得させてみせるぜ。



「こんな風に……、蹴ったり…! 殴ったりしても反応しません。まるで、ただの屍のようにぃ♪」



ケツを蹴ったり頭を叩いたり、身振り手振りを加えながら俺は説明する。


そして、その都度無抵抗で倒れそうになる獅子王ししおう鬼塚おにづかが支えて、ちゃんと前に向かせていた。



「おい! 会長に何するんだ!」


「私たちの象徴よ! そんな乱暴なことしないで!」



おびただしい数のブーイングが壇上に押し寄せる。


ハハッ、平和ボケのパンピーにはちょっと刺激が強すぎたかぁ?


“象徴”か、良い言葉を貰ったぜ♪



「そうだ! 俺たちが愛して止まない象徴は、こんな風になっちまったよ! どっかの変な敵のせいでなぁ♪」



張り上げた声がマイクを通って反響し、ザワついていた奴らはシーンとなる。


「こうなるのは会長様だけとは限らねぇ。俺らもお前らも今後やって来やがる敵に、トラウマ負わされるかもしれねぇよなぁ?」


程よい緊張感を持って聞き入る大衆。


良い締めを思いついてしまったぜ♪


“象徴”という1単語で思いつく俺が天才なのは当たり前だが、この言葉をくれたパンピーにも感謝するぜ。


この流れは、当初の作戦の狙いよりも大きいものが得られる。


俺は笑みを噛み殺しながら、こう述べた。



「だが、俺たち“BREAKERZブレイカーズ”、自警部じけいぶがそんなことはさせねぇ。お前らまとめて守ってやるよ。いつもの獅子王ししおうも必ず取り戻す」



若干の時間差で沸き上がるパンピー生徒ども。


狙い以上のものを即興のスピーチで手に入れちまうとはな。


全く…、俺って奴はよぉ♪


そして、最後に俺はこう言うんだ。


獅子王ししおうのことは、しばらくそっとしておいてやってくれ。学校には来るが、この状態はまぁまぁ長く続くかもしれねぇ。トラウマってのは中々治んねぇんだよ」


俺の奇策、ここまでは順調だ。


昨日の作戦も無事終わり、今日の作戦も完遂間近に迫っていた。


「あ、あの…! 隣の人も心的外傷なんですか? 中々の直立不動だと思うんですけど!」


歓声が止まない生徒たちの中、1つの手が上がる。


隣の人…、あぁ鬼塚おにづかのことか。


「いいえ、彼は人前に立ってあがってるだけです。そっとしておいて下さい」


無事に話を終わらせた俺たちが壇上から降り、京極きょうごくの挨拶によって全校集会は終了した。



__________________




時間を少し巻き戻すぜ。


昨日の放課後、生徒指導室で奇策について話し合った俺たちは、すぐにそれを決行した。


まず最初にやったのは、“BREAKERZブレイカーズ”全員に加え、京極きょうごく美澄みすみと共に文月ふづきの元へ向かうこと。


協力を頼むためじゃねぇ。

あくまでただの面会だ。


俺たちはガラス越しに奴と対面する。


水瀬みなせ「や、やぁけい。何か久しぶりだね。元気にしてた?」


文月ふづき「たった今、三ツ星レストランの料理を食べようとしていた所なんだが…。何の用だ? 言っておくが僕は多忙だ。手短に済ませてくれ」


ぎこちない水瀬みなせに対し、文月ふづきは不機嫌そうにそう言った。


ストレートに協力させるってのも悪くはないが、ここ“文月特別少年刑務所”は政府の管轄だ。


俺らの会話を盗聴されていてもおかしくはねぇ。


だから、ただの面会を装った。


日下部くさかべ「君って奴は、素直じゃないね。本当は僕たちに会えて嬉しいんだろう?」


文月ふづき「黙れ。元はと言えば、お前のせいで収監されたんだぞ」


ガラスに手を置いてニヤリと笑う日下部くさかべは、奴の機嫌を更に損ねた。


剣崎けんざき「球技大会以来であるな、文月ふづき氏。洗練に洗練を重ねたムキムキオタ芸を是非、見てくれたまえ!」


文月ふづき「興味ないし、刀を振り回すな。危ないだろ」


生き生きとした目をして刀を振り回す剣崎けんざき


確かにクソ危ねぇぜ…。


樹神こだま「表に2メートルのブロッコリー持ってきてるんだけど、食うか?」


文月ふづき「こちとら三ツ星レストランだぞ。お前から生えたブロッコリーなんか食うわけないだろ」


こいつは、2メートルブロッコリーの処理に困ってるみてぇだな。


的場まとば「よぅ、テロリスト。俺んちでサッカーやろうぜ!」


文月ふづき「忙しいと言ってるだろ」


サッカーの誘いを断られた的場まとばはショックを受けたのか、面会室の端っこでうずくまった。


こいつら、俺の指示わかってんのかぁ?


鬼塚おにづか「ふ、文月ふづきくん。あの…、僕、最近力加減ができるようになってきたんだ。少しずつだけど頑張るよ」


文月ふづき「そうか、良くやってるようで安心した。これからも精進してくれ。くれぐれも銀河系を壊さないようにな」


奴らの発言にイラついている様子の文月ふづきだったが、鬼塚おにづかとの会話で表情が緩んだ。


京極きょうごく「とてもカオスだ…」


美澄みすみ「これが…、能力者たちの会話? と、とても高次な内容ね…」


文月ふづきと奴らの会話に引いている2人の副会長。


こいつらには、文月ふづきの機嫌取りを任せていたんだが…。


鬼塚おにづか以外は落第点だな。


まぁ、時間稼ぎにしては充分だったぜ。


俺はいつの間にか隣にいた朧月おぼろづきに目をやった。


奴は無言のまま、文月ふづきに悟られないよう小さく頷く。


ここでの用事は終わりだ。



「よし、お前ら帰るぜ。これ以上、多忙な文月ふづきさんに迷惑かけるわけにはいかねぇしなぁ♪」



俺の言葉を聞いたこいつらは、皆こちらに振り向き、真剣な表情で深く頷いた。


おい、怪しすぎるだろ。もうちょっとナチュラルに振る舞えよ。


俺たちはただ面会に来ただけなんだぜぇ?


俺はこっちを見てくる文月ふづきに背中を向けて、面会室のドアノブに手を掛けた。



文月ふづき「ちょっと待て」



あぁ、クソ…。


流石に最後の挙動はまずかったかぁ?


「何だ、テロリストさんよぉ」


俺は口角を上げながら、ゆっくりと振り返る。


面会室に緊張が密かに走る中、奴は淡々とこう言った。


文月ふづき「敵らしき能力者が来たら知らせろ。近々、学校にも顔を出そうとは思っている。通学の許可は一応下りているからな。後、いい加減校章返せ」


なんだ、ただの報告か。

あせらすんじゃねぇよ。


何だかんだ、俺らが来て嬉しかったのかぁ?


「へっ♪ 一生引きこもってな、囚人ニート!」


用事を終えた俺たちは文月ふづきの刑務所を後にした。


水瀬みなせとかが話して気を引いている間、朧月おぼろづきが能力を使って中に侵入したんだ。


俺はあるものを盗み出すよう、指示していた。


それは、獅子王ししおうの姿を再現できる奴の発明品だ。


「よくやったぜ、朧月おぼろづきぃ♪」


俺は朧月おぼろづきを褒めながら、奴からそれを受け取った。


手のひらサイズとは言わねぇが、片手で持てる軽いもの。



“ホログラム機能付きおむすびせんべい”だぁ♪



正式名称は知らねぇがな。


見た目はおむすびせんべいの袋と変わらねぇが、こいつは任意のホログラムを映し出すことができる代物なんだよ。


このおむすびせんべいで、獅子王ししおうの完全なホログラムが作れるってわけだ。



「これで獅子王ししおうを作って奴の家に持って行く。そしたら、後は明日の全校集会に備えるぜ」



ホログラムの獅子王ししおうを一度家に届けた俺たちは、この日の作戦を終えて解散した。


ちなみに、この日から拉致を防ぐため“BREAKERZブレイカーズ”全員で集団下校を徹底することになった。


全員で1人ずつ家に送っていく。


最後の1人になるのは鬼塚おにづかだ。奴を拉致れる人間はそうそういねぇからな。


逆に鬼塚おにづかが拉致られたら、国家総動員案件だぜ…。



__________________




そして、今に至る。


全校集会で鬼塚おにづかが担いでいた獅子王ししおうは、特殊なおむすびせんべいで作られたホログラムだったってわけだぁ♪


正直このホログラムはむちゃくちゃ軽い。おむすびせんべいだからな。


だが、俺らが人を軽々運ぶのは違和感がある。


だから、力持ちの印象が根強い鬼塚おにづかに持ち運び役を担わせたんだ。


全校集会が終わった今、獅子王ししおう鬼塚おにづかに運ばれて教室に戻ってきた。


自分の席に座ってからも微動だにしない獅子王ししおう


背筋をピンと伸ばして拳を太ももの上に置いたこの姿勢は、じっとしてなきゃならねぇ卒業式を彷彿とさせる。



獅子王ししおうくん、早く元気になってね。バナナ、置いとくね」


獅子王ししおう先輩、お大事に。良かったらこれ食べて下さい」



奴の机の上には、多くの生徒によって果物やお菓子が置かれた。


机の上の3割くらいバナナが置かれている訳だが、ゴリラの印象が強いからか?


こいつらは厚意で置いてるのかもしれねぇが、お供え物みたいで何だか不謹慎だぜ。


おいおい…。よく見ると、白黒の写真も置かれてるじゃねぇか♪


遺影みたいな写真のせいで、不謹慎さが加速しているぜ!


誰が置いたんだぁ? この好かれまくってるゴリラにも、アンチはいるみてぇだな♪


日下部くさかべ「…………」


白い目で白黒写真と俺の顔を交互に見るオナラ野郎。


いや、俺じゃねぇぞマジで。


遺影なんざ、お前と文月ふづきの席にしか置かねぇよ。


水瀬みなせ「とりあえず、これでひと段落着いたって感じかな?」


「あぁ、これで地盤は固まった。急ぐ必要はなくなったぜ」


急な話に戸惑いはするものの、誰も俺らを疑っている様子はなかった。


偽物の獅子王ししおうに違和感を持った奴もいないだろう。


全校集会での本来の目的は達成された。


動かない獅子王ししおうについて説明し、行方不明になっていることを誤魔化すことだ。


おむすびせんべいを調達してすぐ家に届けたから奴の親も疑ってはねぇ。


喋らなくなった偽物の獅子王ししおうを見て、ショックは受けていたがな。


行方不明がバレなければ奇策は一旦成功だが、俺の即興スピーチで更に得たものがある。


それは、“BREAKERZブレイカーズ”への賞賛と信頼から来る影響力だ。


俺たちは、パンピー生徒の希望の星になっちまったんだよ♪ その影響力はかなりデカい。


仮に御影みかげがゴリラ行方不明を知っても、即廃部ってわけにはいかないだろう。


全生徒からの反感が自警部じけいぶの盾になる。


俺たちは守り守られる関係になったんだ♪



水瀬みなせ「で、すめらぎ。次の作戦は?」



座った獅子王ししおうの横に立つ水瀬みなせは俺にそう聞いてくる。


俺がこいつらに話していたのは、今日までの内容だ。まだ続きは話してねぇ。



キーン コーン カーン コーン


キーン コーン カーン コーン



奴が質問した直後に、授業の開始を知らせるチャイムが鳴り響く。


「おっ、ヤベぇな♪ 授業に遅れるぜ。また後で連絡するわ!」


ここは、特質持ちや神憑かみつきが集められた特殊なクラス。


別のクラスだった俺は、やや駆け足で廊下に飛び出した。


そして、ドアの前で振り返って奴らにこう告げる。



「あ、集団下校は絶対だぜ♪ 拉致られたくねぇだろぉ?」



さて、こっからどうなるか楽しみだぜぇ♪




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