フクマ - 水瀬 友紀㉛
僕は現実に戻ってきた。
確かな手足の感覚…、新幹線の走行音と増大したフクマの気配がそう実感させる。
気配が近い…! そして、まるで僕を囲い込んでいるかのようだ。
また分身したのか? 今度は何体いる? 3体どころじゃない。
まだ何も見えない。
現実に戻ったという実感から少し遅れて、僕の身体は目を醒ました。
そんな僕の目に飛び込んできたのは…、
得体の知れない紫色の球体だった。
きっとフクマの攻撃だ。
僕の眼前に禍々しい球が迫っている。
すぐに攻撃が来ると、姉さんは言っていた。
警戒してはいたけど…、無理だ。
暗い球は目と鼻の先。そして、それは恐らく四方から放たれている。
風の力の発動は間に合わない…!
もう少し早く戻れていたら…!
レーザー並みの速さで向かってくる紫色の球に、僕は死を悟って戦慄した。
ヤバい、死ぬ…! 皆を死なせてしまう!
ゴゴゴゴゴ………!
怒る大地の脈動。
錯覚かどうかはわからない。
地鳴りのような音が聞こえた僕は、咄嗟にそう思ったんだ。
そして、次の瞬間…、
ドッ……!
僕と紫色の球の間を、津波や大洪水を彷彿とさせる激流が横切った。
なんだ…? 大量の水が車内に。
いや、水なのか…?
突然の出来事に理解が追いつかない。
走る新幹線の窓ガラスを突き破ってなだれ込んできた大量の水は、その勢いで紫色の球を掻き消してフクマたちに迫る。
激流に呑まれた球は黒い靄となって分散した。
守ってくれたのかはわからない。
だけど、僕は突如現れた水らしきものに救われたんだ。
そして、大蛇のようにうねる大量の水は、僕らを取り囲んでいたフクマを壁や床に押さえつけた。
偶然とは思えない。
この水には…、意思がある?
バキ……バキ……バキ……!
固いものが折れるような音が何重にも重なって車内に木霊する。
同時にフクマたちの四肢はありえない方向に曲がっていた。
のしかかる水圧に身体が耐えられなかったんだろう。
荒ぶる水のお陰で危機を回避できた僕は、一度冷静になって車内を見回した。
フクマは10体に分身しているみたいだ。今のところ、どれもが水に押さえつけられているけれど。
でも、押さえつけて骨を折っても決定打にはならない。
そして、流れ込んできた大量の水は車内のフクマたちに集中している。
僕らのいる場所には1滴もやって来ない。
“僕ら”って言ったのは、どういうことかというと…。
僕のすぐ後ろや隣には新庄たちが茫然と立ち尽くしているんだ。
焦点が定まっていない虚ろな目をして…。
僕と同じように嫌な情景を見せられているんだと思う。
多分だけど、情景から目を醒まさない限り彼らはずっとこのままだ。
僕もさっきまでこんな感じだったのかもしれないな。
ただ、1人だけ意識のある人がいた。
いや、人ではないか。
シリウス「ふぅ…、助かったよ。これは君の能力かい?」
安心した様子でホッと息を吐くシリウス。
神である彼に、フクマの幻覚は効かなかったのだろうか? それとも、大したトラウマとか嫌な過去がなかった?
シリウス「助かったけど、この攻撃はナンセンスだよ。フクマの力を増大させている」
話を続けるシリウスは、フクマたちを見据えてそう言った。
彼の言うとおりだ。何度も復活し分身するフクマに、直接的な攻撃は意味がない。
僕らの周りを蛇行し、思うがままに暴れ回る激流。
これは、僕の能力じゃない。水が勝手にやって来てフクマを攻撃し始めたんだ。
“力を増大させている”か…。
結河『フクマは恐怖とか怒りとか辛い気持ちとか、そういう負の感情で強くなるんだと思う』
情景の中で聞いた姉さんの言葉が頭を過る。
今のシリウスの発言と、姉さんの言葉に矛盾はない。
だって…、
水はこれ以上なく怒っているから。
怒り任せにフクマの四肢を粉砕しているんだ。
意識を向けると僕は感じ取れる。
煮え滾る水の激昂を…。
どうして怒っているかはわからない。
車内で荒ぶる水を、僕とシリウスはただただ見ていた。
一見ボコボコにされているように見えるフクマだけど、恐らく水の怒りを糧に自身の強化を計っている。
ただ傍観するのはまずい。
これは僕の能力かと、シリウスは聞いてきた。
「制御してみるよ、シリウス」
僕は彼にそう答えて、大蛇のようにうねる水に手を翳した。
この水には間違いなく意思がある。だけど、形は為していない。
ただ、怒りの赴くままにフクマを痛めつけているだけ。
そんな彼に、僕は形を与えるんだ。
フクマを倒して、皆を守るために…!
「水よ、君に協力する。だから、力を貸してくれ」
僕が一言そう呟くと同時に、フクマたちが動き出す。
ドオオォォォン!
水によって四肢を粉砕されたフクマたちの身体を中心に黒いオーラが解き放たれた。
強い衝撃波のようなものが車内を奔り、フクマにのし掛かっていた水は全て吹き飛んだ。
そして、9体のフクマは黒い靄となって、前方にいるフクマの身体に吸収される。
満身創痍な身体は元通りになった。
シリウス「あれはもう…、僕の上司と同等かそれ以上の力だね…」
怯えた様子で後ずさるシリウスと、口が裂けそうな勢いで嗤うフクマ。
彼が放つ禍々しい気配は、今までで1番強いものだ。
慣れたはずの気配に、僕は少しばかりビビってしまう。
手の平をこちらに向けて、より禍々しく肥大な球を生成するフクマ。
吹き飛ばされた水は再び激流となって、彼に向かっていく。
ゆっくりと考えている余裕はない。
だけど、あくまでも冷静で確実に思考するんだ。
翳した手の先にいるフクマを僕は見据えていた。
姉さんとの数少ない思い出が鮮明に甦る。
全部…、全部思い出した。
学んできた水の法則全てを…!
考えて実現させろ。
激昂し荒ぶる水、直に放たれるフクマの強大な一撃。茫然と立ち尽くす無防備な陽たち。
この状況下でとる最善の行動は…!
“λπυξεΧγΩβΣ”
“ΛΔΘθγχωЖ”
頭の中で描いた法則を組み合わせる。
水は万物の心に呼応する。
僕が考えた水の法則は伝わったはず。
「受け取れ! 君が今、為すべき形だ!」
僕は手を翳したまま、声に出してそう伝えた。
形を為さず、ただただ荒ぶっていた水から怒りが消える。
そして、フクマに迫っていた激流は方向を変えて割れた窓を潜った。
意表を突かれたのか戸惑う様子のフクマ。
窓を潜った大量の水の先端は、巨大な人の手を為して新幹線の外側からフクマに迫っていた。
彼がそれに気づいたのは、ちょうどフクマの横にある窓から手が伸びてきた時。
気づいて対応するには遅すぎた。
「水の理・水魔の手」
窓の外からやって来た巨大な水の手に掴まれたフクマを見て、僕はそう呟く。
そして、その水の手は僕のイメージ通り、手を入れた窓から腕を引いて彼を外へ放り投げた。
まずは、外へ放り出す。ここで技を出されたら無防備な皆が危ない。
「風の理…、ウインド・ウイング」
僕も風の力で飛び上がり、割れた窓を潜って外へ出た。
車内で蛇行していた水が僕に着いてくる。
水は冷静だ、もう怒りを感じない。
「うん…、フクマは怒りや恐怖で強くなる。一緒に決着をつけよう」
僕は、隣で大蛇のようにうねる水にそう言った。
水の手に放り投げられたフクマは風の力で浮遊する僕の前方に。
彼は体勢を立て直し、あたかも足場があるかのように空中に足を着けた。
そして、こちらに向けられた10本の指から更に暗くおどろおどろしいレーザーが放たれる。
これを1発でも喰らったら、全身が腐り落ちて死ぬ。
レーザーは速くて脅威的。だけど、冷静さを失ったらダメだ。
ビビるなんて以ての外。フクマは恐怖を餌にする。
イメージするんだ。僕を模した機械“EvilRoid - Aqua”が使っていた水の理を…!
そして、彼の技を再現するための法則を思い描くんだ。
“√∃∵ÅzΖЫ”
僕はある水の法則を頭に浮かべながら、迫るレーザーに手の甲を向けた。
「水の理・水壁」
隣にいる大量の水の一部が分離し、僕の前で大きな正方形に変化する。
上手くいった。水が僕に応えてくれる!
水で象った壁は、フクマのレーザーの進行を止めるだけじゃない。
水の壁に当たったレーザーは1つ残らず消えていく。
打ち消したり相殺しているわけじゃない。
フクマのレーザーは、命中した対象を腐らせるもの。だけど、水という物体は無機物で腐らない。
彼の攻撃は、水には効かないんだ。
形成された水の壁に打ち続けられる無数のレーザー。
もちろん、僕らは勝ちに行くよ。
Aquaの技から発想を貰い、自ら培った水の知識でそれを再現するんだ。
覚えてきた全ての法則が頭の中を駆け巡る。
水の壁越しにフクマを指さした僕の頬には、自然と涙が伝った。
“ΧΠαγβΔ¢ефщю”
“ΘΓδπιЙψ”
“ℵ¤ηζρκДРЭЯ”
技を再現するための法則を水に共有する。
「水の理“法則混合”・円状貫水衝線」
視界が涙でぼやける中、僕はそう発しながらフクマを指した人差し指で円を描いた。
ドドドドドドン!!
これもAquaの技だ。
ちゃんと再現できた。
指で円形になぞったところから、対象を貫く高圧な水のレーザーが数十本と放たれた。
ドン! ドン! ドン!
その内の何本かはフクマに命中し、体中に穴を空ける。
レーザーを喰らった反動で仰け反ったフクマは、何か違和感があったのか、穴の空いた身体に触れて怪訝な表情を浮かべた。
涙が止まらない。
「ありがとう…、君のお陰で全部思い出したよ。姉さんのこと…、忘れていた水の法則全部を…!」
気づいたら僕は、フクマに感謝を述べていた。
そうだ、忘れていたのは姉さんのことだけじゃない。
7才になる前、“間に合った”と安心したあの瞬間、僕は学んだ水の法則のほとんどを記憶から消したんだ。
9割……いや、“99.99%”忘れていた!
フクマにあの情景を見せられなければ、ずっと僕は忘れていただろう。
どんな理由があっても、命を助けてくれた恩人を忘れるなんて最低だ。
でも、思い出させてくれた。
姉さんと話をさせてくれた。
そして、水の法則全てを思い出した僕は“水の理”を使えるようになったんだ。
水が僕の言うことを聞かなかったんじゃない。
姉さんの命を奪った水を、僕が無意識に拒絶していたんだ。
フクマは涙を流す僕に対し、不服そうに顔を歪ませる。
攻撃しながら感謝するなんておかしいよな。
これから姉さんの死と向き合っていく。
生前の姉さんが好きだった水とも…。
君にとっては、僕らを仕留めるための作戦だったのかもしれない。
でも、僕は変われた。
平凡で普通な僕が、風に加えて水も自在に操れるようになったんだ。
これで僕も皆と一緒に戦える。
皆を守れる…!
心の底から感謝していると、僕は言い切れるよ。
だけど…。
僕は目に溜まった涙を拭って、歯軋りするフクマを見据えた。
「君には感謝している。だけど、敵意のある君とは友達になれない」
僕はそう言ってから、ウインド・ウイングの力で加速しフクマに迫った。
身体に空いた穴が再生していない。
心なしか弱っているようにも見える。
姉さんの言っていたことは多分正しい。
フクマは負の感情で強くなる。逆に、希望や感謝といった正の感情は毒なんだろう。
勝てる…、希望を持って戦うんだ。
フクマを倒すことじゃなく、皆を守ることに意識を集中させろ。
ここで勝って、みんなを……乗客を守るんだ!
「うおおおぉぉぉぉ!!」
僕は雄叫びを上げながら、右手に拳を作って後ろに引いた。
“ΛΠθκρш”
技をイメージし、それを実現するための水の法則を考える。
僕の加速に着いてきた隣の水は、右手の拳を覆った。
「水の理・水衝!」
ドンッ!
フクマの頬を目がけて、僕は水を纏った拳でパンチを繰り出す。
しかし、彼が咄嗟に真上へ跳んだため、僕の拳は空を切り、衝撃音だけが響き渡った。
上空でこちらに手を翳して、紫色の球を発生させるフクマ。
ドオオォォォン!!
僕が彼を見上げる時には、それは既に放たれてこちらに迫っていた。
影のレーザー並みの速さ…!
対応が間に合わない…!
何もできない僕に迫る肥大な球。
ドオォン…!
それに対応したのは、大蛇のようにうねる形を為さない大量の水だった。
僕と球の間に割って入り食い止めている。
僕を…、守ってくれたのか?
影のレーザーと違って水で止められても球は消えない。
性質が違うのか威力が強すぎるのか。
そして、若干だけど水が押されているように感じる。
“__助けてくれてありがとう。僕ももうひと踏ん張りするよ”。
僕は水に対して、心の中でそう呟いた。
上空から迫る球を押さえている水に、僕は手を掲げる。
あの技を再現するんだ。
水は大量にある。きっとできる!
法則を考えろ。
あの強大な技はいったいどうやって…。
幾多の法則が頭を駆け巡る。
いや、考えて当てはめるだけじゃダメだ。
組み合わせるだけでも再現できない。
考えろ、考えろ、考えろ…!
水の法則を100パーセント叩き込んだ僕の脳をフル回転させるんだ。
あれを再現するための…、
新しい法則を創り出せ。
形を為さない大量の水が球に押し切られそうになる中、僕は全ての神経を法則に集中させた。
鼻血が唇を伝う感覚を最後に、僕の視界は真っ暗になる。
何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。
無数にある水の法則が凄まじい速さで浮かんでは消えていく。
“κРЙ¤ΘΠψ……”
“κРЙ¤ΘΠψнιЭℵ∀∑∮Ω……”
“κРЙ¤ΘΠψнιЭℵ∀∑∮Ω∝√£⊗шθф∂∇……”
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完成した。
あの技を再現するためだけに創られた新たな水の法則。
この法則が頭に浮かぶと同時に、視界が明ける。
五感を取り戻した僕の頭上で、球は水を無理やり通り抜けようとしていた。
押し切ろうとする球は、空いた水の隙間から顔を出している。
“__水よ、君にこの法則を共有する。これが君の真骨頂だ!”。
僕が手を掲げたままそう念じると、水がニヤリと笑ったような気がした。
僕に着いてきていた大量の水全てが、その巨大な形を為していく。
僕はあの技の再現を成功させたんだ。
後は球を相殺し、弱ったフクマを倒すだけ。
行け…、行け!
「行っけえええぇぇぇぇ!!」
僕の掛け声と同時に、水は完全にその姿を為した。
鋭い爪の生えた手足に対して蛇のように長い胴を持つ巨大な水の龍が現れる。
巨体にそぐわない速さで動いて球を破壊し、フクマに迫った。
身体に空いた穴を手で押さえながら、悔しそうに歯を食いしばるフクマ。
そんな彼に対し、水の龍はその大きな口をゆっくりと開ける。
限界まで圧縮した白く巨大な水の球体が口の中から現れた。
「水の理・海神龍“海龍滅衝弾”」
ドドドオオオォォォォン!!
水の龍の口から放たれた巨大な球体は、フクマを跡形もなく消し飛ばし、大地を轟かせた。
増大していたフクマの禍々しい気配が完全に消える。
何度も消えては現れた彼の気配だったけど、今回は清々しいほどに彼を感じなくなっていた。
今までとは違う感覚、本当にフクマはどこにもいない。
「姉さん…、みんな…、勝ったよ」
戦いの緊張から解放された僕は、上空で回遊する水の龍を見て、少しばかり目を閉じた。
線路の上でピタリと静止している新幹線。
まさかそれが…、
バキッ!
ちょうど真っ二つになって、後ろ半分の車両が地面と垂直に折れ曲がっているとは知らずに…。




