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第二巻発売中! ダンジョンマスター班目 ~普通にやっても無理そうだからカジノ作ることにした~  作者: 有山リョウ


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第七十七話

 第七十七話


 ダンジョンマスターとの会談があった十日後、イベント告知の詳細が発表された。そして四英雄が大会の運営に参加し、神剣ミーオンを預かることも同時に告知された。

 この情報は驚きをもって町中に、いや国をまたいで広く伝わった。


 四英雄がダンジョンの主催するイベントに参加することについて、様々な憶測が流れた。

 やれダンジョンとの癒着や、四英雄が神剣を自分の物にするのではないかとささやかれたが。新設された特設会場に神剣ミーオンが安置され、四英雄が警備についたのを見て、神剣が本物である事は間違いないと多くの人々が信じた。そして優勝者に神剣が授与される話に真実味が増し、大会は大いに盛り上がりを見せていた。


 しかし、その中で激怒した人物が一人いた。勇者サイトウである。

 勇者サイトウは話を聞くなり、ギャンブルキング大会の大きな看板が掲げられた特設会場に怒鳴り込んできた。

 特設会場では展示された神剣ミーオンを一目見ようと、見物客が集まっていたが、勇者はその人だかりを押しのけるように進み、神剣を警備する四英雄の前にやってくる。


「どういうことだ、これは!」

「ああ、サイトウさま」

 怒鳴りこんできたサイトウに対しては、まずカイトが前に出て阻んだ。


 告知がされ、特設会場にミーオンが展示されれば、勇者サイトウがやってくることはわかっていた。

 四英雄と勇者が激突することは避けるべきと考え、警備のために来ていたのだ。

 カイトはとりあえず前に出て勇者との間に入ったが、全く相手にされず押しやられた。


「ミーオンを返せ。それは僕の物だ」

 勇者サイトウは展示されているミーオンに手を伸ばしたが、その手は弾かれ、押し戻された。

「ぬっ、結界か」

 弾かれた手を見て勇者がうなる。


 一見すると何もないが、手がはじかれた瞬間、光り輝く壁が神剣の周囲を覆っているのが見えた。

 一瞬だけ見えた結界に、カイトは見ほれる思いだった。モンスター除けや死霊除けなど、様々な結界があるが、ここまで強力なものはまれだ。


「君か、クリスタニア」

 勇者サイトウが、展示されている神剣ミーオンの傍らに立つ、聖女クリスタニア様を見る。

 あれほど強力な結界を張れるものなど、聖女様以外いないからだ。


「この結界を解け、僕に返却すべきだ」

「勇者サイトウ様。申し訳ありませんが、それはできません」

 勇者は聖女に詰め寄るが、クリスタニア様はきっぱりと断った。

「この神剣は、私たちの所有物ではありません。大会期間中、警備のために預かっているだけです。預かっているものを、人に譲ることはできません。神剣ミーオンが欲しければ、ダンジョンマスターマダラメとお話しください」

 聖女クリスタニア様は道理を説いた。


「ふざけるな! 君は勇者を支援する教会の聖女だろうが! ならダンジョンから神剣を取り戻し、僕に渡すのが使命だろう!」

 サイトウは教会の理念を盾に聖女に迫る。

 その聖女を守るように、手が差し伸べられた。

 黒装飾に身を包み、仮面をかぶった英雄が一人夜霧である。


「「「やめろ、見苦しい」」」

「なんだと、薄汚い暗殺者ごときが、勇者の僕に説教をするつもりか?」

「「「神剣をお前に渡したとして、それでどうするつもりだ?」」」

 まるで洞窟の中にいるような声で、夜霧が勇者に問う。


「そんなこと、決まっている。もう一度ダンジョンに挑む」

「「「そしてまた神剣を奪われるのか?」」」

「っ……あれは、油断していたからだ!」

「「「ダンジョンで油断している方が悪い」」」

 言葉に詰まった勇者が言い訳を、夜霧は一言で斬って捨てた。

 これには勇者も何も反論できなかった。


 ダンジョンに挑むということは、当然だが命がけの仕事だ。ほんのわずかな気のゆるみが生死を分ける。油断したなど言い訳はできない。

 そもそも、二度目がある事自体が奇跡なのだ

 攻略失敗はすなわち死を意味する。勇者が生きて返されたのは、このダンジョンが人を殺さず、危険性がないことをアピールしていたからだ。

 もしこれが普通のダンジョンであれば、勇者は間違いなく死んでいた。二度目などなかった。


「「「それに、どうしても決着をつけたいのなら、これで決めればどうだ?」」」

 夜霧が特設会場に掲げられている、ギャンブルキング大会の看板を指差す。

「「「大会にはダンジョンマスターも参加する。お前たちの因縁は知らないが、ギャンブルで決着をつけたらどうだ?」」」

 夜霧の言葉に、勇者サイトウは目を見開いた。


 ここのダンジョンマスターが何者なのかは、まだよくわかっていない。しかしギャンブルに深い造詣がある事は間違いなかった。

 その知り合いである勇者サイトウが、ギャンブルを知っていたとしてもおかしくはない。いや、二人が互いに憎みあう原因が、もしかしたらギャンブルにあるのかもしれない。

「「「それとも、自信がないのか?」」」

 夜霧の分かりやすい挑発に、勇者サイトウは乗った。


「いいだろう、その挑発に乗ってやる。だが覚えておけ、優勝して神剣ミーオンを手にしたならば、最初に斬るのはマダラメではなくお前の首だ」

 勇者が殺気をはらんだ目でにらむが、暗殺者は動じない。

「「「楽しみにしておこう」」」

 勇者サイトウの殺気を前にしても、暗殺者は涼しい顔で答えた。


 サイトウは、覚えていろと捨て台詞を吐き去っていく。

 とりあえず血を見ることはなかったので、カイトはほっと息をついた。

 さすがに勇者と英雄たちの前では、自分などさっぱり空気だったが、それが自分の立ち位置だろう。

 カイトは諦念のため息をついていると、赤いドレスのような衣装をまとった灰塵の魔女ことアルタイル嬢が、カイトに歩み寄ってくる。


「ねぇ、カイト。ちょっといい?」

「なんでしょうかアルタイル様?」

 英雄に名前を憶えてもらって光栄だが、カイトはうぬぼれなかった。先ほどもわかったように、自分など英雄たちの前では存在しないに等しい小物なのだから。


「あなた、ここ長いんでしょ? ギャンブルの腕前はどうなの?」

「そこそこ得意な方だと思います」

 アルタイル嬢の問いに、カイトは素直に答えた。

 ギャンブルの才能があると思ってはいないが、長くいることで、ここで行われているギャンブルのことは把握している。


「そう、じゃぁ貴方も、この大会に参加しなさい」

 アルタイル嬢は、ギャンブルキング大会の看板を指差しながらカイトに命じた。


いつも感想や誤字脱字の指摘、ブックマークや評価などありがとうございます。

ロメリア戦記の書籍化が決定しました。

小学館ガガガブックス様より、出版予定です。

これもすべて皆様読者様のおかげです。これからよよろしくお願いします。

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