水力発電
本日二話目です。
異世界転生80日目の朝。
俺はルーメンの屋敷で起きた。
さっきまで楽しんでいたので、皆まだ寝ている。
アヤさんは遠慮していたが、ララに触発されて随分楽しんでいた。
「アイン、明日が引き渡しの日だよな?」
「仰るとおりでございます。」
遂に冒険者ギルドから、スキル書「誤認」「アイテムボックス」を貰える。
他にも持って来ているようだが、詳細は巫女天狗にも不明だ。
Sランク冒険者パーティが複数護衛に付いているなんて、流石は冒険者ギルドだ。
一番の問題は、鑑定持ちがいることだが。
俺は屋敷の水路に来ている。
昨日も思ったが、そろそろ電気が必要だと思う。
ロウの火だけでは、日本人には暗すぎる。
現代でも、欧米よりかなり明るいしな。
発電には磁石が必要だ。
電磁誘導を用いる以外に、発電方法なんて知らないが。
磁石と言えばネオジム磁石なんだが、鉄にネオジムとホウ素を混ぜれば良いんだよな?
雷魔法と炎魔法を用いて、真空を作りだしそれらを溶解して混ぜ合わせる。
急速冷却して固めたら、それを量子魔法を用いて裁断する。
細かくなりすぎないように注意しないとな。
次に、成形に必要なコイルを作る。
研究施設から銅線を持ってこさせて、長方形の木枠の周りに巻き付ける。
極力巻き数は多く、隙間無く巻き付ける。
真空の中で枠を外して、そこで磁石の元を圧縮する。
圧縮中、雷魔法を用いてコイルに絶大な磁場を発生させる。
外側に発生する磁場を、空間魔法を用いて遮断しながらな。
圧縮した物を、炎魔法を用いて焼結させる。
直ぐさま急速冷却して、ほどほどの温度で再度熱する。
更に急速冷却して、低い温度で再加熱。
それを急速冷却すれば、着磁させるだけだ。
一応、着磁させる前に金メッキを施しておく。
ネオジム磁石は、かなり酸化しやすかったはずだからな。
先程作成したコイル中に、再度設置して着磁する。
これで、ネオジム磁石の完成だ。
屋敷の貯水部屋に繋いでいた水路も、地面に池を作ってそこに繋がるように改造する。
只でさえ速い流れを、急勾配で更に速くする。
クロムモリブデン魔法金属製の水車にネオジム磁石を連動させ、
コイル中で回転させれば水力発電機の完成だ。
水流に対して、発電機が一つでは勿体ないな。
屋敷からは水圧で給水しているから、流れが遅くなるまで発電機を設置させよう。
一個作ったから、あとは巫女天狗達に任せる。
それに送電方法は銅線だが、超伝導送電とかいう物があったはず。
うん、丸投げしよう。
俺は屋敷の中にいる。
電気を使えるようにしたので、次は白熱電球だ。
まず、石魔法で糸状のタングステンを生成する。
巨人種に電球型のガラスを作らせて、その中をキセノンと微量のヨウ素で満たす。
タングステンに繋いだ銅線を、発電機に繋げれば完成だ。
うん、切れた。
一瞬眩しくなって、直ぐに切れたよ!
フラッシュかよ!!
電流や電圧を計測する機械がないから、試行錯誤するしかない。
巫女天狗の並列処理に期待しよう。
いや、ここは鉄心にコイルを巻いて変圧器を作れば良いのか。
そういえば、発電機自体にも鉄心が必要だな。
主に使われるのは、ケイ素を混ぜた鋼だったはず。
早速改造しよう。
さて、効率的な発電とは難しいことだったようだ。
手の空いている巫女天狗が総掛かりで、既に夕方だ。
配合比率というは、長年の知識の塊なんだな。
ありがとうございました。
作中のネオジム磁石は、本来繊細な技術を必要とする物です。




