秘密の管理
本日四話目です。
異世界転生71日目の深夜。
今夜はアヤさんの常宿に泊めて貰った。
部屋は離れているが、駆けつけても問題ない距離だ。
「我が神よ。刺客がやって参りました。
間もなく、アヤ様の部屋に侵入します。」
やはり来たか。今夜は深い眠りに入っていることを見越してだな。
まぁ、秘密を知った人間を、生かしておく理由はないだろう。
今回の依頼、秘密を守れる人間にしか任せられないが、
依頼完了後は死が待ち構えている。
リンは、立派にギルドマスターをやっているようだ。
ぼっちの二人なら、消えても問題が起きにくいだろう。
さて、迎撃しますか。
廊下には黒装束の男が三人いた。
部屋から飛び出てきた俺を、問答無用で殺しに来る。
こいつらには、色々と聞きたいことがある。
四肢の関節を粉砕して、歯も破壊しておく。
あとは、巫女天狗に任せる。
アヤさんの部屋の扉を壊して中に入ると、
窓から黒装束が侵入を試みていた。
アヤさんも音に飛び起きて、俺の首を撥ねようとする。
こんな時に、その癖を発揮しなくていい。
宿屋の壁を貫いて、黒装束を無力化していく。
「ジン、どういうこと!?」
「暗殺ですよ!」
路地にいた黒装束が逃げようと駆けだしている。
壁を破壊し路地に踊り出して、こいつらも無力化する。
実行犯は計八人か、結構な数だな。
遠方から様子を伺っていたこいつらの仲間は、
巫女天狗によって処理される。
「アヤさん、リンの所に行きましょう。」
「……分かったわ。」
アヤさんは泣いていた。
そっと抱きしめたアヤさんは、予想より小さかった。
「リン、いるんでしょ!?リン!?」
「アヤ、どうしたんだい?」
リンがいた場所は、ギルドマスター室だった。
基本的にギルドはいつでも開いているが、職員は誰もいない。
「どうしてなの?理由を聞かせてよ!?」
「理由?そんなの簡単。
この国を守るため、この一言に尽きるよ。
人類に支配なんてされてたまるか!
この国は、私たちの希望なんだよ!?
アヤだってそうじゃないか!
耳のせいで、人類の国で酷い目に遭っただろう!?」
「そ、それはそうだけど。ジンみたいな人もいるわ!」
「ふん、この坊やがなんだって言うんだ!人類の回し者さ!
登録の時、エスパルト王国国王の印章を持って来たんだ!」
「うそ…ジン、嘘だよね?
ジンは私の事、人間だって認めてくれるよね?」
「アヤさんもリンも、俺にとっては人間ですよ。」
「どの口が言うんだか。
どのみち、二人に未来はないよ。
王国の秘密を知った以上、生かしておけないっ。」
リンは短剣と魔法を使うようだ。
短剣で牽制しながら、魔法を発動しようとしている。
魔力も大きく、レベルも高そうだ。
まぁ、真空で囲ったら気絶したが。
「貴方、何かした?」
「いえ、運が良かっただけみたいです。」
「これ、どうしよっか?」
そんな瞳で、見つめないでよ。
ありがとうございました。




