魔法使い
俺は今すぐ、リルエルとベットに潜りたい気分だ。
悪寒がする。別に、熱があるわけではない。
魔力、そう魔法の源の魔力を感じているんだ。
「うげぇー」
「ご主人様!?大丈夫ですか!?」
「ジン様?」
「お兄様!?」
上からイリンフォース、リルエル、マイだ。
マイには俺のことを「お兄様」と呼ばせることにした。
別に、劣等生の影響じゃない!
リルエルは、夜の間にいつの間にか。
もちろん、ネプは爆睡中だ。
「大丈夫だ。ちょっと魔力がな。」
「ジン様。魔力は体の一部なのです。そのように常に放出していては魔力が尽きてしまします。」
そんなこと言われても…。
この悪寒がする物を身に纏えと?
自己暗示をしよう。得意だろ俺?
この悪寒はマイの分泌物。
この悪寒はマイの聖水。
この悪寒はマイの分泌物。
この悪寒はマイの聖水。
うん、取り込めた。
だって、こんなにも可愛いマイの分泌物!
全部吸収したい!!全部愛でたい!!
ふぅ、落ち着け俺。
ともかく、俺は魔力を感知することが出来るようになった。
魔法を試すのは、広い場所がいいな。
始めて腕力を試したときのようなことがないようにしたい。
そもそもレベルが上がっているから、この星系など木っ端微塵になってしまう。
いや、もしかしたら銀河が?銀河団が?
神すら恐れるということは、世界そのものが?
まぁ、俺が設定した巨大数に従うなら、世界を壊した位で収まらないけどな。
「リルエル、魔法の種類について教えてくれ。」
いや、散々転生小説を読んだことのある俺には分かるよ。
ステータスを見た時点で想像つくし。
でも一応、確認という物は必要だろう?
「謹んで承ります、ジン様。
魔法には、火、水、風、土、の基本属性と、
それぞれの発展系である、炎、氷、雷、石、の発展属性がございます。
また、光、闇、の特異属性を合わせた10属性がございます。」
やっぱりね。
想像と外れていることはない。
「では、ステータスの炎魔法(3)というように、()でくくられている数字はなんだ?」
「はい。その数字はスキルのレベルを表していると言われております。」
うん、知ってた。
「では、魔法の発動条件は?」
「魔力に念じればいいんです!」
そうか、そうですか。
俺は異世界に来て二週間近くになるが、未だ魔法が発現した瞬間を見たことはない。
そもそも、魔法を発動するまでもない体力があるからな。
身につけている服等を犠牲にすれば、光速に近づくことも可能だろう。
とりあえず、王都の宿屋に一月ほど代金を先払いして、俺たちはネプがいた魔領域に来た。
この寝ぼすけに聞いても明瞭な答えはなかったが、どうやらゴブリンに由来する魔族が支配する魔領域らしい。
リルエルによれば、ゴブリンは他種族の女を浚って孕ませるというよくある設定らしい。
つまり、明確な答えはないってことだな。
出自が偏っているからか、知識の正確性に問題がある気がする。
「ジンよ。魔領域から出るときは呼ぶのだぞ!」
ネプは住処が近いのが嬉しいのか、住処へ帰って行った。
俺がそんなこと許すとでも?
ネプが飛行している進路に向けて、俺は魔力を射出する。
ネプは無事、号泣しながら俺たちと行動をともにすることを約束してくれた。
そんなに喜ばなくてもいいんだよ?
丁度イリンフォースが女の匂いを撒き散らす時期らしい。
まぁ、子供を得ることは生物の本能だよな。
さてと、匂いに誘われた魔獣はイリンフォース、マイ、リルエルに任せるとして、
俺は魔族相手に実験しますか。
さっきネプに放った魔力弾のお陰で、空に向かって打てば大丈夫な位、力加減を覚えたからな。
………マイちゃんへ。
幼女の貴方が、そんな笑顔で魔獣をミンチにする姿は見たくありませんでした。
まぁ、イリンフォースとリルエルが魔法型だから、前線を任すのは仕方ないのだが。
ネプ、仕事しろ!!
「きさまらぁ!!ゆるさんぞぉ!!」
どうやら魔族の面々がやっと出てきたらしい。
既に、四半時は経ってるからな。
それにしても、ありきたりな台詞だ。
こうちらにやってくる魔族の軍勢を見ても、知能の高さは窺い知れない。
多分、個体の強さで成り立っている魔領域なのだろう。
そもそも、ネプの住処がある時点で、普通の生物には手出しできない領域だろうし。
あれ?もしかしてネプって、幻獣とか言われる凄い生物なのか?
奴隷三人娘のフォローを、やや強引にしているロリ巨乳が?
分からない。
そもそも、現代日本人にどんな視点を持てというんだ。
軍に関わらなければ、そんな知識得る機会ないだろう。
まぁ、ゲームやネット小説にはあるのかもしれんが。
さて、魔法の実験といきましょうか。
魔法は、魔力に念じればいいらしい。
不正確な言葉だ。
俺が転生したこの世界は、少なくともニュートン力学が成立している。
石を落とせば、地面に落ちるし。
夜空を見上げれば、星々が輝いている。
おそらく、相対性理論も成り立っているのだろう。
それならば、現代では解明されていない量子重力理論も同じように成立していると考えていいだろう。
俺はひも理論に魅力に感じたが、それはどうでもいい。
つまり、現代の科学力を持ってすれば、魔法は容易いということだ。
俺はひたすら、目の前の空気に、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素に振動数をあげるように命じている。
分子がばらばらになれるなら、ばらばらになれと命ずる。
プラズマになったなら、更にエネルギーを上げろと命ずる。
「できたっ」
俺の目の前には、揺らめく空気ができていた。
それを、襲いかかってくる魔族の集団へと向かわせる。
所謂。
「ファイヤーボール!!」
うん、やっぱりやり過ぎた。
俺の華麗なる「ファイヤーボール」の命中点を中心に、数百メートルが消滅した。
<新たなスキルを獲得しました。>
そうですか神様。ステータス。
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名前:ジン・アサイ様
種族:表記不可能
レベル:4643
生命力:表記不可能
魔力 :表記不可能
体力 :表記不可能
知力 :表記不可能
俊敏力:表記不可能
スキル:健脚(1)、new 炎魔法(10)、new 雷魔法(10)
ギフト:成長補正(10→10→10→10乗)
魔神
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スキルに、健脚がある…。
おい、お前のせいだろう、なぁ神様!
今回は反応はないらしい。
炎魔法は、やはり振動数、つまりエネルギーに関わることだからだろう。
雷魔法は、分子に関するからか?
次は、ウォーターカッターを実践しよう!
ありがとうございました。




