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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第三十八話 門番

 一行はまず小石川の医療所へ寄りました。妙高先生が出て来てこっちを見ています。


「ここにまた溜池を作ります。川久保様が実験をしていた場所なのですが調べた結果ここがいいと考えました。さっきの江戸川橋の堰からここまで新しい川を作るのです。そしてここからは暗渠にします」


 秀光は、


「暗渠というのは例の地面の下を通るというやつだな」


 と知ったかぶりをかまします。すると早速伊達宗政が、


「若様、なぜ地面の下をわざわざ通すのです?そのまま普通の川みたいにする方が工事は楽ですぞ」


 と秀光に聞くとそういえばそれはまだ聞いていなかった、しまったと舞湖の顔を見ます。助けて〜と目が訴えています。知ったことではないのですがどのみち説明するつもりだったので


「ここから先は管理した水を大江戸城、大名屋敷、町内へ運びます。当然、綺麗な水にしなければなりません。普通の川だとどうしても汚れてしまいます。綺麗な水を大江戸に送るのには工夫が必要なのです」


 舞湖は妙高先生に、


「ごめんなさい。医療所なんですが」


「気にするな舞湖よ。川久保が実験していた時からそうなる気がしておった。引っ越し場所は用意してくれるのじゃろう?」


「若様、お願いします」


 秀光は頷いた。かっこいいかな、俺って顔をしている。




 一行は再び移動を始め神田川に沿って坂を登っていく。舞湖は坂を登り終わる手前で止まりました。


「ここね」


 川の反対側を見て位置を確認しています。何度も訪れた水道橋があった場所、間違いありません。


「若様。ここに水道の橋を作ります。木と石が大量にいるのでお願いしますね。伊達様は橋を作った経験のある人をお願いします」


 宗政は、


「舞湖殿。今我らは坂を登ったぞ。どうやって水が坂を登るのだ?」


「伊達様。鈴木殿か片倉様に聞いてみてください。実験したのを見せてますので。若様、神田川は水運としても使いますか?」


「可能なのか?途中に堰を作っていたろ、あれがあると船は登れない」


 秀光は浅草橋と秋葉原の間の堰を見ている。そう、鈴木が担当している工事だから余計に気にしている。


「あの堰は上水が通った後に壊します。小石川の水門も。上水ができるまでは水を飲み水としても使えるようにしておかないと。工事はまだまだ時間がかかるのですよ」


 舞湖は神田川の水が目の前の堀を通過するのを眺めながら話しています。川があれば舟、舟と言えば運搬です。大江戸の発展には水路として活用できないとなのです。ただ、まずは飲み水の確保が優先なのです。


「以前工事には順番があると言いましたが、前に作った溜池もこの先の堰も今は必要ですが後には不要になるのです。無駄と思うかもしれませんが、大江戸の発展に間に合わすにはこれしかありません」


 舞湖は若様を見ながら言い切りました。ここは自信満々に言わないとダメなところです。無駄な工事と思われてはイカンのです。若様は、


「余には舞湖の工事は速いように見える。まだまだ時間がかかると言うが………、舞妓が言うならそうなのであろう。父上からはもっと人口を増やすように言われていて今は30万人だが100万人にしろと言われている。それだけの飲み水を確保しなければならん。舞湖、できるか!」


「だーいじょうぶい!」


 舞湖は鼻の下のところで手を回しながらVサインをしました。周りはキョトンとしています。しまった、またやっちまった。さっきまで真面目モードだったのに台無しじゃん。このポーズは以前父親に教わった特撮忍者ものの真似です。以前芽衣ちゃんに見せたあのポーズです。


「若様、ごめんなさい。ちょっと図に乗ってしまいました。いつまでお時間をいただけますか?」


「いや、先程のが気になって仕方がない。どうやるのだ?」


 そこから全員でだーいじょうぶいの練習が始まりました。




 落ち着いた後、再び真面目な会話に戻ります。一行は堰のところまで来ています。水はどんどん流れて来て堰の手前で小さなダムのようになっています。


「鈴木殿、門を開けてください」


 いつのまにかスタンバイしていた鈴木が蝶番のような物を回すと少しずつ水が溢れ始めます。そしてそれは水流となって下流へ流れて行きました。


「水の門番を置きます。下流で溢れないように、また必要な水を確保できるように適量を放出するのです。この先、大事な場所全てに門番を置いて管理しなければなりません。この堰で訓練をさせてください。格さん、候補生をここに」


 風車の格さんは水の門番候補者を五名連れて来ていました。町人で仕事を求めている人たちの中から良さげな人材を連れて来ています。


「こいつらは大江戸に憧れて地方から出て来た連中でさあ。舞湖様はもっと人をと仰いましたがなかなか」


「今は五名で十分です。ですがこの先は昼夜交替で監視が必要になっていきます。徐々に増員してください。教育は玉井殿に任せます」


「ヒャい!かしこまりました」


 突然名前を呼ばれた玉井は声裏返ってしまった。見た目はかっこいいんだけどなあ、と舞湖がお腹の中でつぶやくとまたまた玉井が嬉しそうにしている。理解できない。


「舞湖、話を戻そう。あと10年で50万人に、20年で100万人に人口を増やす。埋め立てたところに家を建て水も供給する。舞湖の力が必要だ」


「あと20年ですか、爺はそこまでは生きてはおりませんな。舞湖よ、わしが死んでも伊達家はお主の助けとなる。安心して進めるが良い」


 そう言ってもらえると嬉しいです。なんせまだまだ人もお金もかかるので。舞湖は脳内でシミュレーションを始めたがすぐにやめた。情報が足りなさすぎる。

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