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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第三十七話 神田川開通

舞湖は玉井と弥七を呼んでくるように幸に頼んでから声を掛けてきた2人のところへ行った。


「若様、伊達様、おはようございます」


「何だそれは?どういう意味だ?」


と若様が言うと、宗政がやーい知らねえでやんの、とばかり秀光を見て笑いながら


「確か歌舞伎でいう挨拶だな。今日初めて会った人に言うと聞く」


と言うと秀光は何で知ってるんだこの爺はと思いつつ、


「そうなのか舞湖。この爺が言う事があっているのか?」


と舞湖を攻め立てます。舞湖は幸と話しながらここにきたのでつい現代の挨拶をしてしまったのですが、何でこれで盛り上がるのかがわかっていません。この時代はまだおはようございますと言う挨拶はごく一部の世界でしか使われていなかったのです。


「えーと、伊達様の言う通りだと思います。お疲れ様ですとか早くからありがとうございますとかですかね」


多分だけど。そうか、おはようございますはまずかったんだ。そんなのわかるかーい!宗政は嬉しそうで秀光は悔しそうにしている。何なのこの2人。


「爺に負けるとは。年の功というやつか」


「若様が無知なのですよ。もっとこの爺を讃えるべきですな」


「何を言うか、まあいい。負けたのは事実だ。そこの娘のせいでな」


えっ、私のせい?こんのクソガキは相変わらずだなホントに。


「女子のせいにするとは次期将軍も大した事はありませんな。いっそ伊達家に将軍を譲ってはどうですか?」


「爺は黙っておれ。で、舞湖。何が始まるのだ?」


後で片倉に聞いたらこの2人はいつも言い争っているのだそうだ。徳川が征夷大将軍に任命されたのは伊達宗政が10年遅く生まれたからで運がいいだけだったと秀光にいつも喧嘩を売っているらしい。ただ、現将軍の秀長には忠実というから秀光をからかって楽しんでいるだけらしい。秀光も宗政を爺と呼んで知識を吸収しているので実は仲がいいのだそうだ。そうは見えないけど。


「まずはこの水門を開きます」


昨日上流の水を集めて流していたので江戸川橋に作った堰の手前の水は溢れそうになっていた。堰の下流は新しく作った堀が飯田橋から御茶ノ水の方まで続いている。舞湖の合図で水門が開かれる。少しずつだ。すると水が堀に流れ始めた。


「おおおお」


集まった人の声がする。玉井と弥七も感動して目から水が出ている。2人とも涙は否定しそうなタイプだから敢えて水と言っておこう。まだこんなのは序の口というか始まったばかりなんだけどね。


「この水が下流に届くのはすぐです。水の速度は速いので。ですがまず若様と伊達様にはこの後の事をご説明したいと思います」


なんせスポンサーだからね。一応説明しとかないとなのです。


「今日開けたこの水門は実は大江戸の飲み水ではありません」


聞いていた者達が立ち止まる。えっと俺たち飲み水の工事をしていたんじゃあないの?って顔をしている。伊達宗政も同じ顔だ。それを見て若様は、


「大江戸の飲み水は川の上を川が渡るのだったな」


と宗政を見て勝ち誇ったように言う。宗政は悔しいのか


「若様は事前に話を聞いていただけでしょうに。偉そうにして恥ずかしくないのですか?」


「知らなかったからと言って絡むな爺。子供みたいだぞ」


2人はまた口喧嘩を始めました。付き合ってられないので舞湖は大声で、


「続きを話しますよ、いいですかそこの2人。一度しか言いませんからね、聞き逃しても知りませんよ」


2人はピタっと静かになる。何だこいつら。大江戸って変な人しかいないのかな?気を取り直して話を続けた。


「この横にも堰を作ります。そして水位を上げてこれから行く場所まで水を運ぶのです。途中から暗渠にします」


若様は、


「おう、例の地面の下を通る水路だな」


「はい、そうです。それを作るのに石が足りないのです。若様、早く運んできてくださいね」


と舞湖なりに可愛く言ってみた。お願いに特別な笑顔を添えて。若様の顔が真っ赤になる。それを玉井と弥七は見逃さなかった。




玉井にもう一つの堰の工事を頼んでから残りのメンバーは飯田橋を通って新しい神田川に沿って歩いていきます。玉井に後から追いかけてくる様に優しく言うとまたまた嬉しそうな顔をします。怒っても優しくしても嬉しそうなのです。なんなのかな?水は結構な速さで流れて行ってますが堀の深さに対して底の方をチョロチョロ流れているだけです。若様は推定と違ったようであれっという顔をしています。


「いずれ水が増えますので。今はまだ流したばかりですからこんな物ですよ。焦らない焦らない」


宗政は秀光を見て笑っています。知ったかぶりをしおってからに、ザマアミロって顔です。そして小石川が流れているところにまた水門がありました。


「この小石川は例の溜池に分岐した残りの水が流れていて日本橋川となっています。ここで神田川とぶつかるのです。小石川は神田川に合流して消え、神田川からの支流として日本橋川となるようにしています。そしてここからは神田川も日本橋川も下水として使います」


「下水?ああこの間話していたあれか。上水と下水を分けるという。で、肝心の上水は?」


若様は焦るなと言ったのに焦ってます。せっかちは嫌われるって誰かが言ってたけどわかるわー。







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