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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第三十六話 お父さんありがとう

 翌朝、舞湖は幸を連れて大江戸城を出ました。門を出てから将門塚に向かいます。


「幸ちゃん。いーい、こうやって2回お辞儀してから2回手を叩く。そしてもう1回お辞儀をするの。心を込めて祈ってね。今日の成功と今後の発展をよ」


 幸は舞湖の仕草を真似て2礼2拍1礼をして祈りました。幸はいつもはパンパンと手を2回叩くだけです。父の格からはそれが大江戸っ子のやり方でい と教わっていたのですが舞湖には逆らえませんし確かにこっちの方が心がこもる気がします。2人が祈り終わると神主が現れました。首塚の横に鳥居があり神様が祀られています。明日、神様を移動するので下見だそうです。幸は、不思議に思って聞きました。


「神様って移動出来るのですか?」


「私もこの間聞いて知ったんだけどね、土地を護っている土地神様の事を氏神様って言うんだって。氏神様はその土地を護っているので壊したり移動したりすると悪い事が起きたりするらしいよ。それとおんなじ名前の神社があちこちにあるのよ。それは同じ神様を祀ってる場合が多いいんだけど、例えば大国主命を色々あちこちの神社で祀ってるけど全ての神社に大国主命はいないんだって」


「全然わかりません。舞湖様、それって私の質問の答えになっていますでしょうか?」


「おお、言うようになったね幸っちゃんも。良きかな良きかな。だいぶ私に慣れてきたね。分祀って言うらしいよ、ここにいる神様は大国主命なんだって。元々分祀してきたものだから事前にお祈りして神様に移動しますねって言っとけばいいらしいよ」


「そんなものなんですね。神田の家にも神棚があるのですが引っ越すときは事前に言えばいいのですね」


「多分そう」


 話している間に神主さんみたいな人が神社で祈ってました。舞湖達はお辞儀をしてから歩き始めます。


「舞湖様は神様の方でなく首塚の方をお祈りしてましたけどいいんですか?」


「うーん、わかんない」


 幸はえっと思いました。わかんないのってうーん?どういう事なのでしょう。舞湖もそういえばそうよねと思いました。けどなんか自然と首塚の方を祈っていたのです。何でだろ?言われてみると不思議です。


 2人はそのまま小川町を通って監視所へ向かいます。以前日比谷湾に流れていた小石川は小川町からクイっと曲がって日本橋川と名前を変え大川へと流れるように流路が変えられています。水量は余り多くありません。上流で水を貯めて飲み水として運んでいるためです。


「ここも水運として使うには水が無いとね。それには神田川からの上水を何とかしないと」


「舞湖様。この間話していたのが聞こえたのですが上水と下水というのはどう違うのですか?」


 幸は頭がいい。その上で勉強熱心だ。町娘で字が読めるのですから大したものなのです。


「ええと、公衆衛生ってわかる?」


「わかりません」


 そうよね。手を洗う、顔を洗う、外から戻ったら足を拭くという文化はあった。歯を磨くというのは無くて朝起きたら口をすすぐだけだ。若様に聞いたら爪楊枝に似た木を歯ブラシがわりに使う僧侶がいて徳川家はそれを真似して使っていると言っていた。そういえば私にくれると言ってたけど、いつだよ!


「幸っちゃんは飲む水と手を洗う水は一緒?」


「はい。井戸から汲んだ水を使って飲んだり手を洗ったりします」


「そうよね。それを上水っていうの。で、手を洗った水を飲む?」


「飲まないです。汚れているので」


「そうよね。使い終わった水を下水っていうの。生活排水の事」


「生活排水?」


 あっ、流石にこの言葉はわかんないか。幸は勉強熱心なのでつい平成レベルの会話をしそうになる舞湖でした。神様についてもこの時代は居ると信じられているので余計な知識を与えない方がいいのです。


「上水と下水を分けるのよ。そうしないと人口が増える大江戸では疫病とかが流行りやすくなるの。綺麗な水は人間が生活するには必須なのよ」


 舞湖はこの世界に来て多くの事を学んでいます。図書館の知識と実際に目で見たものが融合されて脳だけは別人のように賢くなっていました。見た目は女子中学生のままですが。たまに幸の髪をツインテールにしたり結んだりして遊んでいる無邪気なところはそのままです。


 監視所を経由して工事班に指示を出してから江戸川橋へ向かいます。工事班は10人を1組としてそれ毎に班長がいます。班長の上に弥七や玉井がいて毎朝早朝会をやってから仕事に入るのです。これは舞湖の父の会社でやっている事を真似しました。現場の状況を的確に把握し問題があればすぐに対応できるので、工事に参加している人達から舞湖は神様のように崇められています。舞湖は満更でもないのですが、ただの真似なのでちょっと複雑です。普段テレビ番組の話とくだらない話が多いお父さんですが実は立派な人なんだと心の中で感謝しました。お父さん元気かな。


 江戸川橋に着くとすでに伊達宗政、徳川秀光が来ていて何やら口喧嘩をしています。舞湖が無視して通り過ぎようとすると、


「おい、どこへ行く?」


 と2人がハモって大声で。勘弁してよ、もう。

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