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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第三十話 ライバル同士

 舞湖は弥七に、


「この縦穴を舞1号井戸と名付けます。ここから水を汲んで城下へ運ばせてください」


 と言って神田山の堀工事の方へ移動していきました。弥七は水運びの責任者にされてしまいました。弥七は納得がいかず舞湖に問いただしています。


「あっしが水運びの責任者ですかい。大役をいただけて嬉しいですが、舞湖様の近くで働かせてはいただきませんか?」


 舞湖を見つけたのは弥七です。イケメンで優しくてこの世界に紛れ込んだ舞湖を保護し、助けてくれた弥七です。なんか急に偉い人になってしまって手が届かない存在になってしまった舞湖ですが、近くで見ていたいと気持ちで溢れています。


「ええと、水運びは長くは続かないと思います。いつまでとは言えませんけど、弥七さんが真面目でしっかりしている人だと思うのでお願いできませんか?次の仕事も用意しますので。それでお願いなのですが」


 舞湖は井戸から水を汲んで運ぶ責任者の本当の役目を説明しました。弥七の目が輝きます。弥七は、


「あっしにお任せください。そういう事ならあっしにやらせてください」


 と言ってやる気満々になりました。弥七は舞湖の役に立つのはおいらが一番という事に喜びを得ています。なんせライバルがどんどん出てくるのです。負けてはいられません。




 神田山に着くと玉井が待っていました。


「舞湖様、工事は順調です。これも伊達家が手配してくれた追加人員のおかげです」


 玉井の目が輝いています。現代の聖橋辺りから遂に飯田橋の近くまで堀ができました。今は崩れないように側面と底面に石を埋め込んでいます。石は川久保が手配して伊豆から運んできているそうです。そういう仕事は舞湖には無理なので権力のある川久保様が頼りなのです。


「玉井殿、溜池から汲んだ水を運ぶのに橋がいるのです。この間地図に印をしたところに橋を掛けてください」


 堀を掘ったら向こう側に行けなくなりました。当たり前ですよね。でも意外と気が付かない物なのです。舞湖はあちゃー、やっちまったぜ、と思いつつも最初からの作戦であったかのように指示をしています。腹の中ではテヘペロですが。いちいち大回りはしてられないので何箇所か橋を作るように改めて指示をしています。まずは現代の水道橋駅付近に橋を作りたくて玉井に指示をしました。


「舞湖様。某は橋を掛けた事がないのですが」


 玉井がいつものように自信無さそうに弱気モードで訴えてきます。舞湖はまたかと思いながら、


「何言ってるの!私だってそんな経験はありません。それを何とかするのは玉井殿の仕事でしょ!」


 強く言い放ちます。舞湖は玉井のナヨナヨしたところがあまり好きではありません。なんか自信無さそうに話すのです。男のくせに!ってつい口調が厳しめになってしまいます。ですが、玉井の顔はなんか嬉しそうです。何で!何でいつも怒られて嬉しそうなのこの人。玉井もそれなりにかっこいい若侍なのに台無しです。舞湖ががっかりしているのに当の玉井は、


「わかりました。何とかやってみます」


 と、目が輝いています。やっといてね、お願いします、と言って舞湖は半分呆れながら次の工事現場へ向かいました。玉井はやったー、怒った顔見れたー!とムフフと笑いながら仕事に戻りました。弥七は怒られないからな、俺の勝ちだと思っているようです。




「クシュン」


 舞湖はなんか寒気がした気がしてくしゃみが出ます。誰か噂してるなと思いましたが人気者だし仕方ないよね、と前向きに伊達家の鈴木の元へ向かいました。鈴木が担当しているのは神田川がいずれ流れるところ、現代でいう秋葉原と浅草橋の中間辺りです。ここでは神田川の幅を3倍に広げてさらにダムのように水を堰き止めるような工事をしています。そうです、大川に繋がったあと、海水が逆流しないようにするための堰です。舞湖が片倉に要と言った工事の現場を鈴木に任せたのです。


「鈴木殿、ここはどうですか?」


「これは舞湖様。お忙しいのにお疲れ様でございます。工事の方ですが、難儀しております。ご指示いただいたように作っても崩れてしまうのです」


「伊達家にはこういう工事に詳しい人はいないのですか?」


「おりますが、今は国元へ戻っておりまして。こちらに例の五百人を連れてくる予定になっております」


「そう。ならここは一時中止しましょう。ここから上流の監視所の辺りまで堀を繋げてください。その間に何かいい案がないか考えてみます」


「承知いたしました」


 鈴木は工事人夫に早速指示をだしています。やっぱこうよね。仕事ができる男ってかっこよく見える。鈴木は舞湖のお気に入りになっています。そして監視所に戻ると遠山の銀さんと川久保がバトル中でした。


「荒川下の埋め立てを早く進めたいのだ。其方の知恵を貸してくれ」


「某は舞湖を助けるのに精一杯でござる。まだ石が足りていないのです。舞湖は発想は素晴らしいが資材を用意する力はないのですから、縁の下で支えてやらないと」


「それはそうだが、水の知識が必要なのだ」


「はいはい、そこまで。いい大人が熱くなってどうするのですか?」


『舞湖、聞いていたのか!』


 二人がハモります。


「遠山様、上流で水量をコントロールしましょう。小石川の溜池の真似をしてみてください」


「根戸炉折流?どういう意味だ?」


 あっ、やっちまった。あれ、今の声は?もう一人舞湖を気に入っている男、徳川秀光がそこにいた。














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