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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第二十五話 神田川の下流

 翌日、川久保の屋敷で目を覚ますと片倉大十郎がすでにきていた。これこそ朝飯前で迷惑千万であるが、昨日の上様とのこともあったのでそんな事もあろうかと幸におにぎりを用意させていた。舞湖はそれを急いで食べてから片倉の待つ部屋へ入った。


「おはようございます。片倉様。ずいぶん早いですね」


「水野殿。昨日上様から呼び出しがあり殿が直々に水野様を支援するようお達しがあったのです。殿も大殿から話は聞いていたものの乗り気ではなかったのですがそうもいかなくなりました次第」


「そうなんですね。それで片倉様が対応していただけるのですか?」


「それがしは老体ゆえ無理が効きませぬ。この倅になんでも言ってください。部下と思ってお使いいただいて結構です」


 すると横にいた、今日は六文銭ではなく家紋のない服を着ている倅が


「改めまして片倉憲政でございます。伊達家の家老を勤めております。先日はご挨拶できずに申し訳ありません」


 ああ、あの川久保様が興奮して泣いちゃった原因の人だ。服が違うからわからなかった。どうも女子中学生にはおっさんはどれも同じおっさんにしか見えない。だって六文銭だっけ、あれはインパクトあったからそれしか覚えてないじゃんね。目印は大事なのです。舞湖はこちらも挨拶せねばと


「水野舞湖です。それで伊達家ではどのくらいの人を出していただけるのですか?」


 と起き抜けの勢いで言ってしまった。おにぎり食べたからかエネルギー充填済みです。


「伊達家としては監督者として10名、それと当面の人足費用として500両をご用意いたしました」


 即答したよ、このおじさん。やるなーです。しかも当面て事は追加もあるでよ!!でも500両ってどのくらいの価値なんだろう。それは川久保様に任せればいいよね。


「それは助かります。監督者は私と打ち合わせ後現場に早速張り付いて貰います。それと費用はありがたいのですが、人を集める伝手がないのです。それについてはどうでしょう?」


 舞湖は続け様に仕掛けます。後ろで聞いている幸はあたふたしている。幸はこの時代について常識を知らない舞湖を補佐するよう父親から言われているので何かあったら怒られるのです。舞湖はそれに気づいていません。


「その事はこの間川久保様からお聞きしております。伊達家の伝手で50名は明日からご用意できます。それと仙台から500名連れて参りますが一月ほどいただきたく」


 やったー!こりゃ計画練り直しですわい、奥さん。舞湖は喜びを隠せずに笑顔になってしまう。


「片倉様。ありがとうございます。その500名が到着するまでに詳細を詰めておきます。早速ですが明日、その10名を連れて湯島の監督所まできてください。それと片倉様は今日はお時間ありますか?」


「私は父より水野様の部下のつもりでやるように言われていますので毎日詰めさせて頂きます。何なりとご申し付けください」


「そうですか。それでは早速……… 」


『待ってください』

『待たれよ!』


 川久保と幸が同時に叫んだ。そして舞湖を部屋から連れ出した。



 2人の意見は一致していた。大名家、しかも大大名である伊達家のご家老様に対して取る態度ではない、もう少し気を使え!と怒られたのです。目上の人に対する言葉使いがなってないという事ですね。身に覚えは………、はい、いっぱいあります。舞湖はまたやっちまったと頭を抱えた。確かに昨日も次期将軍かもしれないガキではない若様に暴言吐いてたし、これ直さないとまずいよね。いつか手討ちにしてくれるわ、ガッハッハとか言って斬られても嫌だし。


 舞湖達が部屋に戻ると父親の大十郎はもう帰っていた。


「片倉様。大十郎様はどうされましたか?私が何か粗相でもしましたでしょうか?」


 舞湖は急に敬語モードだ。怒って帰っちゃったりしたら大変なのです。人とお金が逃げていく〜。


「父上は早速人の手配に戻りました。それがしはここで水野様にお仕えするために残りました」


 無茶苦茶下手に出てくるのでどうしていいか困ってしまった。さっき怒られたばっかりでじゃあお願い、とも言えない。川久保は助け船を出す。


「片倉様。舞湖はまだ不慣れなことが多く言動に問題もありますが、何卒ご容赦をお願いいたします。仕事で成果を必ずや出しますので大目に見てやっていただけませんか?」


「川久保様。某はそのような事を気にしてはおりませぬ。水野様は上様の客分扱いと伺いました。ならば某より格上でござる。それに嬉しいのです。川久保様と一緒に働けることが。これも亡き原神公のお導きではと思っております。川久保様も洪水対策で原神堤を活用しておられるではないですか?」


 舞湖は思い出しています。そう言えば武田原神が甲斐の洪水対策に土手を作って、それが優秀なのであちこちで真似したって本で読んだのです。舞湖の今回の工事でもその技術をあちこちで使う予定なのです。川久保は、


「それがしは原神公にお会いした事がないのです。ですが亡くなった父から詳しく聞いておりそれを活用しております。そうですな、原神公のお導きかもしれません。伊達家が協力してくれるとは考えもしませんでしたし」


 話が長くなりそうだったので舞湖はそこで、


「速やかに朝餉にしましょう。食べたらまずは監視所へ行きます。片倉様、ご一緒していただけますか?」


 とぶった斬りました。片倉は笑顔で返事をします。


「承知いたしました」



 そして神田川工事の進み具合を確認するとほとんど進んでいません。人手が足らないのです。まあここは今は仕方がないと下流側に片倉、川久保、いつのまにかいる玉井を連れて歩いて行きます。そこには別の工事部隊がいました。片倉は不思議に思い聞いてきます。


「水野様、ここは?」


「ここは要の場所です。実験もしないとなので先に仕掛けているのです。ここには伊達家の方に指揮をお願いしたいのでまず片倉様に見ていただきたくて」


 どう要なのか?片倉には1mmもわからなかった。

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