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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第十六話 工事開始

「えい、っさー、ほら、っさー」


「えい、っさー、ほら、っさー」


 ここは小石川の医療所近く、小石川が流れているすぐ東側です。ここに池を作る工事が行われています。ここの工事監督は中村の旦那が任されていて、弥七も工事に参加しています。弥七は、


「ここにこんな広い水溜まりを作ってどうするんですかね?しかも入れる水はどこから持ってくるんですかい?ねえ、旦那」


「舞湖殿の考えはわからん。ただ、川久保様のご指示だしお奉行も乗り気だし」


 ひたすら地面を掘ってそこにあった土を運び出す毎日です。


「あっしがあの舞湖様に声をかけたのはなんか不思議な力に導かれたというか、舞湖様が光って見えたんでっさー。それで何が光ってるんだと思って近づいたらおかしな服を着た娘さんがいて」


「大権現様のお導きかもしれんな、それは」


 大権現様とは、大江戸に幕府を開いた徳川廉家の事だ。大江戸では帝、関白の次に偉いのが将軍です。将軍は関白の意向に従い実務を行うトップです。大江戸に幕府の拠点を作ったのが徳川康家で、大権現様と民からは言われています。


「旦那、あっしは学がない物でイマイチわからないのですが、帝がいて関白がいて将軍がいて、誰が一番偉いんですかい?よく混乱しないですね」


「まあ、大江戸に住む人の多くがお前と同じ感じだろうな。帝はこの日の本を作った最初の王の血筋の人が代々引き継いでいるんだ。一番偉いのは帝という事だ。その帝を補佐して政治に指示を出すのが公家衆と言われている人達で、帝の親戚がいると思えばいい。その公家の親分が関白だ」


「では、豊臣様は帝のご親戚で?」


「親戚ということになっている」


「どういう意味で?」


「公家の養子になったと聞いている。お家存続ではそういうこともある」


「そうですかい。じゃあ、帝も怪しいもんすね」


「まあ我らには関係ないことだ。今が秩序ある世の中で戦もなく平和に過ごせているのは帝や関白様、将軍様のお陰なんだから、感謝だけしてれば良い」


「そうですね。戦がないのはいいことです。さすが旦那、人間ができていらっしゃる」


「お前に褒められてもな」


 会話の最中も手は止まっていません。そこに舞湖がやってきました。お供が10人くらいいます。


「弥七さん、工事の進捗はどうですか?」


「順調と言いたいところですが、出た土を置くところがなくなってきています。まだ半分も終わっていないのでどこかに移動しないと」


 舞湖は連れの中から玉井を呼び出した。


「玉井殿、これから3か所回るけど、出た土を亀戸まで運ばせて。運べばあとは向こうの人がなんとかするから」


「承知」


「中村殿、弥七さん。3人を中継所まで土を運搬する係に回して。中継所がどこかはこの玉井殿に聞いて」


 玉井と言われた武士は20そこそこの若侍で結構2枚目だ。弥七はなんとなくライバル意識を持った。


「弥七と申しやす。どこへ運ばせましょう」


 なんか弥七は舞湖に良いところを見せたくなっている症候群にかかっているようだ。相手の玉井は官に成り立てで気合いが入っている状態だった。


「玉井だ。よろしく頼む。運ぶ先は不忍池横だ。こ、これを使ってくれ」


 玉井は3台のリヤカーを持ってきていました。土を運べるように荷台が箱になっています。前が2輪、後ろが1輪で後ろに傾けて背板を外すと土が外に出る仕組みになっていました。しかも一輪の方が自在車になっています。

玉井は気合いが空回りしていて、話す時にどもっていて格好悪かったのですが、弥七はこの台車が気になってそれどこではありませんでした。


「これは運搬が楽になります。どなたのご考案で?」


 玉井は舞湖を見た。これも舞湖様が手配して作ったのか。舞湖を見るともう次の仕事モードに入っているようで歩き出している。弥七は光っていただけの事はある、と訳のわからない納得をしていた。





 前回の水源池調査から1ヶ月、舞湖は休みなく働いた。朝は会議、昼は調査、夜は幸に本を読んでもらってこの時代の知識吸収と寝る間も惜しんでこの時代に溶け込もうとした。不思議に疲れは感じなかった。1日だけ幸の要望で休みを取ったがその時はひたすら爆睡だった。


「寝溜めが出来るのかしら?」


 幸は不思議だったが、舞湖がなんともなさそうなので気にしないことにした。会議には幸も同席した。会議に参加する人は議題によって様々だったが、幸は議事録を取らされた。議事録という言葉は知らなかったが、誰がいつの会議に出て、どんな話をしたかを記録するのだそうだ。これは大変な仕事だった。舞湖が調査に行っている時間はお世話係から解放してもらい記録を纏めている。


 文書として記録し始めると今、大江戸で行われている事業の事が幸にもわかってきた。舞湖は飲み水の確保を担当しているが、それ以外の事業の打ち合わせにも参加していた。なぜかと言えば、関連があるからだという。その中で、利根川の流れを変えるという大事業に舞湖は興味を持っていて


「直接は関係ないんだけどね。こっちの水を流すところが変わるのよ」


 利根川は途中で2つに分かれ入間川と合流して荒川となり、さらに一つは大川に、もう一つは中川となって亀戸の東側に流れ込んでいる。その他にも水が増すと大小様々な川ができていて下流では人が住める環境では無かった。


「こっちで掘った土を向こうに回すのよ。埋め立てて人が住めるようにするの」


目指せ!ネズミーランド。




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