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町の人が言っていた”あほうくらぶ”とは何か?
その謎を明らかにするため、僕たちは町に居る人たちへ聞いた。
「あほうくらぶ? ああ、あの気狂い集団ね」
「近寄らない方がいいよ。あそこは頭のおかしい連中しかいないから」
返ってくる反応は、どれも印象の良くないものばかりだった。
だが、その中でも気になる発言はあった。
「こんだけ技術が発達しているのに、今更旧世代の科学を信じているんだもんなー。本当馬鹿だわ」
「毎日ろくに働きもせず、旧世代の科学の研究をやってるわけだもんな。本当いい身分だよ」
もしかして研究機関なのかな。
それにしても、旧世代の科学って何だろう?
やっぱりここは……。
「直接見に行ってみる? 場所は一応教えてくれたからね」
「いいよ」
「はいにゃー!」
「はいっ!」
僕たちは、”あほうくらぶ”へ直接行く事にした。
機械仕掛けの町は、上下左右にとても入り組んでいた。
だから道中迷ってしまったけれど、空が赤く焼ける頃にはどうにか目的地へ到着した。
「なんかここだけ違うね」
リリィお姉ちゃんの言う通りだ。
目的の場所に建っていたのは、今まで見てきた金属製の壁に覆われた無骨な小屋ではなく、尖った屋根と複数取り付けられた窓が印象的な魔女の洋館風な建物だ。
「とりあえず入ってみよう」
このまま立っていても仕方がないと思った僕は、周囲からういている館のドアノブに手をかけ、恐る恐る扉を開いていき中へ入った。
館の中は意外とせまく、玄関を抜けると人が一人ぎりぎり通れるくらいの細くて薄暗い廊下があるくらいだった。
「それで、この属性とこの属性を組み合わせると――」
「おお! そういう事か!」
「なるほどな……」
館の奥へ歩いていくと、さらに奥から複数の人の声が聞こえてくる。
いったい、何をやっているんだろう?
僕は声のする方へと歩いていくと……。
「なんだろう、ここ……」
ある部屋に到着した。
その部屋は、木製の家具が壁を覆っていて、その中には分厚い本やビーカーや試験管が所せましと並んでいる。
窓には全て真っ黒なカーテンが取り付けられていて、日の光を遮っていた。
だが、青白い炎のロウソクが部屋を照らしており怪しげな雰囲気はあれど、見えない程ではなかった。
そんなただ事ではなさそうな部屋に、人が三人居た。
一人はクス子と同じくらいの年の、眼鏡をかけた女の子。
残る二人は男の子だ。
三人とも、つばの部分が丸く大きく広がる先の尖った黒色の帽子をかぶっていて、同じ色のマントを羽織っている。
「おや、お客さん……かな?」
眼鏡をかけた女の子が、恐る恐るそう話しかけてきた。
声から察するには、さっき話していたのはこの子かな?
でも先ほどのように流暢な口調ではなく、どこかたどたどしい。
「どうせひやかしだろ」
「ほっといて続きを聞かせてくれよ」
その女の子を守るように、他の男の子二人が僕と女の子間に入ってそう告げた。
建物や服装、この部屋の様子から察するに、ここは魔法を研究しているんだろうな。
でも、スチームパンクな世界観なのに、何故だろう?
そもそも”あほうくらぶって”。
……どうしてあほうなのかな?




