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「お返しに、僕のスキルを教えるよ」
「はぁ……?」
「俺のスキルは、”絶対に勝つ”能力だ」
何を急に。
マウント取りかこいつ。
「俺がどんな不利でも、俺と相手にどんな差があっても必ず俺が勝つ」
「はぁ……」
「だから、ただの平民として転生してきた俺はここまで上がってこれた」
「そうっすか……」
だからなんだっていうんだよ。
何が言いたいんだ?
「……そんなどうでもいいなんて顔、しないでくれよ」
って言われてもなぁ。
俺はもうすぐ処刑される身だし、そんな状況で武勇伝語られても。
「処刑はしないし、リリィお姉ちゃんの言うとおり君たちを解放するつもりだよ」
「お前がお姉ちゃんって言うなッッ!!!!」
本当なら、命が助かったことを喜ぶべきだったのかもしれない。
でも、僕以外の誰かがリリーシアの事をお姉ちゃんというのに、耐えられなかった。
「それが君の答えだろう?」
「えっ……」
「俺も最初はもちかけたさ、一緒に来ないか?って。俺もセレスティーネや、白昼猫やまりあは推しキャラだからね」
「…………」
「君のスキルを打ち明けたら、きっとドン引きして俺についてきてくれると思ったからね」
その作戦なら、効果抜群だったよ。
僕にはもう何も残っていない。
お前の勝ちだ、スキル通りになったじゃないか。
「でも、彼女たちはなんて言ったと思う?」
あああああ!!!
もう言うな言わなくていい!
俺は寝取られとか趣味じゃないんだからやめてくれ!!!!
「”たとえ不思議な力で変えられたとしても、私はタロ君が好き。だからずっとついていく”ってさ」
「!!」
国王から聞いた僕は、思わず息をのんだ。
お、おい……。
なんだよそれ……。
「からかっているのか……?」
僕は再び、三人の方を向いた。
「タロ君、酷い事言って本当にごめんね」
「わるかったにゃー」
「ごめんなさい」
「あれは僕が命令したんだ。君には本当にすまなかったと思ってる」
彼女らの表情や、この国のトップが頭を下げているのにお付の者は何も言わない。
この状況、いったいなんだっていうんだ……。
だが、戸惑っている場合じゃないんだ。
このままじゃ納得できないから、確かめないといけない。
「……王様」
「なんだい?」
「なんでそんな事した?」
「さっきも言った通り、三人の女の子が欲しいって思ったからだけど……」
国王はゆっくりと目を閉じて何度か深く呼吸をした後。
「実は君に伝えておきたい事があってね。今までの事は、それを伝えるに相応しいか見極めたかったんだ」
僕の方をぐっと強く睨むように見つめながら、そう告げた。
思わせぶりな事言ってるけど、つまり試してたってわけか……。
みんなひどいよ。
でも、そこまでして伝えたいことってなんだろう?




