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 …………。

 …………。


 …………。

 …………。


 …………。

 …………。


 …………。

 …………。


 …………。

 あれ……?


 この感覚……。


 僕、処刑されたはず……だよな?


 僕はそう思いながら、目をゆっくりと開けていく。


「おはよう」

 僕の視界には、明るい部屋を背景に、大切”だった”人のいつもの笑顔があった。


 ちょっと前だったら、その温もりを素直に受け入れていただろう。


「触るな!!」

「えっ……」

 でも今は違う。

 僕は全身に鳥肌が立つのを実感していた。

 だから、寝起きにも関わらず飛び起きてその女から離れた。


「どうせあの国王に身売りしたんだろ! このクソビッチめ!」

 だいたい、何でこいつがそばに居るんだ?

 僕に軽々しく何してる?

 汚い、臭い、最低だッ!!!


「お前らもそうだ!! どうせ僕は一人さ! 何も出来ないクズさ! 女の子一人心から満足させれないクソ雑魚さ!!」

 よく見たら、僕から離れて国王に尻尾と腰振ったクズ共全員いやがる。

 なんなんだこいつら。

 今更勝利宣言ってか?


「タロ君……」

「タロ……」

「タロくん……」

 どうせ目をハートにさせながら、もうあの人じゃないと駄目なのぉ~とか、僕に向かってクソ雑魚〇〇コとか言うんだろ?

 そういうの趣味じゃないんだよ!!


 …………。

 …………。


 なんだよその眼差しは。


 ああ、そうか。

 僕はかわいそうな子ってわけか。


「そうやってかわいそうって思えばいいさ! どうせ僕なんて……、どうせ僕なんて!!」

 最悪だ。

 何で生きてるんだ……。

 何でこんなみじめなんだ……。


「ごめんなさい、あなたを傷つけるような事を言ってしまった。でもタロ君は誤解しているわ」

 この時リリィの手が、僕の腕に触れた。

「うるせえ!! 触るなって言ってるだろうがっ!!」

 僕はその行為が、害虫がくっついた時くらいに不快に感じたので、全力で振り払った。


「タロ! 落ち着くにゃー!」

「落ち着けるかよ!! 僕は死ぬんだぞ? 僕一人でな!!」

 そうだ、今も生きているって事は処刑がまだ終わっていない証だ。

 どうせここから僕を殺すんだろ?

 だって、生かす理由なんてないはずだからな。


「タロくん、話を聞いてよっ!」

「何を今更! そっちから話すことは無いって、死刑だって言ってきたんじゃないか!」

 話を聞く?

 何言っている?

 散々好き勝手言ってきて、ふざけるな!

 人を馬鹿にするのも大概にしろよ!!


 僕は、裏切り者たちの言葉を聞く気は無いと決めこんでいた。

 その時だった。


「ごめん」

 リリィは真剣な表情をして一言だけ謝ると……。


「痛い……」

 次の瞬間、僕の頬に痛みが走った。


「落ち着いて、話を聞いて、お願いだから……」

 リリィの平手打ちは、僕の裏切られた怒りを消し去ってくれた。

 だけどその代わりに、同じくらいの失望と悲しみが心の中に生まれた。


「本当にあなたの事、好きだったのに……」

 ずっと好きだった。

 あなたの事が、本当に好きだった。

 リリィだけじゃない、マーフィも、クスクスも、みんな好きだった。


 今まで誰からも愛されなかった僕に、微笑みかけてくれた。

 認めてくれた、理解してくれた。


「うぅっ……、うわああぁぁ……」

 それなのに……、それなのに……。

 どうしてだよ……。

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