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「陛下。この者と話をする時間を、私にお与えください」
「ああ、かまわないよ」
リリィお姉ちゃん?
どうして国王に頭を下げているの?
ああ、そうか。
ここで変な事言ったら、僕の立場が危うくなると思って気を利かせてくれたんだ。
流石はリリィお姉ちゃんだ。
そう思い、お姉ちゃんへ笑顔を向けた時だった。
「ごめんねタロ君。もう、……君と一緒に行くことは出来ないの」
「えっ……」
突然の別れの言葉を聞いた僕は、頭の中が真っ白になった。
「そんな! なんで!!」
わけがわからない。
あまりにも突然すぎる。
だいたい、ずっと一緒だって言ったじゃないか!
なのに……、どうしてだよ……。
「それはこっちの台詞だよ。どうして教えてくれなかったの?」
「教えるって、何を……!」
リリィお姉ちゃんの言っている意味が分からない。
僕はあなたに隠し事なんてしてないのに。
だいたい、この世界で僕の事を一番知っているのはお姉ちゃんなんだよ……?
何も教える事なんてないよ。
「はぁ……。じゃあこう言えば分かるかしら」
リリィお姉ちゃんは、今までに見せた事がないくらい冷たい態度で僕に話しかけると……。
「私たちに自分の好きなキャラクターの仮装をさせて、楽しかった?」
まるで、汚いものを見るような目で僕を見下しながらそう言った。
「うぅ……、うぐぐぬぬぅ……」
顔は熱いのに、体はすごく寒い。
胸がすごく痛いし、息も苦しい……。
大好きな人に嫌われたから?
僕の”史上最強のスキル”の正体がばれたから?
……言われた事が図星だったから?
「所詮は君の自己満足。私たちの事なんて考えていないんでしょう?」
その言葉は、僕のひびの入った心にとどめをさした。
「……陛下、ありがとうございました」
「副長。お前に命ずる、この者を処刑したまえ」
「承知」
まさかこんな結末だなんて……。
う、うそだろ……。
こんなの……あんまりだよ。
なんで、なんで……僕ばっかり!!
「うぅぅわあああああぁぁぁぁっっっ!!!!!!!」
僕は力いっぱい叫んだ。
でも、僕を見る周りの人の目は何も変わらなかった。
「叫ぶな、見苦しい」
「がっ……」
目の前がぐるりとした。
気がつくと、僕は地面を舐めていた。
もう僕には何もない。
僕を優しく守ってくれる人も、明るく励ましてくれる人も、元気をくれる人も居ない。
「はぁっ……、はぁっ……」
僕の荒い息づかいだけが聞こえる。
それ以外が全部遠くなって、だんだん消えていく。
もう、終わりだね。
……でも、いいかな。
結局、史上最強のスキルも否定されてしまったし。
というか、そもそも一度生きるのをやめたのに、虫が良すぎたんだって思うよ。
よくある俺TUEEEEする異世界転生ラノベじゃあるまいし。
そんな都合よくいくわけなかったんだ。
次もしも、転生する事があってもやめておこう。
どうせ僕じゃ何しても駄目だ。
期待するだけ無駄だ。
いつもいつも、嫌な目みるくらいなら、もう生きたくない……。




