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「にゃああぁぁぁああっっ!!!」
そう思った時だった。
まふにゃんは、猛進する副長へと突っ込んでいく。
副長はまふにゃんを斬り捨てようと、遂にサーベルを鞘から引き抜いた!
「こ、こんどはやられないにゃ……」
「ほう、私の一太刀を受け止めるか」
なんとまふにゃんは、引き抜かれたサーベルの刀身を両手で受け止めて、騎士団副長の攻撃を止めたのだ。
あんな速い攻撃を、しかもこれって白刃取りじゃないか!
さすがはまふにゃんだ!
「う、うにゃああぁぁ……」
「だが所詮は小娘! 所詮はアニメ! お前の力、存在、心意気になんら重みを感じられん!!」
だが、まふにゃんはサーベルを受け止めるだけで精いっぱいだった。
騎士団副長は、サーベルを持っていない方の手で腰に下げていた鞘を持つと、がら空きになった腹部を強くえぐるように突き……。
「ふにゃあああ!!!!」
今までサーベルを止めていた手の力が緩むと、そのままサーベルを一気に引き抜いた。
まふにゃんは悲鳴と共に、地面へと落ちてしまった。
「まふにゃん!!」
僕はどうにかしようと、ぐったりと倒れたまま動かないまふにゃんへ近づこうとする。
「あなたの言ってる事はよく分からないけれど……」
その時リリィお姉ちゃんは、魔法の力で作った半透明のエネルギーを剣状にしたものを利き手に纏わせながら、騎士団副長へと攻撃を仕掛けた。
「私はタロ君を守る。その気持ちは誰にも……、負けないっ!」
リリィお姉ちゃんの元となったキャラクターである女神セレスティーネは、作中で剣も使ってた。
どんな達人でも、神の力の前には勝てないはず!
そう思った時だった。
「そんなのはあって当然だ」
騎士団副長は抜いたサーベルを再び鞘へ納めると、リリィお姉ちゃんの振り下ろした剣状のエネルギーを、居合斬りによって粉々に打ち砕くと……。
「それ以上の信念、覚悟、決意がなければ、この私は突破出来ないと知れ!」
片手から両手に持ちなおして、抜いたサーベルを返してリリィお姉ちゃんを斬り捨てた。
「…………」
お姉ちゃんは無言のまま、涙にぬれた瞳で僕の方へ見ながら、力なく倒れてしまった。
「リリィお姉ちゃん! まふにゃん!!」
う、うそだ……。
二人が負ける……?
そ、そんな……。
「痛いの苦しいのとんでけー!」
この声、クス子の回復の祈り。
それなら……!
「うぅ……、助かったよ」
「ふにゃぁ~」
倒れた二人はゆっくりと起き上がっていく。
傷もすっかり癒えてるし、どうやら元通りになったみたいだ。
「そうか、君の力は本物だったようだな……」
その様子は、当然騎士団副長も見ていた。
「ならば、君から始末するとしよう」
「ひっ……」
だから奴は、二度と立ち上がれないように回復役のクス子に襲い掛かったのだ!
「危ない!!」
「君の力は既に分かっている! 所詮他人任せな君では何も出来ない事も!」
「それでも僕は、折角掴んだものをもう手放したくない!!」
そうだ、僕の史上最強のスキルじゃ何もできない。
でも、もう嫌なんだ!
僕の手から大切なものが零れていって、それをすくう事もせずにただ見過ごすだけな自分が嫌なんだ!!
「ぐっ……」
次の瞬間、僕の背中に熱さを感じる。
不思議と痛みは無かったけれど、目の前が真っ暗になって、全身の力が抜けてしまった。
「タロ君!!」
「タロ!!」
「タロくんっ!!!」
結局、こういう終わり方になっちゃった。
折角、僕はこんなに素敵な人達に巡り合えたのに……。
「い、いやああああーーーー!!!!!」
リリィ……おねえちゃんの、ひめいが……きこえ……る……。
ぼ、ぼくは……。




