表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/433

66

 僕たちは町の中央にある広場へ到着した。


「ああ、もう終わりだ……」

「俺の人生が、こんなとこでお終いなんて」

「神様、どうかこの子だけはお救いください……」

 そこに広がっていた光景は、町人達がこの状況を悲観して絶望している様だった。


「ありゃぁ、すっかり町は大混乱だね……」

 僕はふと、衣装の変わったクスクスちゃんを見る。


 あれ、意外にも落ち着いている……?

 どうして他の人とは違って、パニックにならないんだろ?


「クスクスちゃんは、病気怖くないの?」

「んー、多分実際に見たら怖いって思っちゃうけど。今はなんだろう……、あんまり現実味がないというか、まぁあたしは大丈夫だよ」

 たしかに、周りは騒いでいる人だらけで、実際に発病した人は居なさそうだ。

 うつったら、すぐに症状が出るとかではないらしい。


 ともかく、今はいろいろと考えるよりも、病気を治すのが先だ。


「ところでクスクスちゃん、やり方わかる?」

 もしも衣装のキャラクター通りの能力なら、ある言葉を言わないと病気を治す力は出ない。

 普段のクスクスちゃんは、その言葉なんて到底思いつかないだろうから、教えないといけないと思って僕はそう話しかけたが……。


「……なんとなくだけども」

 僕の史上最強のスキルが効いているらしく、どうやらその言葉を知っていそうだ。

 この能力も見た目こそは即座に変わるけど、能力とか人格とか口調とかは遅れて変わっていくからなぁ。

 まぁ、とりあえずは知っていて何よりだ。


「すぅ~……、ふぅ……」

 僕がそう考えている時、クスクスちゃんは何度か深呼吸を繰り返すと……。


「痛いの苦しいのとんでけー!」

 町中に響くくらいの大声でそう叫んだ。


「……本当にこれで治るかにゃ?」

 何も知らない人なら、そう思うのは当然だよね。

 実際、町の人も”こいつら馬鹿じゃないのか?”みたいな感じで見てるし。


「もう、治ったから」

 疑っているまふにゃんに対してクスクスちゃんは、そう自信満々に告げた。

「にゃにゃっ?」

 それでも信じられなかったのか、まふにゃんは軽く飛び跳ねて驚いていた。


 当然、僕は信じていた。

 何故なら、クスクスちゃんが叫んだ言葉こそ、能力発動の鍵となる言葉だからだ。

 一字一句間違いない、イントネーションも完璧。

 もうこれで、この町の人たちは安心だ。


「この町居る人の黒穢病はすべて治ったから、もう慌てなくても大丈夫だよ!!」

 だから僕は、クスクスちゃんにも負けないくらいの大声でそう叫んだ。


「本当か?」

「あの人ら、旅芸人だよな?」

「デマじゃないのか?」

 ”変わった格好をした女の子が、叫ぶだけで病気が治る”

 町の人はそんな事信じられるわけもなく、疑いと憐みのまなざしをこちらを向けながら、ひそひそと話をしていた。


「あとは様子を見よう。どっちにしても出れないみたいからね」

「はいにゃ」

「うんうん」

 治るにしても、治らないにしても、今ここでぱっと効果がでるわけではない。

 実際に見に行ってはいないけれど、出入り口が封鎖されているのじゃ身動きもとれない。


 僕はそう思いながら、三人の女の子たちと、宿へ戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ