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「うーん……」

 まただ。

 また、転生前の僕の記憶を見たんだ。


 嫌な過去を見たせいで、変な汗もいっぱいかいているし、気候は穏やかなはずなのに震えるくらい寒い。


 なんであんなものを見なきゃいけないんだ……。

 最初の大陸移動の時もそうだったし、どうなっているんだ。


 そう思いながら、僕は泣きそうになっていた時だった。


「おっはようにゃー!」

 快活な声がした途端、スク水猫耳の少女が僕へと飛びかかってきた。


「ぐぇっ」

「まふにゃん、勢いよく抱きついちゃ駄目よ」

「えっ、どうしてにゃ?」

「タロ君潰れちゃうもの」

「う、ううっ……」

 く、くるしい……。

 まふにゃんの力が強くて……、い、息が……。


「おお! そうか! それはわるかったにゃ!」

「う、うん。分かってくれてありがとう……」

 お姉ちゃんの説得がなければ、僕は危なかったかもしれない。

 でも、それがなんだか幸せだと思った僕は、怒るどころかまふにゃんの無邪気な行動に、好意すら感じてしまう。


「寝てたのかな。僕」

「そうにゃ」

「おはよう、よく寝れたかな?」

 どうやらいろいろ考えているうちに、寝てしまったらしい。

 だからあんな悪夢を見てしまったんだ。


 僕はそう自分で納得させると、上体を起こして二人の方を見る。

 リリィお姉ちゃんも、まふにゃんもいつもの笑顔を見せてくれている。


 そうだ、もう前の世界は関係ないんだ。

 今の僕は、史上最強のスキルを手に入れたし、僕の事を心から理解してくれる人が二人も居る。

 毎回、大陸間を移動するタイミングで過去を見ているのは気になるけれど、くよくよしちゃいけない。


「起きるのちょうどよかったね」

「どういう事?」

「ほら、新しい大陸が見えてる」

「おお、本当だ」

 リリィお姉ちゃんの言うとおりだ。

 新しい大陸が見えている。


「飛び神さまのおかげだね」

「うんうん、まふにゃんのおかげだ」

「えへへー」

 最初の大陸から移動する時は、流刑用の小舟だった。

 それが今じゃ、飛び神さまだもんなぁ。


「じゃあ行こう、新しい大陸へ!」

「はい」

「おー!」

 僕は気持ちを新たにし、三番目の大陸へ向かう事を告げる。

 そんな熱い気持ちにこたえるかのように、飛び神さまが甲高い声で鳴くと、遠くに見えている新大陸へ一直線に向かっていった。

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