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「起きて、ねえ起きて」

 真っ暗な中から声が聞こえてくる。

 せっかく寝ているのに……、僕を起こすのは誰?


 って、お姉ちゃんしか居ないか。

 どうしたんだろう?

 起きなきゃ……。


「う、うーん……」

「寝てるのにごめんね」

「どうしたの? リリィお姉ちゃん?」

 僕は目を何度かこすって、目の前にいるリリィお姉ちゃんを見た。

 お姉ちゃんはとても不安そうな表情をしていた。


「集落の様子がおかしいの」

「えっ、どういうこと?」

 確かに、真夜中であるにもかかわらず、テントの外から赤色の光が漏れている。

 ……ん?

 赤色の光ってなんだ?


「……マーフィちゃんを連れて出よう」

 しかも、同じ集落の人であるマーフィちゃんも連れていくなんて言ってる。

 本当に何があったんだろう……。


「う、うん。でもあの子の居る場所分かる?」

「事前に調べてきたから大丈夫」

 とりあえず、僕は何だかよく分からなかったので、リリィお姉ちゃんのいう通りにする事にした。

 お姉ちゃんはテントの本来の出入り口ではなく、裏から布地をめくって外へ出ると、木陰に身を隠しながらマーフィちゃんがいるテントへ向かい、無事到着してその中へ入った。


 そして僕は、大の字になって寝ているマーフィちゃんへ近づき……。

「マーフィちゃん、マーフィちゃん」

 なるべく声を出さないようにしながら、体を揺さぶって起こそうとした。


「うにゃぁ……、せっかく寝てたのに……」

「ご、ごめん」

 あまりにも気持ちよく寝ていたマーフィちゃんを起こしてしまった僕は、罪悪感から思わず頭を下げてしまう。


「起こしてごめんねマーフィちゃん。早速だけど、ここから出ていくよ」

「えっ? なんでにゃ?」

「なんか様子がおかしいの」

「よくわからないにゃ……」

「話は集落を出てからするから、ね?」

 その様子を見たリリィお姉ちゃんは、寝起きのマーフィちゃんをどうにか説得しようと、僕と接するときの同じように優しくて穏やかな微笑みを見せながら話しかけると……。


「分かったにゃ。天の使いがそういうなら従うにゃ」

「ありがとう」

 マーフィちゃんはそう告げながら頭を何度かくしゃくしゃとかいた後に、腕を頭上に目一杯上げて背筋を伸ばした。


「じゃあ、行こう」

「うん」

「はいにゃー!」

 こうして、僕とリリィお姉ちゃんはマーフィちゃんを連れて、集落を出る事を決めた。

 この時、何故そんな事をするのかが分からなかった。


 だが、テントを出た瞬間知る事となる……。

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