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「な、なんだあれは!?」

「うそ……」

「な、なんにゃあ!?」

 火口から、とてつもない数のケガレが空へと飛び出していた。

 だがケガレ達は村や僕達を襲うわけでもなく、天高く舞った直後に一瞬で灰になってしまった。


「来る……!」

 そんな不気味な現象を見た後、リラお姉ちゃんが低い声でそう告げる。

 すると、今まで静かだった火口が盛り上がり、そこから巨人が現れた。


「で、でかいぞ!」

 その巨人は、背の高い戦士リュートなんか比べものにならないくらいの大きさをしていて、頭のてっぺんから足先までケガレで覆われており、右手には巨人と同じくらいの大きさの剣が握り締められている。


「……この巨人は、灰にならないみたいね」

 この時僕は、ある仮説が頭に浮かぶ。

 最初に出てきたケガレの大群が消滅した理由は、太陽の光に当たったからだ。


「まさか、あいつがケガレを生み出しているの……?」

 だが、巨人はその程度ではびくともしない。

 あの禍々しい見た目、巫女じゃない僕でも背筋が寒くなる威圧感。

 リラお姉ちゃんが言うとおりだ、あいつがケガレのボスだ!


「こっちへ来るぞ!!」

 ヤドガさんが再び叫ぶと、槍を持って構えた。

 その直後、リリィお姉ちゃんやマーフィちゃん、美男美女コンビも次々と構えていき、それぞれが得意な方法ですぐに攻撃出来る様にした。


「リラ、いいな?」

「分かっているわ、リュート」

 全員が警戒をしている中、リュートとリラは顔を合わさないままに、何やら会話を始める。


「うおおお!!!」

 そして、戦士リュートが叫びながらケガレの巨人へと走って行き……。


「はぁっ!!」

 すかさず、リラお姉ちゃんが空中に指で陣を描く。


「あの化け物が火口から生まれたのならば、火を鎮める水の術で……!」

 すると、戦士リュートの持っていた槍に、水の泡のようなものに纏われた。


 火口から出てきているから、水で攻撃すれば効果があるのかもしれない。

 悔しいけど、それを思いついて瞬時にやっちゃうこの二人は凄いや。


 僕が感服している時だった。

 戦士リュートは軽やかな身のこなしで、瞬く間に巨人の頭まで登ってしまった。

 巨人は彼の素早い動きについていけず、隙を晒してしまう。


「貰ったあぁ!!!」

 リュートは自身が持っている水の力が付与された槍で、巨人の頭を突き刺そうとする!

 このままいけば、巨人の脳天は串刺しになって致命傷は間違いない!


 ……はずだった。


「なにぃ!?」

 なんとリュートが巨人の頭に槍を突きたてた瞬間、槍が折れてしまったのだ。


「今までケガレを倒してきた槍が……、何故だ!」

 この時、イケメンリュートの表情から余裕が消えた。

 その直後に巨人は、彼の体格よりも大きい豪腕で、頭に居た邪魔者を振り払おうとする。


 普通の人なら、ここで巨人の腕に当たって潰されていただろう。

 だが、さすがは集落一番の戦士と言われた男なだけあって、リュートは即座に体をひねらせた。

 それにより、巨人の直撃を足の負傷のみに留めたのだ。


「くっ……、足をやられた……」

「大丈夫。今治療するから」

「すまない、リラ」

 そして、リラお姉ちゃんの居る場所まで戻ってきた。

 なんてすごいんだろう……。

 もしかして、この二人ならあの巨人を……。


「来るぞ!」

 リラお姉ちゃんによる治療が終わると、ヤドガさんの叫びと共に火口の方を向く。

 リュートの攻撃を跳ね返した巨人は、完全に火口から抜け出ており、こちらを向きながら雄叫びをあげてきた。

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