41
「な、なんだあれは!?」
「うそ……」
「な、なんにゃあ!?」
火口から、とてつもない数のケガレが空へと飛び出していた。
だがケガレ達は村や僕達を襲うわけでもなく、天高く舞った直後に一瞬で灰になってしまった。
「来る……!」
そんな不気味な現象を見た後、リラお姉ちゃんが低い声でそう告げる。
すると、今まで静かだった火口が盛り上がり、そこから巨人が現れた。
「で、でかいぞ!」
その巨人は、背の高い戦士リュートなんか比べものにならないくらいの大きさをしていて、頭のてっぺんから足先までケガレで覆われており、右手には巨人と同じくらいの大きさの剣が握り締められている。
「……この巨人は、灰にならないみたいね」
この時僕は、ある仮説が頭に浮かぶ。
最初に出てきたケガレの大群が消滅した理由は、太陽の光に当たったからだ。
「まさか、あいつがケガレを生み出しているの……?」
だが、巨人はその程度ではびくともしない。
あの禍々しい見た目、巫女じゃない僕でも背筋が寒くなる威圧感。
リラお姉ちゃんが言うとおりだ、あいつがケガレのボスだ!
「こっちへ来るぞ!!」
ヤドガさんが再び叫ぶと、槍を持って構えた。
その直後、リリィお姉ちゃんやマーフィちゃん、美男美女コンビも次々と構えていき、それぞれが得意な方法ですぐに攻撃出来る様にした。
「リラ、いいな?」
「分かっているわ、リュート」
全員が警戒をしている中、リュートとリラは顔を合わさないままに、何やら会話を始める。
「うおおお!!!」
そして、戦士リュートが叫びながらケガレの巨人へと走って行き……。
「はぁっ!!」
すかさず、リラお姉ちゃんが空中に指で陣を描く。
「あの化け物が火口から生まれたのならば、火を鎮める水の術で……!」
すると、戦士リュートの持っていた槍に、水の泡のようなものに纏われた。
火口から出てきているから、水で攻撃すれば効果があるのかもしれない。
悔しいけど、それを思いついて瞬時にやっちゃうこの二人は凄いや。
僕が感服している時だった。
戦士リュートは軽やかな身のこなしで、瞬く間に巨人の頭まで登ってしまった。
巨人は彼の素早い動きについていけず、隙を晒してしまう。
「貰ったあぁ!!!」
リュートは自身が持っている水の力が付与された槍で、巨人の頭を突き刺そうとする!
このままいけば、巨人の脳天は串刺しになって致命傷は間違いない!
……はずだった。
「なにぃ!?」
なんとリュートが巨人の頭に槍を突きたてた瞬間、槍が折れてしまったのだ。
「今までケガレを倒してきた槍が……、何故だ!」
この時、イケメンリュートの表情から余裕が消えた。
その直後に巨人は、彼の体格よりも大きい豪腕で、頭に居た邪魔者を振り払おうとする。
普通の人なら、ここで巨人の腕に当たって潰されていただろう。
だが、さすがは集落一番の戦士と言われた男なだけあって、リュートは即座に体をひねらせた。
それにより、巨人の直撃を足の負傷のみに留めたのだ。
「くっ……、足をやられた……」
「大丈夫。今治療するから」
「すまない、リラ」
そして、リラお姉ちゃんの居る場所まで戻ってきた。
なんてすごいんだろう……。
もしかして、この二人ならあの巨人を……。
「来るぞ!」
リラお姉ちゃんによる治療が終わると、ヤドガさんの叫びと共に火口の方を向く。
リュートの攻撃を跳ね返した巨人は、完全に火口から抜け出ており、こちらを向きながら雄叫びをあげてきた。




