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 リリィお姉ちゃんが、神の使いと勘違いされた。

 その結果、僕達は手厚い歓迎を受けることとなってしまった。


「ささ、どうぞ召し上がってください」

 目の前には獲れたての魚や、肉汁したたる動物の丸焼き、離れていても甘い香りが鼻につく果物が、綺麗な葉っぱの上に敷き詰められていた。


 前居た大陸からどれだけ離れているかは分からないけど……。

 生活風景を見た感じ、ここは前居た大陸とは常識も支配者も何もかもが違うというのは分かった。


「何だかすごい事になっちゃったね……、これからどうする? リリィお姉ちゃん――」

 だから僕は、今後どうするかを聞くためにお姉ちゃんの方を向いたが……。


「これおいしいよ。タロ君も食べてごらん」

「…………」

 お姉ちゃんは、出された料理を楽しんでいた。

 そんな姿を見た僕は、言葉と動きが止まってしまった。


「どうしたの?」

「えっ。あの、これからどうしようって……」

「大丈夫だよ。少なくとも、私が神の使いとして招かれているうちはね」

「う、うん」

 確かに、心配しても僕達の立場は変わらない。

 だからこそ、食べれるうちに食べておいた方がいいと割り切ったのかも。

 僕はそう思い、お姉ちゃんが勧めてくれた料理を手にとって、口へ頬ばろうとした。


「おお! 巫女達が来たぞ!」

「今年の巫女が踊るぞ」

「楽しみだな」

 突然、集落の人々がざわめきだす。


「巫女?」

 僕は食事の手を止めて、巫女について聞いた。


「はい、この時期になると豊作を願うため、村の若い女子(おなご)が巫女として、踊りを捧げるのです」

「ほぇー……」

 宴の席で、年頃の女の子達が踊る。

 僕が前世で見てきたアニメやゲームにも、こういうシーンはあった。

 画面越しに見ていたフィクションの世界を、まさか自分が体験するとはなぁ……。

 この世界に来てからいろいろあったけれど、なんというか感慨深い。


 そうやって僕がしみじみとしている時、巫女と呼ばれる少女達が目の前に次々と現れてくる。

 年齢は……、僕と同じくらいか少し年上くらいかな。

 各々がカラフルな色の花の髪飾りや、綺麗な石のアクセサリを身に着けている。


「みんなかあいいね」

「うん? うん……」

 確かにどの子も顔立ちはいい。

 きっと異性に困らないんだろうなとは思う。


「タロ君はあまり好きじゃないかな?」

「ううん。僕はリリィお姉ちゃんがいい。お姉ちゃんが可愛いって思ってる」

 でも僕は、お姉ちゃんが好きだ。

 僕の事を理解してくれるリリィお姉ちゃんが、世界で一番なんだ。


「ふふ、ありがとうね」

 お姉ちゃんはそう返事をすると、いつも通り優しく微笑みながら僕の頭を撫でてくれた。

 かなりの回数されているのに、今でも胸がどきどきしちゃうや。


 そんな中、巫女による踊りが始まる。

 軽快な音楽と共に、少女達はステップを踏んだり、その場で回ったり、手や足を動かしたりする。


 ダンスの事は詳しくは無かったけれど、今まで見た事の無い風景に僕の胸が躍ってしまう。

 そんな時だった。


「あれ、あの女の子……」

 僕は、明らかに動きがぎこちない少女が一人居る事に気づく。

「あの子、具合でも悪いのかな」

 お姉ちゃんも、その巫女について話をし始めた時だった。


 隣に居た村の男の人が、巫女たちの円陣へと入っていき……。


「い゛た゛い゛っ!」

 動きがぎこちなかった少女の頭を強く叩くと。

「マーフィ! お前って奴は!」

「ご、ごめんよぅ、ちゃんとやるから……」

「もういい! 下がれ!!」

 僕にも聞こえるくらいの大声で叱咤する。

 少女は涙目になりながら、円陣を抜けていき村の奥へと戻っていった。


「大変見苦しいものをお見せしてしまいました。どうぞお許し下さい」

 戻ってきた村の男の人は、何度も頭を下げながらそう告げた。


 この間も、巫女による踊りは続いており、集落の人たちの熱気が冷める事は無かった。

 だが僕は、言葉では表せない心のもやもやを感じていた。

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