表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/433

28

 目が覚めると、そこには何故か別れたはずのお姉ちゃんが居た。


「ん……」

「おはよう」

 お姉ちゃんは怪しい業界の人になって、散々玩ばれたはず。

 どうして、あの時と同じ笑顔を見せてくれるの?


「ユリ……お姉ちゃん?」

 僕は寝ぼけながら、お姉ちゃんの名前を言った。


「どうしたの?」

 それに対してお姉ちゃんは、どこか不思議そうな表情をしている。


 僕は、何か間違った事を言ったのかな?

 そう思うと、眠気でまどろむ意識が次第に覚醒していき……。


「はっ! こ、ここは……? 夢……、だったのか?」

 そうだ、僕は異世界に転生したんだった。

 大陸で異端審問官に追われ、捕まってしまい流刑にされて、今別の大陸へ向かおうとしている最中だった。

 漂流中に寝ちゃうなんて……。


「タロ君大丈夫?」

「う、うん……」

 どうしてあんな夢を見たのか?

 その理由は分からない。

 今分かっている事は、リリィお姉ちゃんが僕のことを心配しているということだ。


「ねえタロ君、ユリって誰のことかな?」

「えっ、そ、その……」

 げげ、なんでお姉ちゃんが僕の昔の事を知ってるの!?

 どうしよう、どうしよう……。


「修道院の時も言ってたよね?」

「うん……」

 この時僕は、リリィお姉ちゃんにこれ以上心配をかけさせないよう、どうにか誤魔化そうとも考えた。

 だが僕は隠す事を止めて、過去にあった出来事を全てリリィお姉ちゃんに話した。



「そうだったんだ……」

 僕が全てを話し終えた時、リリィお姉ちゃんは悲しそうな表情をしていた。


「私って、その人に似ている?」

「うん」

 お姉ちゃんの質問に対し、僕は嘘をつくことなく率直に答えた。

 ユリお姉ちゃんとリリィお姉ちゃん。

 二人は見た目こそ違えど、温かくて穏やかで優しい感じは、まるで同一人物かと思わせるくらいだ。


「でも、リリィお姉ちゃんはリリィお姉ちゃんだよ」

 結局、ユリお姉ちゃんがどうなったかは分からない。

 僕の過去は、もう変わらない……。


 だからこそ、今この時を大切にしたい。

 僕の事を好きでいてくれている、リリィお姉ちゃんを大切にしたい。

 その思いを胸にしながら、そう伝えた。


「ふふ、ありがとうね」

 そんな考えが伝わったのか、リリィお姉ちゃんはいつもの笑顔を見せながら、お礼を言うと……。


「よし、じゃあそんなタロ君にいいものを見せてあげよう」

 両手をぱんっと胸の前で合わせた。


「どうしたの?」

「いい事を思いついたの。上手くいけば次の大陸まですぐに行けるよ」

「本当!?」

 今までの話の流れからは想像もつかない言葉に、僕は戸惑ってしまった。


「船にしっかりつかまっていてね」

「うん」

 そして言われるまま、一つ頷くと船の縁をぎゅっと強く握ると……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ