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 それから、彼女たちの激しい攻防が始まった。


「うおおおおお!!!!」

「むううんっっ!!!」

 ミャオとミルイは、自らの体格よりも遥かに上回る大きさの得物を振り回し、相手を倒そうとする。


「楽しいのぅ!」

「…………」

「どうした? 喋る余裕もないんか?」

「……余と語るには言葉でなく、力で語れ」

「フッ、上等! いってくれるのぅ」

 だが、それのどれもが有効打にはならず、二人の武器が激しくぶつかり合う。

 その度に鼓膜が破れそうなくらいの音と衝撃が発せられていた。


 ……あれ?

 指輪の力で視界共有されているだけなのに、感覚が伝わってくる?

 リリィお姉ちゃんでもそこまで出来るなんて言ってないし……。


「凄い気迫です。こんな遠くでもこれだけ感じるという事は、近くに居たらそれだけで危ないですね」

 僕が今いる場所は後方の部隊だ。

 物見台からは粒程度にしか見えないから、視界共有の指輪が無ければ、まともに見えない。

 ユリウスの言う通り、それでも伝わってくるって事は、相当凄い戦いをしているに違いない。


 そう思っていた時だった。

 お互いに一進一退の攻防を繰り返している時、変化が訪れる。


「いくぞおおお!!!!」

 その変化をつくったのは、ミャオだった。

 ミャオは馬の上に立ち、大きく跳躍する。

 その後に体勢を前のめりにして重心を傾けて、十字架に全ての体重と全ての力がかかるようにしながら落下し、ミルイを叩き潰そうとした。


「うおおおお!!! 余のために消えて無くなれーーー!!!!!」

 ミャオの全力は、機兵アイオーンや妖魔龍も傷つける一撃だ。

 例えミルイと言えども、受けきれないはず……!


 だが、ミルイは片手で持っていた槍を両手で持つと、ミャオの攻撃を受け止めたのだ!


「ええ攻撃や」

 それでもミャオは力を加え、一気に加重をかけてミルイを押し潰そうとした。

 その結果、ミルイの乗っていた巨大な馬の背は圧し折れてしまい、彼女は大地に足を着く事となった。


「でもな、まだ消えるわけにはいかんのじゃ」

 乗っていた巨大馬は、口から泡を吹いて痙攣している。

 しかし、攻撃を受けた当事者は、槍を右手で担ぎつつ左手をぶらぶらとさせているだけで、まるでこたえていなかった。


「ふん、お前が張り切ろうもんで、贔屓の馬がつぶれてしもうたわ」

 ”傷一つついていない”ミルイは、もう二度と走れない愛馬を見下ろしながらそう言うと、大槍を再び構えた。


 その様子を見たミャオは、一つ深く息を吐くと……。


「都合がいい、余も馬上戦より地上戦の方が得意だ」

 乗っていた馬から降りて、十字架を持ち構えた。


「ほぅ、馬上の優位を捨てるとな」

「問題ない」

「奇遇じゃ、妾も馬上での戦いは好いとらん」

 ミャオの元となった作品では、騎馬戦に関する描写は一切ない。

 だから、不慣れな戦い方から解放されたミャオの気持ちは分かるけど……。

 相手も地に足をつけた戦いの方が得意というし、これで有利なった気がしない。


「つくづく楽しいのう! なあ”ミオリーゼ”!」

「……ああ、”ミルイ”」

 僕は、お互いに名前で呼び合った事に気づくと、今までゲームやアニメの中でしか見た事が無かった熱砂のようにチリチリとした感情が交差する風景を目の当たりにして、酷く体が震えた。

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