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 マリーさんと一緒に始めた剣の特訓は、しばらく続き……。


「やぁ! とりゃぁ!」

「その調子です、頑張って下さいね」

 やはりマリーさんが使っていた剣を子供が扱うのは無理があると判断され、刀身が短剣と長剣の中間くらいの片手剣を渡された。

 本来大人ならば片手で振り回すのだが、僕はそれを両手でどうにか使っていた。


「凄いですね! タロさんは素質があるかもしれません」

「そ、そうかな」

 確かにこの人は厳しい。

 でも褒めるところはしっかりと褒めている。

 飴と鞭を使い分けるのが上手いというのかも?

 ……すっかり飼いならされた感がするけど。


「それじゃあ頑張っていてくださいね」

「え、マリーさんはもういっちゃうの?」

 いつもなら剣の特訓はつきっきりで行ってきた。

 でも今日はなぜか、いそいそと荷物をまとめて訓練場から出ようとした。


「ごめんなさいね、今日はどうしても外せない用事がありまして……。終わったらすぐ戻ってきますから、ではごきげんよう」

「ごきげんよー」

 マリーさんは多少申し訳なさそうに軽く頭を下げた後、早々にこの場所から出ていってしまう。

 僕は血豆ができた手を振って、彼女を見送った。


「うーん、用事ってなんだろう?」

 今まで途中で抜ける事なんてなかった。

 そんな人が、あれだけ慌ただしく出ていってしまうのだ。


 何もないわけない。

 絶対にただならぬ何かがあるはず。


 そう思うと僕は居てもたってもいられなかったので、マリーさんの後をこっそりついていく事にした。



 そして、彼女を追っていきたどり着いた場所は……。

「ここは……作戦会議とかする部屋かな」

 あの剣の腕前や、兵舎の中を熟知している様子から、彼女が軍関係者でそこまで低い地位ではない事くらいは、僕も察しがついていた。

 だからここに呼ばれる事に、そこまで驚きは無かった。


 でも、あそこまで急がせる会議ってどんな内容なんだろう?

 僕はそっと扉に耳を当てて、中で話している内容を聞こうとした。

 幸いにも見張りの兵士は出払っていて、扉付近には僕以外誰もいないからばれないはず。


「……で、次の”せいさいせん”についてだが」

「場所は……地区にある……で、要所となる拠点……」

 どうやら、次の戦いの計画をたてているみたいだ。

 せいさいせん……?

 聞きなれない言葉だけども……。


「総大将はマリアンナ殿で……」

 率いるって……!

 あの人そんなに偉かったのか!

 てか、マリーさん戦場に行っちゃうのか……。


 そんな複雑な心境のまま、扉に聞く耳を立て続けた。


「む、そこに居るのは誰だ!」

 げ、ばれた。

 逃げないと大変な目に――。


 僕は逃げようと試みた。

 だが、緊張のせいか足がすくんでしまい。


 扉が開くと、軍幹部の人らと鉢合わせしてしまった……。


「なんだ小僧!」

「ここはお前のような者が自由に入っていい場所ではないぞ!」

 自分の数倍の体格の男や、鋭い眼差しの男が声を張り上げてそう告げる。


 だ、だめだ。

 もう逃げられない。

 僕もピンチだけど、僕がミャオやクス子の仲間だって知ったら彼女たちにも迷惑をかけてしまう。

 どうしよう……、どうしよう……。

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