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 僕は半ば強引に、兵舎内にある修練場へと連れていかれた。


 途中でミャオに出会ったらちょっと恥ずかしいと思っていたけれど、修練場はいくつかあるらしく、ちょうど誰も使ってない場所へ連れてきて貰い、僕はほっと胸を撫でおろした。


「ところで」

「はい、なんでしょう?」

「マリーさんは剣が出来るのです?」

 この人に誘われて僕はここまで来たけれども……。


 僕はマリーさんをまじまじと見つめる。

 飾り気が少ない白いシャツに、天使の羽の刺繍が入っているロングスカート。

 露出が少ないけど、多分リリィお姉ちゃんに勝るとも劣らずなスタイルなんだろうな。


 だから、とても武器を振り回すようには見えない。

 どうみても、深窓のお嬢様って感じだ。


 そう思っていた時だった。

 マリーさんは、近くに置いてあった剣を片手で持ち上げると……。


「よっと」

 まるで、指先でペンを回すかのように軽々と振り回して見せたのだ。


「えええええっ!?」

 う、うそでしょ!

 なんでそんな軽々と持てるの!


 あ、もしかして剣が軽いのか?

 特殊な金属で出来ているとか、魔法の力を宿しているとかそういうのなんだなきっと!

 そう考えつつ、マリーさんから無言で剣を受け取った。


「うぐっ!」

 な、なんだこれ。

 無茶苦茶重い……。


「ぐぐぐ……!」

 くそっ、両手で持ち上げるのが精いっぱいだ……!

 ああもうだめだ、これ以上は持てない!


「ぷはぁっ!」

 僕は剣を地面に突き刺して手放した。

 ひえぇ、まだ手がじんじんしてる……。


「ちょっとは腕に覚えがあります。ですが私はまだまだですよ」

 まだまだって……。

 あなた滅茶苦茶出来るじゃないですかー!


「や、やっぱり僕やめます……」

「そんな!」

 はぁ、やっぱ僕には無理なんだよなあ。

 ミャオといいマリーさんといい、地力の時点で僕と違うもん。

 剣は無理だな、やめとこう迷惑かかるだけだ。


「せっかくお友達が出来たと思ったのに……」

 僕が去ろうとした時だった。

 マリーさんは瞳を潤ませながら、胸の前で手を組みそう告げた。


 く、この人……、いちいち態度が可愛い。

 可愛さ通り越してあざとさを感じるくらいだ。


「……やっぱりやります」

「はい、よろしくお願いしますね」

 この時僕は、”可愛いは正義”という単語をふと思い浮かべるとともに、あざといマリーさんに勝てなかった自分に情けなさを感じつつ、彼女と剣の特訓を行う事になった。

 マリーさんは、とても明るい表情をしていた。

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