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この攻撃方法って……、もしかして。
ゴシック・ロンリーガールの作中で主人公ソフィリンスが敵を倒すときに使う必殺技だ。
まさかセリフや武器も再現するなんて!
そしてそれを間近で見れるなんて!
で、でも。
原作だと妖魔とか邪神相手に使ってた技だ。
それを普通の人間に使うとか……!
いくら話を聞かないとはいえ、そこまでしなくても。
ん?
足元になにか転がってくる?
僕の手よりも小さい、……これって歯車かな?
何でこんなところに機械の部品が?
そう思いながら、部品が転がってきたであろう場所に視線を移動していくと……。
「えっ……」
そこには、十字架に潰され”壊れてしまった”イミティがあった。
「にゃ、にゃあ! 人じゃにゃい!」
まふにゃんの言う通りだよ!
これって、どうみても機械じゃないか!
イミティって機械だったの……?
「ねえタロ君、これって……」
お姉ちゃんは不安そうに僕へ声をかけてきた。
そ、そんな顔しても僕だって分からないよ!
「こいつは人形だ。随分精巧に出来てはいるが、ヒトに化けている数多の妖魔を仕留めてきた余の目を、欺く事は出来ん」
そして、ミオリーゼちゃんのその言葉で、散々魔法倶楽部を引っ掻き回した張本人が、人間ではない事を確信した。
まさか、人形を使って歯車を置こうとしたの?
そこまでする理由って……?
「もうしばらく、ここで様子を見た方がいいな」
今この状況から、何か大事に首を突っ込みかけているというのは僕でも分かった。
いつもなら、このタイミングで”見捨てたくない、助けよう”って気持ちになるんだけども……。
僕は、第三の大陸の出来事を思い出したせいで、その言葉が喉から出なかった。
「そなたらは大丈夫か?」
この時、リリィお姉ちゃんは僕の頭をそっと撫でてくれた。
僕はお姉ちゃんの方を向くと、優しく微笑むお姉ちゃんが居た。
「……うん」
ミオリーゼちゃんの誘いを断われなかった。
正直、不安だ。
またあんな事が起きてしまったら……、僕は……!
「大丈夫だよ。私たちがついているからね」
「にゃー!」
「うんうんっ」
本当なら、ミオリーゼちゃんに対しての答えだったんだろう。
けど、なんだろう。
みんなが僕の事を励ましているような気がする。
……頑張らなきゃ、僕がしっかりしないと。
「そういうわけだ、しばらくはここに居る」
こうして、今後の方針が決まるとミオリーゼちゃんは、僕たちを追いかけてきた魔法倶楽部初期メンバーの男の子二人に、凛とした態度でそう話しかけた。
「ここに居るって、別にずっと居てもいいんだぞ?」
「そりゃ、こいつの口車にほいほい乗ってミオリーゼを無視したのは悪かったけどさ……」
本人たちも自覚があるらしい。
ミオリーゼちゃんの方を見ないまま話をしている様子から、ばつの悪さを感じているのかも。
「別に余は気にはしていないぞ」
そんな二人の言動に彼女は、表情を変えないまま答えると……。
「だが、心遣いは感謝しよう」
十字架を持っていないもう片方の手を胸に当てながら、お礼の気持ちを伝えた。
この時、表情こそは変わらないけれど、どこか温かみを感じた。




