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「ひゃあっ!」

 ミオリーゼちゃんが僕の手を握った瞬間、彼女の着ている黒いローブが輝きだし、彼女の体を包みこんでいった。

 それが、今までと同じく彼女の服装を僕の好きなキャラクターのものにする前兆だという事は、容易に想像が出来た。


 だけど、それ以外にも僕はある事に気づく。


 今まで、僕が気になる女の子に対して発動していると思っていたこの能力。

 実はそうじゃなくて、この世界に居場所が無くなった子に対して発動していたのかもしれない。


 そう思いながらも、僕は何も言わず見届けた。

 やがて彼女を包んでいた光がゆっくりとおさまっていき、姿が明らかになると、従来通りミオリーゼちゃんの服装を大きく変わっていた。


「…………」

 その服装は、全体的に黒と白を基調とした色合いをしていて、肩の部分は風船状に大きく膨らみ、胸や袖には銀糸で十字架の模様があしらわれている。

 転生前の世界であった、所謂ロリータファッションというものかな。


 それ以上に特徴的なのは、目の下に*(雪の結晶?)のような化粧が施されている事と、首は血のような液体の入った小さな試験管がぶら下がっているチョーカーで飾られている事だ。


 間違いない。

 今ミオリーゼちゃんが着ている衣装。

 それは僕が転生前の世界で、人気のあったバトルモノの少女漫画”ゴスロリ(正式名称はゴシック・ロンリーガール)”の作中に出てくる少女ソフィリンスが着ている衣装そのものだ。


 僕はその作品もそのキャラクターも好きで、漫画は初版で全巻揃えているくらいだ。


「…………」

 ミオリーゼちゃんは服装が変わっている時も変わった時も、目を閉じたまま何も言わない。

 今までの三人は驚いていたのに。

 もしかして、体調が悪いとか……?


「だ、大丈夫?」

 僕は恐る恐る声をかけた。

 すると、ミオリーゼちゃんは目をゆっくりと開いてこちらを向き……。


「さあ、参ろうか。そなたが余を連れていってくれるという言葉、嘘ではないのだろう?」

 強い光を瞳に宿しながら、凛とした口調でそう告げた。


 あれ?

 今までは服装がすぐに変わっても、口調や性格が変わるまでは少しだけタイムラグがあったはず。

 でも、ミオリーゼちゃんは違う。

 もうソフィリンスと同じ口調になっている!


「う、うん」

 その事に戸惑いながらも、僕は頷き……。


「じゃあ僕の仲間と合流しよう」

「うむ」

 そしてそう告げると、魔法倶楽部の館へ戻るために歩き始めた。


 道中、僕は何度かミオリーゼちゃんの方を向いた。

 すぐにソフィリンスとなった彼女に少しだけ戸惑いながらも、僕は帰路を急いだ。

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