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異世界の闇軍師  作者: まさな
第六章 錬金術師になりたいな

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第十三話 再会

2016/11/22 若干修正。 


「は、離せこの野郎! うあああっ!」


「バズ! 畜生!」


 男の叫び声が聞こえてきた。うーん、なんか、思いっきりピンチっぽいね。行きたくねえなあ。


「助けに入るわよ!」


 リサが宣言し、剣を抜いて駆け込んだ皆に続いて広間に入ると、そこでは四人の冒険者がミイラ達と戦っていた。一人はすでにミイラの包帯に足首を捕まえられて、転倒させられている。アレは危ない。


 どうする!?

 

 ここからでは距離が遠い。あの包帯をナイフで切るかどうにかしないといけないが、ま、ティーナが駆け込んでいるので、彼女に任せるか。俺は援護のため、閃光(フラッシュ)の呪文を無詠唱で、足を捕まえているミイラに浴びせる。


 よし、動きが変わったし、効果はあったようだ。


 続いて、左右から寄ってくるミイラを足止めするため、アイスウォール。

 俺は右に壁を構築したが、ミオが左にも壁を構築してくれた。ナイス。エリカは電撃か。まあ、一匹、痺れさせて動きを止めたので、悪くない判断だろう。どうせ何も考えずに電撃だったんだろうけど。クロは足首を捕まえているミイラに炎の呪文を浴びせ、よし、いいぞ、包帯もちぎれた。

 後はティーナが上手く引っ張り出してくれるだろう。

 

 ここで味方全員にバリアを唱え、さらに重ね掛け。


「助かる! だが、気を付けろ。こいつらは普通のミイラじゃねえぞ!」


 戦っていた冒険者の一人が叫んだ。

 ふむ、確かに、ムキムキになってるし、目が光ってて怖いんだよね。俺はホラーは苦手なのよ。


 ティーナが危険な状態だった冒険者を引っ張り戻し、レーネやリムが三人の冒険者に加わって前線も構築した。

 苦戦はしていたようだが彼らも弱くは無い。

 一呼吸つけるので、まずはここはアナライズだろう。



 親衛隊のミイラA Lv 45 HP 1951/3451

 親衛隊のミイラB Lv 45 HP 2225/3450

 親衛隊のミイラC Lv 45 HP 2362/3452

 親衛隊のミイラD Lv 45 HP 3356/3453


【弱点】 炎、聖

【状態】 不死(アンデッド)

【解説】 

 秘術により不死化した人間。

 生前の知能などは失われているが、

 腕力と体力は強化されている。

 噛みつき、掴みかかり、包帯飛ばしで攻撃してくる。

 誓約により侵入者を排除するまで戦う。

 噛みつかれると高確率で毒や麻痺に侵される。

 不死化のレベルは低いため、

 肉体を破壊されると復活しない。 



 ううん、ミイラ男と解説は一緒だが、HPが十倍近い。きっと腕力なども段違いのはずだ。

 レベルも高い。俺たちの平均より10くらい上だし、数が多いから厳しいな。

 だが、前衛はもう戦っているし、逃げるわけにも行かないだろう。


「炎と聖属性が弱点!」


 攻撃方法については同じなので省略すればみんなも分かってくれるだろう。HPもティーナは見えていると言ったし、言わなくても大丈夫のはずだ。

 あとはみんなに任せ、倒れたままの冒険者のところに駆け寄る。

 まずは、状態を確認しないとな。


 味方全員にステータス呪文をもう一度掛ける。



 バズ Lv24 HP 4/ 262

【状態】 気絶、瀕死、骨折、呼吸困難、打撲



 うわ、ヤバい。ピンク表示だし、今もHPが1減るのが見えた。ほっとくと確実に死ぬぞ。


 急いで俺は懐から高級(ハイ)ポーションを二つ取り出して、栓を抜いて飲ませる。次に気付け薬を嗅がせ、ダメだったので、これも飲ませた。


「うっ!」


 気がついた。HPは141まで回復したが、ハイポーションを使ったにしては回復が良くない。聞いた話になるがハイポーションの回復量はHPで200ポイントくらい。

 骨折と呼吸困難と打撲が回復を阻害しているようだ。だが、気絶と瀕死のバッドステータスは消えた。


「どこが痛むんですか?」


「む、ね、が…」


 肺をやられているらしい。


「鎧を脱がせます」


 革鎧に胸当ての片方を当てただけの格好なので、割合、簡単に脱がすことが出来た。鎧の下に来ている布の服をめくってみると、紫色に内出血したような痕があり、不自然にでこぼこになっているので、肋骨が骨折しているようだ。


「ロキソ草で痛みを止めます」


 普通に貼っていては弱いので、乳鉢をリュックから出して、ロキソ草十枚とサロン草十枚を一気に使い、ペーストを作る。それを内出血した部分に塗ってやる。


「おお…」


「あと、出血を止めないと」


 ハイポーションでもう止まっている可能性もあるが、念のためにヨモギ草を五枚すり潰して、それを布で絞ってエキスを新しいハイポーションに加え、 バズに飲ませた。


「よし、痛みが引いてきたぞ」


「ああ、動いちゃダメですよ。骨が折れてるんだから」


「だが、あいつらも戦ってる」


「バズ! こっちのことは気にすんじゃねえ! てめえは弱えんだから、寝てろバカ!」


 戦っている冒険者の一人がちらっとこちらを見て怒鳴った。金髪のポニーテールの男剣士、どっかで見た事あるんだよなあ。ステータスの名前も、ラッド、アッシュ、トラッド、バズか…。


 あ、思い出した、ヒューズの街で、隊列を組む面倒なゴブリンリーダーを、俺たちと一緒に倒した冒険者だった。いつもラッドが笑って喋っていたので、他のメンバーの印象が薄かった。


「うるせえ、俺はまだやれるぞ、アッシュ、いててて」


「だから無理せずに、待機してて下さい。僕の薬じゃ、骨折は治せませんから」


「仕方ねえ、だが、鎧は着るぞ。こんなところでのんきに寝てて、また捕まったらしゃれにならん」


「ええ」


 バズに鎧を着せてやり、入り口まで引きずるようにして移動させる。どうやら足も骨折しているようだ。そこでブーツを脱がせ、ロキソ草とサロン草の混合ペーストをもう一度作って塗っておく。


「悪いな」


「いえ、バズさんは、向こうから敵が来ないか、見張ってて下さい。ここでバックアタックなんてされたら、冗談抜きで全滅しかねないです」


「そうだな、分かった。ちゃんと見張ってるから心配するな。こっちはいい、あいつらを手当してやってくれ」


「はい」


 HPが低いのはアッシュか。


「アッシュさん、ポーションを渡しますから、一度下がって下さい」


「ああ!?」


「いや、だから」


 なぜそこでキレる…。


「いいから治療してもらえ、アッシュ。こいつら、長期戦になるぞ」


 ラッドがそう言って、ようやく、アッシュがこちらに下がってくる。舌打ちしながらだけど。


「これを。あと、痛むところは?」


「これで充分だ、お返しだこの野郎!」


 あーあー、敵のど真ん中に突っ込んじゃって、大丈夫かいな。


「次は、トラッド、俺がカバーしてやるから、行ってこい」


「分かった」


 トラッドがやってきたので、またハイポーションを渡す。これで残り五個か。リサも何個か持ってるが、まあ、当てにしない方が良いだろう。向こうでも使うだろうし。


「んじゃ、次は俺だ。アッシュ! ちょっと下がってカバーしろ。俺が治療できねえだろうが」


 ラッドが敵を剣で斬りつけながら言う。


「チッ、さっさとしてこい」


「おう。じゃ、悪いな、ユーイチ」


「いえ。じゃ、これを」


「おう、後で返すぜ」


 ラッドはニカッと笑って、爽やかな笑顔だなあ。


「そこのレベル低い三人は無理せず、防御だけしてなさい。アンタ達が回復薬を消費しちゃうと、後が厳しいわ」


 リサがはっきり言うが、ラッド達は平均でLv25か。俺たちの方がいつの間にか10レベル近く上になっている。

 結構、無茶したしなあ。デーモンとの戦いは本気でヤバかった。


「ああ!? ふざけんな!」


「仕方ない、アッシュ、俺達はもう少し下がり気味に行くぞ。要は、あいつらの薬を無駄に使わなきゃいいんだ」


 ラッドが作戦を指示する。


「くそっ」


 アッシュも一応分かってくれたようで、ふう、良かった。


 さて、戦況の方だが、レーネが一番右、ミイラDを相手取って、善戦している。時折飛ばしてくる包帯もきっちり剣で綺麗に切り落とし、隙が無い。

 レベルはレーネの方が三つ低いが、技を見る限りはレーネの方が強い。HPと腕力が違うんだろうけど、攻撃を食らわない限りは問題無いだろう。


 続いて、アッシュと大盾持ちのトラッド。ミイラCを主に相手にしている。アッシュが斬り込み、トラッドが盾を使いつつ攻撃を受けると言う感じ。ちょっと危なっかしいのだが、支援魔法を使うとすると、ここかな。


 そしてリムとラッドがミイラBを相手にしている。リムが先頭に立ち、包帯を巻き付けられたら、ラッドが切って、上手く連携が取れているようだ。リムが良い感じに一撃で100近いダメージを出しているが、いつもよりダメージが倍近い。聖銀(ミスリル)の効果か? ただ、防御に不安が残る。


 最後、ティーナとミネアがミイラAを一番左側で相手にしている。俺たちが来たときに一番、HPが削られていた相手だ。飛ばしてくる包帯はことごとくティーナが切り捨てているので凄いのだが、与えているダメージはちょっと少ない。まあ、いくら業物のミスリルでも細剣(レイピア)だしな。ミネアのショートソードは普通の物らしくさらにダメージが少ない。ラジールに寄ったときに、ミスリルにしておけば良かった。

 防御は大丈夫そうなので、後回し。


 アッシュの前にいるミイラCに狙いを定め、フラッシュの呪文で目くらましをかける。


 む、くそ、レジストか…さっきは上手く行ったんだが。

 もう一度だ。


 今度は上手く行った。これでミイラAとCは命中率ががた落ちだ。適当に振り回したりすれば当たることがあるので油断は出来ないが、有利になった。


「よし、いいぞ、ユーイチ」


 ラッドが俺が何をしたか見えているようだ。視野が広いな、この人。

 と、クロとミオも、攻撃呪文からフラッシュの呪文に切り替え、全てのミイラの視界を潰し、空振り状態にした。

 

「っしゃあ! これなら、攻撃に集中、うがっ!」


 いや、だから、なぜそこで全力攻撃に移るのかと。


「アッシュ、戦い方を崩すな。長期戦だと言っただろ」


「ああ、くそ」


「アッシュさん、ピットイン」


 両手で手招きして呼ぶ。


「ピット?」


「いいから治療してもらってこい」


 いかんな。つい向こうの言葉が出たが、戦闘中は伝達は確実にやらないとミスが出るし、前衛の迷いを産んで集中を邪魔しても同じだ。


「すみません、余計な事を」


「いいから、さっさと寄越せ。後で倍返しだ、この野郎!」


 いや、なんか、やりにくいなあ。ともかく、ハイポーションを渡す。ダメージ的には普通のポーションでも良いかなと言う感じなのだが、普通のポーション、持ってないし。


「ああ、ついでにこれとこれも、飲んで下さい。防御アップと回避アップです。回避の方はブーツに振りかけて下さい」


「くそ、良いもん、持ってやがる。借りるぞ」


「ええ」


 後はいちいち呼ぶより、俺が背後に近づいて振りかけた方が良いだろう。回避率アップをラッドとトラッド、それにリムにも振りかける。

 

 あ、くそ、リムに掛からなかった。仕方ない、もう一個。

 今度は成功。 


 やっぱり支援系の薬って、使いづらいな。事前に強敵が出てくると分かってれば、有効に使えるんだけど。魔法で代替ができないか、研究してみよう。


 俺が薬を使っている間、ミオがファイアウォールとアイスウォールを使ってミイラを足止めしようとしたが、こいつらは知能が高いのか、回り込んでくる。


 リサが聖水を振りかけてみたが、ダメージは40ちょい。悪くは無いんだけど、こいつらのHPの高さからすると、火力不足だし、数も足りない。

 聖属性のエンチャントとか、できないかな。


「あっ、こいつら、急所への刺突、あんまり効かないんだ…」


 途中、ティーナがそれに気づいて、ダメージが激増した。


「おお、言うのを忘れてたが、こいつらは死体だからな。同じところを切ってもあんまり意味はねえぞ。急所もアンデッドには効かねえ」


 ラッドが言う。


「くっ、それを早く教えて欲しかった…。でも、これで倒せる!」


 ティーナがレイピアを握り直し、気合いを入れる。じゃ、俺もここは一つ――。


「魔法チーム、呪文、節約して。まだ帰りもあるのよ?」


 リサが注意した。


「うえ、そうだった」


「心配すんな。ここが踏ん張りどころだ。後は大した敵はいねえだろ」


 ラッドが言うが、そうだといいんだけど。ま、ピラミッドの外の敵は楽勝だったっけ。


「これで一つ!」


 ティーナが振り下ろしの斬撃で、一番左のミイラAを片付けた。

 よし、これで、回り込めるようになるから、一気に片が付くはず。


「二つだ!」


 レーネもミイラDを片付け、これで残り二体。


「よし、クリアね」


 全てミイラを片付け、リサが戦闘終了を宣言した。

 ここまで何ターン掛かったか途中数えてなかったが、軽く20ターンは超えていただろう。


「よし! 生き残ったぞ! こんちくしょう!」


 ラッド達が喜ぶ。


「生き残ったのは良いけど、私達が助けに入らなかったら、死人が出てたわよ。どうして逃げなかったのよ」


 リサが問い詰める。


「やあ、まあ、そうなんだが、普通のミイラだろうと思ってな。苦戦はするが、勝てない相手じゃ無かった。だが、親衛隊のミイラとはな…とにかく、礼を言う」


 ラッドが手を差し出し、リサと握手。


「じゃ、あなたたちはここで引くわね?」


「仕方ない。命を助けてもらったんだしな。ここのドロップもお前らで好きにしてくれ。あと、街に帰ったら、ポーションを返すよ」


「ユーイチ、倍返しだからな、覚えてろよ、この野郎」


 アッシュが俺を指差していくが、目が笑ってないんだよなあ…。

 バズが俺を見て言う。


「じゃ、お前には二度も助けてもらったな。何か、良いもんを渡してやりたいが…」


「おい、早くしろ、バズ、置いてっちまうぞ」


「分かってる。じゃ、よし、これをやろう」


 ピンク色のポーション。


「これは?」


「マジックポーションだ」


「おお。でも、高いんじゃ?」


「ま、オークションなら五万は固いぜ」


「ええ? そんなに? もらえないですよ」


「いいから、持っとけ。まだ()つはずだが、色が薄くなってきたし、そろそろ使い物にならなくなる。俺ら剣士のパーティーが持ってても仕方ねえしな。じゃ、またな」


「あ、ちょっと」


 行ってしまった。


 うーん、いいのかね。ラッドのパーティー、そんなに装備は良くなかったし、金も入り用だと思うんだが。

 ま、後で返すにしても、ちょっと栓を抜いて、匂いを嗅いでみる。


「おお、なんか美味そうな匂い」


「ニャ、あたしにも」


「飲むんじゃ無いぞ、リム」


 戦士のお前が飲んでも、ホント、意味ないからな。


「分かってるニャ。んー、そんなに美味しそうじゃ無いニャ」


「んん? そうか」


 ま、今の俺はまだ100ポイント近くMPが残ってるし、こういうのは決戦の前まで取っておくもんだ。消費期限が近いってのが、悲しいが。

 栓をしておく。


「じゃ、こっちが次の部屋ね。ふふ、お宝お宝」


 リサがニヤニヤするが、ティーナは後ろを振り向いてちょっと困り顔。


「私達が独占して良いのかしら…? ラッドさん達も一緒に戦ったのに」


「そこはお礼ってもんでしょ」


「それなら、ハイポーションの倍返しはもらえないわね」


 ティーナがそう言うが、まあ、分け前が千ゴールドを上回るなら、元も取れるか。


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