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異世界の闇軍師  作者: まさな
第五章 騎士

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第三話 ティーナの告白

2016/10/14 若干修正。

 軽い手合わせのはずが、マジで殺されるかと思った。

 ティーナが止めに入ってくれ、ジョセフが笑って謝ったのでそれで済んだが、なーにが「久々にアツくなってしまってな」だ。次からムキムキとは目を合わせないようにしよう。


 街を二つ経由し、途中で野宿も挟み、出発から一週間で俺たちは王都に到着した。


「ニャー、人がいっぱいニャ!」


「う、ホントにぞろぞろいるわね…」


 馬車の窓から外を覗いて、リムとエリカが呆気に取られている。

 俺はティーナに頼んで、こっちの馬車に配置換えしてもらった。リサが代わりに行ってくれたが、ムキムキのおっさんの相手はこりごりだ。 


 王都は今までの街よりもさらに大きかった。

 道も全て石畳になっており、道幅も広い。六階建てのレンガ造りの建物も建ち並び、大きな噴水もあった。

 ダガーを空中に何本も放り投げてジャグリングしている大道芸人もいて、賑やかで活気がある。

 道行く人々もおしゃれに着飾っていて、洗練された感じ。

  

「では、明日の朝、また迎えに来る。それまでは観光なり寝て過ごすなり、好きにするが良かろう」


 ジョセフはそう言って、宿屋で別れた。直接城に乗り込むのでは無いようだ。


「じゃ、私は用事があるから、出かけてくるわね」

 

 チェックインを済ませたティーナが言う。


「私も寄るところがあるから、自由時間でいいんじゃないの?」


 リサも用事があるようだ。


「ええ、そうしましょうか」


「じゃ、魚を食べに行くニャー」


 リムがそう言うので、俺とエリカとクロで一緒に回って見ることにする。

 今はちょうど昼時で、食べても夕食に支障は無い。

 はぐれてしまいそうだったので、マッパーとHPバーのステータス呪文を唱えておく。


 最初に、リムのご希望通りに、魚だ。

 開いて串刺しにした魚を炙って食べる立ち食いの店があったので、そこで四人分、リムが一人で二人分を頼んで買う。


「ああ、普通の塩焼き魚だな」


「塩焼きニャ!」


 タレは付いていない。

 むう、白米のご飯が欲しくなる。


「ほれ、クロ」


「ニー」


 ちぎって、少量を食わせてやる。猫は塩の取り過ぎは良くないからな。小食だし。


「じゃ、次の店ニャ!」


「待て。魚を食うんなら、お前一人で行ってこい。俺たちはもう要らないぞ」


「じゃ、そうするニャ。はい」


 手を出してくるリム。


「その手は何だ?」


「お金を寄越すニャ」


「自分の金で買え。それか、ティーナを探してこい」


「ムウ、仕方ないニャ。ティーナと違ってユーイチはケチニャ」


「悪かったな」


「じゃ、魔法屋へ行くわよ、ユーイチ」


「ああ」


 エリカと一緒に向かう。


 だが、エリカが欲していたデスの魔法は売ってなかった。

 まあ、普通に売ってたら、怖いよな、そんな魔法。


 しかも、デスだけでなく、生活魔法は料金を払えば教えてもらえるものの、中級以上の攻撃魔法はここでは教えられないという。

 一般に魔法と言う物は高位の魔法使いに弟子入りして覚えるモノらしい。

 書物も、入門レベルしか置いてないという。


 がっかりだ。


「むうう、こんなことなら、村の長老達から、もっとたくさん、呪文を教わっておけば良かった」


 エリカが後悔する。


「エリカの里は、ここから遠いのか?」


「ええ、ちょっと遠い…むっ、私達の里は人族には秘密よ」


「ああ。ま、どのみち、遠いんじゃあなあ」


 調合用のアイテムは結構な品揃えがあったが、どれも値段が高いので、効果が分からない物はおいそれと買えない。ユニコーンの毛が金貨百枚とか、もうね…。角だった日にはいったい、いくらの値段になるのやら。

 即死の身代わりアイテムが金貨一枚で売っていたので、後で全員分、ティーナに買ってもらおう。

 

「じゃ、帰りましょ」


「ああ」


 武器と防具も、前衛の二人がいるときに行った方が良いだろう。


 宿に戻り、ベッドに横になって、長旅の疲れを癒やす。


 夕食の後、ティーナがみんなに話があるというので、部屋に集まった。


「じゃ、明日の段取りの説明と、それから、私の地位について、話すわね」


「ああ」

「ええ」


「まず、謁見だけど、多分、予定通りに明日、行われるわ。朝の内にお城に入って、待合室で待機だけど、そこで結構待たされるから、注意しておいて」


「ま、当然でしょ」


 リサが言うが、そうだろうな。


「ええ。陛下はお忙しい御方だから。で、謁見の間に案内されたら、黙っていること。大きな声を出さない。案内人の指示に従ってね。私と一緒に行動すると思うから、付いてきてくれるだけで良いと思うけど、陛下の前に出て、面を上げよって言われるまではそっちを見ちゃダメだから」


「ニャー。もし見ちゃったら、打ち首かニャ?」


 リムが心配するが、そこまで厳しいのだろうか。


「いえ、そこまでは行かないと思うけど、叱られると思うから、気を付けて。それで、陛下からお言葉があって、私が基本的に受け答えすると思うけど、名指しで質問があったら、答えてね」


「わ、分かったニャ。好きな食べ物は魚ニャ。よし」


 いや、そんな事は王様も聞いてこないと思うぞ、リム。


「ううん。で、褒美の話が出たら、私がありがたき幸せって言うから、みんなも頭を下げて。下がって良いぞって言われるから、そこで立って一礼して回れ右。分かった?」


「あれだ、ティーナ、一応、予行演習しておいた方が良いと思うぞ」


 俺が提案する。言葉だけだと、分かっているかどうか怪しい。特にリムが。


「ん? そうね」


 ティーナが王様役、俺がリーダー役を務め、予行演習を二度やった。一回目はリムがお約束通りに顔を上げたままガン見していて、失敗。二回目で理解した様子。


「うん、これなら大丈夫」


 ティーナのお墨付きが出た。


「ニャー、行きたく無いニャ」


「うーん、こればっかりは、もうパーティーで倒したって話しちゃってるし、諦めてね、リム」


「気が重いニャ」


「終わったら、お魚、美味しいのをたくさん、食べさせてあげるから」


「ニャ! 約束ニャ!」


「ええ。それと、私の地位のことなんだけど、みんなを騙したようで悪いんだけど…」


「構わないわよ。どうせそんなことだろうと思ってたし」


 リサが言う。


「右に同じく」


 俺も言う。


「私は、ティーナが隠したがるのがなんでなのか、よく分からないけど」


 と、エリカ。


「まあその辺はね、色々面倒な話があるんだけど、一番の理由は、侯爵領に潜入して不正を暴くつもりだったからなの」


 ティーナが言う。


「君が?」


「ええ。そうよ。でも、まさか悪魔が出てくるなんて思い切り予想外だったし、戦闘をやるつもりでもなかったんだけど」


「えー? 子爵の屋敷に忍び込んだときはやる気満々だっただろ」


 突っ込まずにはいられない。


「いや、あの時は(さら)われた人がいるって聞いて、それでよ」


 危うい気がするが、今更だ。


「それで、あなたの家はどこの家なの? まあ、私はだいたい見当がついてるんだけど、白い竜の指輪とかね」


 リサが言う。


「ええ? 普段、あれは身につけてないのに、ユーイチ、話したの?」


「いいや。ヤバそうだと思ったから俺は喋ってないぞ」


「あなたが体を洗ってるときにちょっと確認させてもらっただけよ」


「む。あの時か…油断も隙も無いんだから」


「それで?」


「ふぅ。私の本当の名は、ティーナ=フォン=ラインシュバルト。ラインシュバルト侯爵の次女よ」


 やはり大物。王族ではなかったものの、上級の貴族。剣士の格好をしているからさほどでもないが、ドレスを着たらきっと凄いことになるのだろう。


「ニャニャッ!? ティーナって、貴族のお偉いさんだったの!?」


 気づいてなかった約一名。


「まあ、そう言うことよ」


「ニャー」


「他のみんなは、驚かないのね」


「予想通りだし」


「そうだな」


「ま、そんなわけだけど、今まで通りでいいから。堅苦しく挨拶されるのってやりにくいし」


「へ、へへェー! 失礼したですニャ!」


 本人は大真面目なんだろうけど、もはやギャグでおちょくってるようにしか思えん。


「リームー。ちゃんと話を聞きなさい。今まで通りの態度、普通の喋り方で良いのよ」


「ニャ? いいのかニャ?」


「ええ」


「ふう、良かったニャ。堅苦しい挨拶はよくわかんないニャ」


「ま、そう言う時は、そうとは知らず、ご無礼を。かな?」


 確認する。後学のためだ。


「正解。ユーイチも、農夫の子にしては、物知りね」


「ま、まあな」


「あなたも貴族じゃないの?」


 などとリサが聞いてくるし。


「いや、俺は正真正銘の平民だ。今は奴隷だけどな。とほほ」


「そのことだけど、ユーイチ、あなたが望むなら、私が騎士にしてあげても良いわ」


 ティーナが言う。


「むっ! ほ、本当か?」


「ええ。悪魔退治の一件で、役に立ってくれたのは事実だし、みんなも、騎士にしてあげるけど」


「私は遠慮しておくわ。色々と堅苦しいでしょうし」


 リサは平民の方が良いと思っているようだ。


「ニャ、それなら、あたしも要らないニャ」


「そう。まあ、ある程度、挨拶の仕方も知っておいてもらわないと困るし、ユーイチだけかしらね」


「それでいいんじゃない? だけど、奴隷上がりって馬鹿にされると思うけど」


 リサが言う。


「馬鹿にされても、鞭打ちは無いんだろ? 相手に怪我をさせただけで死刑とか俺は嫌だ」


「ううん、そう言うこともあるって聞いてるけど、滅多な事じゃ殺さないわよ? ねえ?」


 ティーナが同意を求めるが。


「そう言うのは主人によるわ。私は奴隷が鞭打たれるのを見た事も有るし」


 リサが言う。


「そう…じゃ、なおさら、騎士にしてあげた方が良いでしょうね。ただ、ううん、多分、陛下に望みを聞かれるから、そこで騎士の地位を願い出れば、行けると思う。平民は多分、確実ね」


「んん? ああ、ティーナが国王にお願いしてくれるってわけか」


「いえ、お願いはするつもりだけど、私の家であなたを騎士に召し上げることもできるのよ」


「じゃあ、そっちの方が確実じゃないのか?」


「んー、そうなんだけど、格とか、その、色々ね…」


「奴隷上がりの騎士は、代々の騎士より格が下がるし、家の名が穢れるって言う貴族もいるでしょうね」


 リサが言うが、なるほど、そこをティーナは気にするのかな?


「言っておくけど、私は、能力さえあれば奴隷上がりの騎士でも平気よ。まあ、全員だと変な感じになると思うけど…」


「じゃ、構わないでしょう。ラインシュバルト家と言えば、名門の大貴族、格式にしたって、王宮直属とそう変わらないと思うけど?」


「う、うーん、そうなんだけどね…」


 あまり気が進まないらしい。


「んん? あー、へえ、分かったかも」


「ちょっ! い、言っちゃダメだからね、リサ」


「言わないけど、その趣味はどうかと思うわよ」


「ほっといて。あくまで候補なんだから」


「ふうん」


 リサはティーナの考えが分かったようだが、よく分からん。口止めしたし、俺が聞いても無駄か。


「とにかくだ、ティーナは、俺が王宮直属で騎士になった方が良いんだな?」


「私としてはそうなってくれるなら、その方が良いんだけど、あなたにとっては、微妙かな…」


「じゃ、構わない。世話になってるんだし、君の意向に沿っておくとしよう」


「そう。ごめんね」


「だけど、平民は確実なんだな?」


「ええ。私が願い出るし、ダメでも私が買い取って、まあ、今でも私の奴隷みたいなものだし」


「お、おう」


「へ、変な意味じゃないわよ?」


「ふっ。じゃあ、あとは二人で話を詰めて頂戴。リム、エリカ、行きましょ」


「私の部屋、ここなんだけど」


 エリカが言う。ティーナとの相部屋だ。


「じゃ、ティーナ、騎士の注意事項、詳しく聞きたいんだが、俺の部屋でいいか?」


 言う。


「わ、分かったわ…」


「んん? 嫌なら、日を改めても良いんだが」


「ああ、うん…」


「ダメよ、明日、騎士に任命されたら、そこで任命の礼儀も知っておかないと、まずいでしょうに」


 リサが言うが、その通りだ。


「ええ。じゃ、その辺、じっくり…オホン、きちんと教えてあげるから、行きましょう。あと、変な勘ぐりはしないように」


 夜分に俺と二人きりになるのをティーナは警戒したらしく、よほど信用が無いようで、裸になれとか変なこと言わなきゃ良かった。

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