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異世界の闇軍師  作者: まさな
第十五章 大魔導師への道

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第十三話 天上のアルヴヘイム

 俺の野望はあっさりと崩れ去り、いや、まだまだこれからだ。

 必ずエルフ・ハーレムを作ってやる。


 ひとまず、みんなのところへ戻ろうとするが―――


 ヒュッと、石ころが飛んできたので、俺はサッと躱した。


「チッ! 蛮族が避けやがった」


「意外に素早いな!」


 小学生くらいに見えるエルフのガキ共が投げた様子。


「ちょっと! アンタ達! 勇者になんてコトするのよ!」


 エリカが怒ってくれるが、子供の石ころ攻撃より、お前のデスや電撃の方が俺としては怖いし厳しいぞ。


「やべっ、逃げろ、エリカが怒ったぞ」


「電撃来るぞ! アハハ」


 クモの子を散らすように逃げた悪ガキ共だが、エリカも子供相手に電撃飛ばすのは止めなさいと。

 さすがにレベル74の今のエリカは自重したようで何もしなかったが。


「後でエルザに言って叱ってもらうわ」


「まあ、気にしなくても良いぞ。どうせ長居はしないんだからな」


「ええ」


 その日はコカトリスへの対策を話し合ってさっさと寝た。




 ―――早朝。



「グルッグ、ゴゲゴッゴー!」


「来たわよ!」


 リサが告げる前に皆、起き上がっている。フル装備の状態だ。

 大司祭ブンバルトから聞いた話通りに、鶏とドラゴンの合いの子のようなモンスター。

 鶏とくれば、朝早くにうるさく鳴くと、俺はこの世界で経験したからな。


「位置特定!」


 C4Iシステムを真似たイーグルアイの呪文で、コカトリスとパーティーメンバーの位置は完全に把握した。

 これで後は目を閉じていても、攻撃呪文を誘導できる。

 もっとも、コイツはこちらが敵の姿を見ることによって石化してしまうメデューサタイプでは無く、向こうが睨む事によって石化される、バジリスクのタイプだ。


「アイアンウォール展開!」


 なので、敵にこちらの位置を気取らせないように鉄壁で視界を塞いでやり、呪文で遠隔攻撃を加える。


「ん、束縛(バインド)、成功」


 ミオの呪文が成功した。後はひたすら、ファイアウォール。


「ああ、稲妻を使いたい…!」


 エリカが言うが、鉄壁(アイアンウォール)を展開してしまっている以上、それが避雷針となって攻撃が上手く当たらないと考えられる。その点もすでに昨日の夜に話し合って、想定済みだ。


「ゴゲーッ! ゴゲーッ!!」


 コカトリスは暴れるが、ミオの束縛(バインド)は効いている。

 やはり特殊攻撃を使ってくる奴は、それさえ封じてしまえば、難しい相手じゃ無いな。

 こう言うのより、基本能力値がやたら高い奴の方が難易度が高いかも。


 ただ、HPはそれなりに高く、三時間近くも俺達は戦っていた。


「クリア! ふう、ようやく仕留めたわね」


 リサがクリア宣言。


「長かったニャー……」


「お疲れ様、魔法チーム」


 ティーナが労ってくれるが、今回、ほとんど魔力消費も無かった。 

 

「スゲー、里の結界を破るモンスターを倒すなんて!」


「勇者つえー」


 石を投げていたガキ共も感心した様子。


「うむ、勇者よ、コカトリスをよくぞ倒した。啓示に従い、世界樹の裏道を教えようぞ」


 オーラフが出てきて次のルートを教えてくれた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「これが世界樹の水脈か…」


 今は多分、世界樹の根本の(そば)のはずだが、世界樹があまりに大きく、そして俺達がそこに近づきすぎている為か、タダの洞窟にしか見えない。

 その洞窟の奥深くに、地下水が流れていた。


 エルフの長老オーラフが教えてくれた、世界樹の裏道、ショートカットだ。

 だいたい、千五百層以上あるようなダンジョン、いちいち階段を上がって行けるかっての。


「これが箱船やね」


 洞窟には木造の船が置いて有り、これを使って移動する。ミネアがさっそく状態を確認し、指でオーケーの合図を出した。


「じゃ、乗り込むわよ」


 リサが指示して、全員が乗り込み、続いてウォーターウォールとフロートの呪文。

 ライトの呪文は洞窟に入った時点で唱えているので、明かりは大丈夫だ。

 オーラフの話では溺れることは無いとのことだったが、念のため人魚(マーメイド)の呪文も唱えておく。


「ニャ、変な感じニャ」


 リムが言うが、エレベーターで上がるときの重力の感じだな。


「ユーイチ、もっと飛ばして」


 ティーナが急かすが。


「いやいや、ちゃんとスピードは上げていくから、俺に任せておけ」


「日が暮れる前には頂上に行きたいんだけど?」


 リサも言うが、別に一日で行かなくても良いだろうに。

 ただ、みんなも箱船でじっとしているのも退屈だろうし、俺はスピードを徐々に上げていく。


「ミオ、何か来たら、すぐに言えよ」


「ん、問題無い。上方五キロに敵影、障害物無し」


 探知の呪文で探っておかないと、スピードが出てきたら目視じゃとても間に合わないからな。


「じゃ、飛ばすぞ」


「ええ」


 ぐぐっとさらに加速する。

 俺は高山病が心配だったのだが、オーラフの話では世界樹の魔力のためか、急速に上がってもそう言う病気にはならないという。




「ん、あと二キロ」


「むっ、減速!」


 少し急ブレーキになったので体が浮きそうになったが、束縛(バインド)の呪文をクロが唱えて事なきを得た。


「外や!」


 光が一気に差し込んで目がくらんだが、すぐに回復した。

 フロートの呪文でゆっくり地面に着地。


「ここが、世界樹の上か…あっ! ほんまや。見てみ、雲が下の方にあるで」


 ミネアが指差した方向を見ると、木の枝の向こう、下側に(・・・)白い雲が広がっているのが見えた。

 雲海ってヤツだな。


 上は巨大な枝が伸びており、だが、ここは日が当たる場所のようで、閉塞感は無い。

 他は澄み切った青い空が広がっている。


「じゃ、行きましょう」


 船はそのまま置いて行く。下に降りるときにまた使うからな。




「わあ、普通に街があるのね」


 ティーナが感動したように言うが、これだけ大きい木なら、街も作れるだろう。

 井戸があったが、水が出るなら普通に生活も出来そうだ。畑も広がっており、本当にここが木の上なのか分からなくなりそうだ。


 ここにもエルフ達がいて、だが、麓の村のエルフと違い、特に俺達を見ても反応しない。


「なんでかしらね?」


 ティーナが首を傾げる。


「しきたりが違うんでしょ。ほら、ユーイチも女の子を探してないで、長老のところへ行くわよ」


「くっ、分かったよ」


 リサが言うので俺も諦めてこの街の長老の家へと向かう。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 俺達は街の人に長老の居場所を教えてもらったが、ここアルヴヘイムの街では若い町長がその任に就いているらしい。

 すわ美少女かと色めき立った俺だったが、残念ながら、男だそうだ。チッ。


「やあ、お待たせしました。私がここの町長のハーヴェイです」


 短く髪を切ったハーヴェイは確かに耳は尖っているのだが、その服装が柄物のせいか、エルフという感じがしない。


「お忙しいところ、すみません。このパーティーのリーダー、ティーナです」


「いえいえ、ここは平和な街ですからね、特に忙しくも無いですよ」


「モンスターは来ないの?」


 リサが聞く。


「ああ、フレスベルグやら、ワイバーンもたまに来ますがね。ここの住人もレベルは高いですから」


 フレスベルグはおっかない感じだが、町長の話しぶりだと彼らの脅威では無いのだろう。


「そうですか。じゃ、さっそく本題に入らせてもらいますけど、女神ミルスの啓示は受けられましたか?」


 ティーナが問う。


「ええ、私では無く、巫女のお婆ちゃんですが、安心して下さい。すでにモノは揃えてあります」


「助かります」


 ここでも玉手箱のような物を受け取った。中を確認したが、アース・クリスタルと、ウインド・クリスタル。

 これで地風火水の四元素のうち、三つのクリスタルが揃ったことになる。

 最後の一個は、多分、火山だろうなぁ。


「他に協力が必要なことがあれば何でも言って下さい。できる限りのことはしますよ」


 実に協力的で助かる。オーラフが非協力的だったが、アレはエルフ云々より、田舎か都会、個人の資質によるところが大きいかもな。


「あ、じゃあ、世界樹の葉っぱ、もらっていっても?」


 俺は言う。某ゲームでは生き返る復活のアイテムだからな。持つだけで安心感が違う。


「ええ、あんなモノ、そこら中に落ちてますから、欲しいなら好きなだけどうぞ」


 この世界では、大して貴重でも無いらしい。生き返る効果も無さそうだ。

 ま、万能薬には使えそうな材料だし、もらっておくことにする。


「世界樹の木を切っていくというのは…さすがにマズいですよね?」


 俺はおずおずと聞く。


「いや、平気ですよ。これだけ大きな木なんですから、少々切ったくらいじゃ枯れませんし。ここの街の建材も、全て世界樹から切り出したモノです」


 あっけらかんと。オーラフあたりが聞いたら、怒りそうな感じだが、ま、実際、これだけデカいなら、切ったところで問題があるとも思えない。

 

「じゃ、いくらかもらって行きます。あ、火の使用はダメとか…」


「いえ、使って構いませんよ。水は豊富に地下水が出ますし、火を使わないとパンが焼けません。はは」


 世界樹の木の上の生活も、地上と変わりないようだ。


 ただ、さすがにこの街では宿屋は無いそうで、訪れる旅人も裏道を知っているエルフがほとんどだそうだ。

 町長が用意してくれた空き家に泊まることとして、俺達は街の店を覗いてみる。


「うーん、品揃えはイマイチね」


 ティーナが店を出た後で言うが、まあ、そうだろうな。

 他の街との交易がほとんど無いだろうから、品物も限られる。

 ただ、この街のエルフの職人達も頑張っているようで、ヒューズやルドラの街よりはずっと数が多かった。


「見つけた。向こうだ」


 俺は探知(ディテクト)の呪文を使って街を探索していたが、反応があった。

 条件は『女神ミルスの啓示を受けた者』。この街には町長の他にまだもう一人、俺達が会うべき人物がいる。

 皆でそちらに向かう。


「こんにちは」


 ティーナが挨拶して家の中に入る。一階部分はガレージのような感じになっていて、開け放たれている。

 作りかけの椅子やタンスなどの木工品が有り、ここは木工細工職人の家らしい。


「ああ、何かうちに用かい? んん? アンタ達、へえ、珍しいな、人族か」


 ベレー帽をかぶった中学生くらいの少年が二階から降りてきたが、なるほど、この街では人族が滅多に来ないため、来るとは誰も予想していないから、俺達にも気づいておらず、それで街の人の反応が薄かったか。

 だが、下のエルフの街と違って、蛮族だのなんだのと敵視する様子も無い。


「ええ。ところで、つかぬ事を聞いてみるんだけど、女神ミルスの啓示を受けた人がこの近くにいたりしない?」


 ティーナが話を向ける。


「あっ! ひょっとして、アンタ達が勇者ってヤツか!」


 この反応だと、本人っぽいな。


「そうだ。君は何を聞いたんだ?」


 俺が頷いて聞く。


「ああ、じゃ、上に来てくれ。そこで話すよ」


 少年が言うので俺達も二階に上がらせてもらう。

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