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異世界の闇軍師  作者: まさな
第九章 料理の魔術士

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第十二話 チーズを仕込む

2016/11/24 若干修正。

 レベル46のビッグボアをエリカが一撃でデスった。


 むむ。デスって自分よりレベルが高い奴でも仕留められるの?

 自分よりレベルが低い相手じゃないとダメなのかと思ってた。


 となると…ハッ!

 これは即死無効の呪文、早めに開発した方が良さそうです…。レベルは俺の方がエリカよりリードしてたのに。


「なんだ、大したモンスターじゃなかったな! 俺らにかかれば楽勝じゃねえか」


 陽気なネルロだが、あんまり油断はしないで欲しい。君は今、村人A、ただのモブキャラだよ?


「そう言うアンタはなーんにもしてないじゃん」


 ベリルがツッコミを入れるが、お前も今回の計画には呼んでねえよ。木こりと男衆だけで良かったのに。

 この好奇心が身を滅ぼさねば良いが。


「ん、ユーイチ、確認。アレは強いモンスターではない?」

 

 ミオが俺の前に立ち、割と強い口調で聞いてきた。


「いや、強いが、おかしいな。あのジーナ大ババ様が、警告も無しというのは…おい、誰か、大ババ様に確認を取ってきてくれるか、大至急だ」


 この手の疑問点は早めに解消しておくべきだ。


「自分が行きます!」


 兵士の一人が手を挙げてくれ、馬に乗って戻って行く。


「どうせ呆けて忘れてたか、ちょっと驚かそうと思ったんじゃねえのか」


 ネルロが言うが、うっかりはともかく、あのレベルで驚かそうって事は無いはずだ。

 下手したら死人が出てたぞ。


「アンタじゃ無いんだから」


 ベリルがジト目で言う。


「被害は無いわね。よし、じゃあ、出発しましょうか」


 などとティーナが言い出すし。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。あんなモンスターがいたのに、まだ行く気か」


「ユーイチ…アレがまた出てきても、あなたのスリップの呪文と、エリカのデスの呪文で行けるでしょ?」


「むう、しかし、デスは上級呪文、回数が限られるぞ」


「スリップは大量に使えるのね?」


「ぬっ、むむ…40回くらいが限度だ」


「充分よ」


「ニャー、いつも思うけど、ユーイチは心配しすぎニャ」


「うるさいな、お前が脳天気すぎるんだ、リム」


「ニャッハッハッ、それほどでも無いニャ。照れるニャ」


 だから褒めてねえっての。もうほっとこう。


 しかも、俺の忠告というか懸念はスルーされてしまったようで、森を進んでいるご一行。

 くっ。この場で置いてけぼりは怖いので、慌てて付いていく。



「こ、この先に白い化け物がいます!」


 少し歩いたところで、斥候の兵士が血相を変えて戻って来た。


「む。大きさと数は?」


 ティーナが聞き返す。


「はっ! 数は多数。大きさは、横幅一メートル、直径三十センチくらいかと」


「ふうん? 今度は小さいわね」


「もう帰ろうよー」


 どんなモンスターがいるのか、それを想像するだけで怖い。

 しかも白いって。多数ってのがこれまた。


「敵を分析(アナライズ)したらね」


「俺はパス」


「もう。じゃ、魔法チームの他の子にやってもらうわ。ミオ、お願いできるかな?」


「ん、師匠の不始末は弟子の仕事。問題無い」


「あなたが師匠を張ってる方が、ううん、二人とも同格だと思うけど」


「ん、呪文はまだ私の方が上だけど、魔道器その他の発明では足下にも及ばない。本物の天才」


 そこまでおだてられると、照れくさいが、元世界の知識を活かしたカンニングだからなあ。


「そう。まあ色々、作ってくれてるし、ええ、そこは配慮してあげましょうか。ユーイチは村人と一緒に、ここで待機」


「ええ? 俺はティーナと一緒がいいよ。村人は盾にならんし」


「もう、身も蓋も無いわね」


「ちょっとぉ、あたし達を守るのが村長の務めでしょ!」


 ベリルが言うが、戦闘区域にのこのこ自分から入って来るような奴は守り切れんわ!


「では、我らが」


 下級騎士Aが申し出る。さっきのビッグボアなんかが出てくると力不足だが、他のモンスターなら余裕だろう。


「そうね。じゃ、何かあったら、連絡を寄越して。村人と護衛はここで待機とします。戦闘チームはこの先のモンスターを解析しておくわよ」


 ティーナがそう言うが。


「戦わないんだな?」


 大事な確認。


「レベルが高かったらね」


「じゃ、数が多いんだ。45より上なら作戦中止だぞ」


「む。戦わないけど、別の場所で伐採はできるでしょ?」


「木を切り倒すんだ。時間も掛かるし、音だって響く」


「む」


「ああ、そうやな。でも、音の方は心配いらんと思うよ? さっきのビッグボアとの戦いで反応せんっちゅうことは、耳聡いアクティブではなさそうやし」


 ミネアが的確だが余計な事を言ってくれる。

 早くこの森、出たいのに。


「そうね。じゃ、行くわよ」


 領主はティーナなので、決定したらこれ以上は逆らえない。

 兵士の目の無い所では強く出ても良いが、軍隊や組織がなあなあになるとまずいだろうし。

 規律が大事だ。

 ただでさえネルロとベリルに手を焼かされているので、忠義の在り方を模範として示さねば。


「了解」


「ユーイチってさ、ごねるけど、最後は言うこと聞くよねー」


 とベリル。


「ああ、聞くな、ハハ。チョロい奴だ」


 とネルロ。


 おのれ…ゴゴゴゴゴ!




「いるわね。それも、かなり」


 リサが押し殺した声で言う。ウウッ! 多いのかよ……。


「んー、芋虫? それ系やね」


 ミネアも言うが、良くここから区別が付くなあ。俺には何にも見えん。木と草しかない。


「芋虫なら、足は遅いわよね?」


「いや、ティーナ、決めつけは止めた方が良いぞ。虫は動きの速い奴もいるからな」


 レーネが怖いこと、言ってくれちゃうし。


「よ、よし、バリアを唱えておこう」


 まだビッグボアとの戦いのバリアは消えていないのだが、更新しておく。


「まあいいけど」


 ティーナが含む言い方をするが、いざ戦闘中に切れて、それが生死の分かれ目だったら、悔やんでも悔やみきれないっての。


 さらに慎重に歩き、ようやく、俺の肉眼でもモンスターが確認できた。芋虫があちこちにいる。真っ白の。


「うえ、なんかヤバそうだわ…」


 もうね、色がおかしい。


「ユーイチはいっつもそれなんだから」


 ティーナがそう言うけど、俺はノーマルゴブリン一匹とかノーマルスライム一匹の時は黙ってるぞ。


「ミオ、ここからでも分析(アナライズ)できる?」


「ん、多分可能。やってみる」


 

 ビッグシルクワーム Lv 1 HP 14/14


【弱点】 地、風、炎、水、氷、雷、闇、毒、

     窒息、物理、石化、麻痺、即死

【耐性】 特になし

【状態】 通常

【解説】 大きな蚕。

     性格は極めて大人しい。

     力が無く、攻撃力は皆無。

     糸を吐くが、粘着性は無い。

     動きは遅い。



 うお、やべえ! 無敵か?!


 と一瞬ぞっとしたが、耐性と弱点を見間違えたわ。


 何この弱さ。

 普通、魔法に弱かったら、物理には強いとか、相反の属性に偏るのが普通だと思うんだけど。

 スライムより弱いんじゃねーの?



「あっ! これって…」


「ティーナ、何か知ってるのか?」


「うん、シルクワームの方だけどね。ほら、名前の通り、絹を作るのよ」


「ああ」


 それは俺も知ってるな。


「む。だとすると、これで絹の服が作れるんじゃないの?」


 リサが言う。


「おお。作れるかな。作れたら、ロフォールの特産品になると思うが」


 絹の服は、他の服と比べると高いからな。服一着で500ゴールドと百倍くらい違うし。


 さっそく、何匹か捕まえて飼育してみることにした。ロドルの荷台に載せておく。エサの葉っぱを一緒に置いていると逃げようともしないのでくくる必要も無さそうだ。

 糸を吐いていたが、太さの直径は0.1ミリくらいか。元世界の蚕の吐く糸の太さを知らないので、どんな具合かは分からないが。

 だが、やたら丈夫で、引っ張ったくらいでは切れない。


 良い物見つけちゃったね。




「お、この木がちょうど良いな。乾いてる」


 当初の目的、風車用の歯車のための木材伐採も、倒れた大木を見つけ、それを輪切りに切り落とすことにした。

 ノコギリでは途中で引けなくなるので、魔術チームのウインドカッターの出番。


「少しくらい荒くても、後でなんとかするから、適当で良いぞ」


 と、大工のヴァネッサが言うが、なるべく、手作業は減らしておきたい。時間が掛かっちゃうし。


 二枚ほど切り落としたところで魔術チームのMPが尽きたので、数日に分けて実行。

 幸い、ビッグボアは出てこなかった。

 ジーナ大ババ様もそんな主がいるとは知らなかったそうだ。ま、あそこに縄張りを張って繁殖してないなら問題無い。

 伐採さえ終われば二度と行かないもんね。


 伐採計画が終わり、あとはヴァネッサが頑張るだけとなったので、風車作りは彼女に任せて俺はチーズ作りに入る。

 絹糸の方は捕まえてきた大蚕に葉のエサをやり、後は糸をモーターで巻くだけ。

 機織り器は複雑過ぎて俺には無理っぽい。織物職人やその関係者に知恵を貸してもらわないと進まない。

 それでも巻いた絹糸は高く売れたので、ロフォールの特産が生まれた。



「ぬう、失敗か…」


 分析(アナライズ)を使って、寝かせておいたチーズもどきを見てみたが、腐った牛乳と出てしまった。

 匂いも嗅いでみるが、うん、これはダメなヤツだ。

 匂いを嗅いだ瞬間に、オエッと来た。


 原因を考えてみよう。

 発酵と腐敗は紙一重で、人間に有用であれば発酵、有害であれば腐敗と呼ぶ、そんな話を本で読んだことがある。

 菌には種類がある。

 やはり、雑菌にただ任せていたら、ダメなようだ。


 そして、こちらが本命の、チーズをタネに作ったチーズ。

 酵素か乳酸菌か知らないが、本物のナチュラルチーズには存在しているはずだから、それをひとかけら混ぜて寝かせてある。 


 そしてそのやり方で、ヨーグルトをタネに作ったヨーグルトも同時進行中だ。

 正直に言おう。

 チーズとヨーグルトの違いが俺には分かって無い。

 だが、塩味がする方がチーズで、酸っぱいのがヨーグルトだよね?

 え? 違う?


 出来たのがそれらしい物になれば、もうそれでいいから。


 結果は、ヨーグルトの方は成功したが、チーズの方は、どろっとしたチーズ? が出来てしまった。

 アナライザーさんが?を付けている。


 味も、一応塩味を利かせてみましたという感じでチーズ独特のまろやかさが無い。


 仕方ない、クラウス料理長にまた教わろう。

ヨーグルトは乳を発酵

チーズは水分を抜いた固形分を発酵

と言うことらしいです。

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