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異世界の闇軍師  作者: まさな
第八章 村長だべさ

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第十一話 予想外の対応に困惑する村長

2016/11/22 若干修正。

 収穫祭を明日に控え、俺は飾り付けはしない方針だったのだが、領主様が、


「派手にやるわよ!」


 と、張り切ってしまい、


「話が違うじゃねーか」


 と下からは突き上げを食らい、中間管理職は辛いのね。気ままな冒険者の方が……いやいや、危険は嫌だし。痛いのも嫌だし。


「ティーナ、派手にって、具体的にどう言う飾り付けにすればいいんだ?」


 一方の村でブラジルサンバをやって、別の村では神輿でワッショイなんてやってたら、同じ祭りに見えないだろうし。

 ま、別にそれぞれの村で特色が有ってもいいか。


「それは各村の自由としましょう。兵士を視察に回すから、評判の良いのを来年度から全ての町や村で採用します」


 うーん、凄くまともな経営手腕だと思うが、面倒臭いなー。

 ま、俺も下に丸投げしてみるか。


「と、言うわけで、収穫祭の飾りやイベントのアイディアを上げて欲しい。何でも良いぞ」


 セルン村の村人を集めて言う。


「いきなりそんな事言われてもな。お前が考えろよ。村長だろ」


 ネルロ…。くそ。俺もティーナにそう言ってやれば良かったぜ。


「イベントってなんだべや?」


「さあ? アイディアもわかんねえべ」


 む、しまったな。識字率も低いであろう村人達に、カタカナ用語や和製英語や難しい言葉を使っても意地悪なだけだし。 

 説明は相手が分からなきゃ、する意味が無い。


「すみません、説明が悪かったですね。イベントとは、催し、祭りで特別にやる出し物みたいなもんです。アイディアとは、ここでは考えや計画、思いついたことは何でも良いですから、言ってみて下さい」


「はいはいはーい」


 元気そうな茶髪の子が手を挙げる。歳は俺と同じくらいで、髪の毛には花飾りと、なんかこの村に似つかわしくない、おしゃれな子。


「はい、そこの方」


「えっとぉー、おっきなドラゴンの張りぼてを作って、それを男衆が担いで練り歩いたらどうかな!」


 む、この地方ではそんな神輿や山車みたいな風習がすでにあるのかな?


「はあ? 何でドラゴンなんだよ」


 ネルロが聞き返すが、この地方にそんな風習は無いようだ。


「いーじゃん、強そうだし。派手だし、あと、口からばーっと火を吹いてさ」


「出来るわけ無いだろ、アホ。お前は黙ってろ、ベリル」


「む。アホのネルロだけには言われたくありませんー」


 中学生、いや、小学生の学級会かよ。


「はい、静かに。村人同士、仲良くして下さいね。ネルロ君、他の人の考えをすぐにバカにしたりしてはいけませんよ。炎なら魔法使いが出すこともできますしね」


「そうよ、ネルロ君。反省しなさい」


「うっせ」


「それから、ベリルさんの考えはとても派手で良いと思いますが、準備期間が今日一日しかありません。その辺を踏まえてもらえるとありがたいです。ネルロ君もその辺を心配しての指摘ですよね?」


「お、おう。そうだ、今日中に出来ねえとダメだろ」


「む。絶対、今、そんな事考えてなかったでしょ」


「はい、仲が良くて結構ですが、喧嘩はほどほどに」


「いや、仲良くねえよ!」

「そうよ!」


「他の人、何かありませんか」


「そう言われてもなあ。今日中に出来ることってなんかあるべか?」


「村長、踊りをやったらどうですか」


 おっかさん風の女性が言う。


「ハイ! 採用! 素晴らしい考えです。それなら、手間を掛けずに催しができますね!」


「踊りって、どんなのやるんだよ。俺は踊れねえぞ」


 ネルロが嫌そうに言う。


「いや、適当で良いよ、こう、両手を左右に振って、よいさ、よいさ、でもいいし、各自、好きに踊って構いません」


 揃える練習時間なんて無いしな。時間があればスリラーやらブレイクダンスのくるくる回るのやら、ハルヒのエンディングをやっても良いかもしれないが。


「いい加減だなあ」


 うるせえよ、ネルロ。文句言うなら、お前がビシッとしたアイディアを出せと。


「あ、あの」


「おし、クロ、いいぞ。カモン」


「は、はい、踊りをやるなら、衣装を派手にしてみたら…花で頭の冠とか、それくらいならすぐに出来るかと」


「ハイ! 採用! 花の冠、いいね! 素晴らしい考えだ。他に意見のある人!」


 こういうのは勢いが大切だからな。ブレインストーミングというヤツだ。


「んじゃ、オラは楽器をやるだよ。木の棒を打ち鳴らせば、少しはそれっぽくなるべ」


「ハイ! 採用! 楽器もいいですね! 簡単でとても良いです!」


「あ、はいはいはーい、じゃ、あたし、お腹出してダンサーやる! こうくねくねすんの」


 似合いそうだな。若い子だし。


「む」


 ネルロもピクッと反応したが反対はしない。


「ハイ! 採用! じゃ、ベリルさんにはちょっとそれっぽい服を後で買いに行きましょう」


「やった! もちろん、後で私の物にしてくれるわよね! 村長」


「お、おう、あんまり高くないヤツね」


 他の村人と公平にしなきゃいけないしな。


「あら、いいじゃない。じゃ、私も踊るさね」


 くそっ、小太りのおばはんがその気になってしまった。

 全力で却下したいところだが、女性陣が盛り上がってきたのに水を差すわけにも行くまい。


「ハイ! 採用! 他に踊りたい方がいれば、後で服を買いに行きましょう。費用は私が持ちます」


「あんれま、じゃあ、アタシも踊るかねえ」


「仕方ないの、ここは昔取った杵柄、ワシの出番かの」


「お、おい、ババアはすっっこんでろよ! 目が腐るだろ!」


「ちょっと、ネルロ、失礼よ!」


「まったくだね、この子は昔から口が悪いんだから」


「はい、ネルロ君、悪口は止めて下さいね」


「いや、ホントのことだろ…くそ」


 男性陣から不機嫌な視線を受けてしまっているが、ベリルのおへそが見れるんだから、それで我慢してくれ。

 俺も不本意なんだ。そこは表情で察しろ。

 大丈夫、お婆さんの衣装は露出させないヤツを買うから。


 ついでだから、キャンプファイヤー形式にして、男衆に焚き火の枝を集めてもらうことにした。柵を作る時に大量に枝が余ったから、あれで行けるだろう。そんなに大きな本格的なのにするわけじゃ無い。


「じゃ、踊り子の衣装を着たい人は、私に付いて街まで買い物に行きましょう。その他の女性陣は、花の首輪や冠を作っておいて下さい。男衆は焚き火の準備をお願いします。では解散!」


 踊り子の衣装希望は、七人がやってきた。大半はおばはんだ。まあ、村の人口構成からして、美少女で揃えるなんて土台無理だし。


「あ、村長、もう一人、連れてくるから、待っててくれる?」


 ベリルが言う。


「ああ、いいけど、早めに頼むぞ。みんな待たせてるから」


「うん、すぐ連れて来る!」


 待つ。


「青色がいいかねえ?」


「白がいいべ」


「赤もいいんじゃないかねえ」


 他の踊り子希望は、衣装の色について盛り上がっていて、まあ、楽しそうで何よりだ。俺は退屈だけど。

 クロのを買ってやろうと思ったのだが、クロは他の女性陣と花を摘みに行ってしまっている。無念…。


「お待たせ。じゃあ、行きましょ!」


「ん、おう」


 ベリルが引っ張って連れてきたのは水色の髪の美少女エルだった。この子、大人しそうな感じだけど、同意してるのかね。まあ、いいか。嫌がってる感じじゃ無いし。


「本当に服を買いに行くんですか?」


 エルが他の女性に確認している。


「んだべ」


「良い服を買ってくれるべよ。ねえ、村長」


「あんまり高くないヤツでね」


「分かってる分かってる。でも、色気のあるヤツがいいべ」


「あんれ、いいだか? おっとうが怒るべ」


「あんなの怒らせとけばいいべ」


「「あははははは」」


 おっかさんパワー、苦手だ…。あ、そうだ。


「ケイン、お金を渡すから、お前、行ってきてくれる?」


「ええ? それは無いですよ、ユーイチ様。自分にはこの任務は厳しい気がします…」


 ケインも不安げな顔だ。


「ダメダメ、村長に選んでもらわないと」


「そうそう、若い男が選ぶもんだべ」


 ええ? 俺のチョイスなの? それはキツイです…。


「ええー? アタシは自分で選ぶけど、いいよね!」


 ベリルは自分で選びたいらしい。それが普通だよな。


「もちろん」


「良かった。エルのもアタシが選んであげるからね」


「あ、うん…」


 いいのか、エルちゃん。ベリルに任せたら、きっと凄いの着せられると思うよ?


 歩きなので、二時間も掛けて街にやってきた。道中、女性陣が姦しくて疲れた。

 エルだけはもの静かで、たまにネルロとの仲はどうなんだとおばさん軍団にからかわれていた。

 ベリルがマネージャーよろしくガードしてキッパリ全面否定していたけど。


「じゃ、服屋は向こうです…」


 こちらも疲れた顔のケインが言う。

 だが、ケインよ、ここからが本番だぞ!


「えっ! ヘソ出し?」


「そーよ、決まってるじゃない」


 なるほど、エルが大人しく付いて来たのは、ヘソ出しの件を伝えてなかったか。


「わ、私、そう言う服はちょっと…」


「似合うって! もうエルも大人なんだし、お祭りだよ? 一年に一度しか着れないんだよ!」


 ベリルが積極的にプッシュ。


「ええ? でも…」


「せっかく村長が買ってくれるって言うんだし」


「そーよ、エルちゃん、タダなんだから、もらっておきなさい」


 おばさんも勧める。

 困っているようなら、俺が助け船を出そうと思ったのだが、ベリルが耳打ちして彼女も覚悟を決めたようだった。

 まあ、本当に嫌なら着ないよな。

 俺の方をチラチラ心配そうに見てるのが気になったけど。


 あと、お婆さんが何を買ったのか、怖くて聞けませんでした。

 いかんな…防波堤になるつもりでやってきたのに。


 姦しい軍団を引き連れて村に帰ったとき、見慣れたドワーフの女の子が駆け寄ってきた。


「ユーイチ!」


「えっ? ミミ? なんでここに」


「うん、ノコギリ、頼んだでしょ。数が多いからすぐには無理だけど、アタシが来たからにはもう大丈夫!」


 いや、何がどう大丈夫なんでしょう?

 てか、まさかダルクもこっちに来てるの?

 こっちの街にまともな鍛冶屋の設備、あるんだろうか?

 俺はノコギリを発注できるかどうかを手紙で聞いたけど、来てくれとは頼んでないから。


 ミミの後ろには困った顔の兵士。なんだかイヤーな予感がするんだ…。

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