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異世界の闇軍師  作者: まさな
第八章 村長だべさ

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第九話 祭壇を作る村長

2016/11/22 若干修正。

 夕食の時、ミオに話を通して、ゴーレムの魔法陣の材料を分けてもらった。石灰と黒ヤモリなので、街に自分で買いに行くか、探知の呪文で探せば良いのだが、面倒臭いし。ミオもゴーレム大量生産計画を練っているようで、大量に材料を仕入れていた。


「さて…」


 翌日、セルン村に向かい、祭壇建設予定地の近くでゴーレムの魔法陣を自分で描く。

 呼び出すレベルはMAXの37レベル。魔石は持っていなかったので、レーネにそのレベルの魔石を譲ってもらった。


 色々、呪文をアレンジして格好良く呼び出したいところだが、魔石もこのクラスは貴重なので、ミオ師匠に教わった通りに呪文を唱える。


出でよ(サモン)!、ゴーレム!」


 ………がーん。

 何も起きない。

 俺の血じゃ、ダメみたいね。

 

「では、私の血を」


 クレアも待機しててくれたので、ま、こうなるか。


「いえ、ユーイチ様、私の血を使って下さい」


 クロが言うが。


「いや、クロ、クレアがもうやってくれるって言ってるし」


「でも…」


 俺の役に立ちたいのだろうが、そこまで頑張らなくても、充分やってくれてると思うんだけどね?


「では、クロさんの血を使いましょうか」


 クレアがそう言うので、頷く。


「では」


 クロが魔法陣の近くに寄って、ウインドカッターを指の腹に自分で当てて、血を流す。すぐにクレアが治癒の魔法で回復してくれた。


 よし、準備は整った。改めて。


出でよ(サモン)!、ゴーレム!」


「GHAAAAA!」


 えっ、ちょっ! ぼ、暴走?


「く、クロ、離れてろ!」


「いえ、私も戦います!」


 いやいやいや、前衛が今いないんだし。

 三人に緊張が走ったが、咆哮したゴーレムは、動かない。


「…む。大丈夫か。右手上げて。左手上げて。右手下ろして、左手下ろさない。おお」


 きちんと命令も聞いた。


「ああ、良かった。成功ですね」


「成功だが、なぜに咆えた…。強いレベルになるとああなるのか?」


 もっとミオに詳しく聞いておけば良かった。心臓に悪い。今回はかなりの力が必要なので仕方なかったが、無駄に高レベルのゴーレムを作るのは止めておこう。

 あと、ミオが作っていたゴーレムとは形がちょっと違う。俺の意識が反映されたのか、流線型の近未来的なフォルム。硬そうなので、指でつついてみたが、コンクリートのようにカチカチに固まっている。


 強そうだ。


「なんだか、格好良いですね」


「おお、分かるか、クロ」


「はい」


 じゃ、次だ。このゴーレムに土を掘らせても行けそうだが、時間が掛かりすぎるだろう。

 俺とクロでアースウォールの呪文を使い、土をどけていく。

 土を軟らかくしたり自在に動かしたり出来るこの呪文、役に立つなぁ。


「よし、もう良いだろう。行け、ゴーレム!」


 石を掘り起こせと念じて、命令を下す。


「GHAAAAA!」


 また咆えるし。一体では無理かと思ったが、自分と同じ大きさの大岩をボコォ! と両手で抜きやがった。

 凄い力だな。


「よーし、ゆっくり、上がってこい。オーライ、オーライ」


 岩を持たせたまま、穴から上がらせる。上手く行った。それを繰り返し、四つの大岩を全て掘り起こした。


「クロ、埋めておこう」


「あ、はい」


 大穴は、誰か落っこちたら危険だからな。

 アースウォールで埋めようとしたとき、クロが止めた。


「あの、ユーイチ様、待って下さい」


「ん? どうかしたか」


「はい。あの岩が、少し気になるのですが」


「んん? どれ?」


「あれです」


 クロが指差すが、小さな岩がいくつかあって、どれかよく分からん。


「ううむ」


「じゃ、拾ってきますね」


「あー、待て待て! 危ないし、探知の呪文でやるから」


 条件付けを『クロの気になるモノ』に限定して試してみる。


「あれか」


 すぐに分かった。


「はい」


「じゃ、ゴーレム」


「GHAAAAA!」


「いちいち咆えなくて良いんだが」


 はっきり言って、うるさい。


「GHA…」


 むっ? コイツ、意思があるのか?


 いや、まさかね。

 魔法生物で、低い知能はあるが、命令を理解する程度だ。


 …でも暴走したら怖いから、後で片付けておこう。


「なんか、卵みたいだな…」


 ゴーレムが掘り起こしてきた岩は、卵形の楕円の石だった。大きさは縦四十センチ、横幅は二十五センチと言ったところか。

 これが真っ白ですべすべなら、


 卵だ! 怖いから埋めて戻しておこう!


 と、なるんだが。

 あちこちヒビが入ってるし、でこぼこだし、まあ、タダの岩だな。


「そうですね! 暖めたら、何か、(かえ)ってきたりして」


「ええ?」


 クロは何か可愛らしいひよこでも想像しているのかも知れないが、俺の方は、良い予感が全然しない。だって、こんな深いところに埋まってるんだぜ?

 まあ、偶然、そんな形になった岩だろうけどね。河原の石と同じで、ぶつかって…いや、それだと、この辺の岩は全部、丸くなるんじゃ…?

 ………。

 恐竜の卵の化石とか、あれだな、クーボの卵の化石とかだろう。うん! 


「クレア様はどう思いますか?」


 クロが聞く。


「うふふ、さあ、私には分かりませんね。ですが、不思議な力を感じます。微かに、ですけど」


「あ、じゃあ、私、暖めてみます!」


「ダメ」


 言う。


「ええ? どうしてですか?」


「変なモノが孵ってきたら困るだろ。それに、これは卵じゃなくてもう化石だよ。石化してるから、死んでる」


「ああ…」


「もう、ユーイチさん、子供の夢を壊さないであげて下さい」


「いや、そう言われてもね…」


 今日からクロが毎晩、この石ころをベッドで抱きしめて楽しみにしているのを考えると、それはちょっと…と思うもの。


「クロ、どうせなら、クーボの卵、買ってやるから」


「ホントですか! わぁ! 私、クーボ、飼ってみたいです」


 この世界にいる二メートル近いひよこ(・・・)。あれなら、多分、大丈夫だろ。あんまり可愛くはないが、荷車を引かせるのにも役立つし。

 今度、街で売ってたら、買っておいてやろう。


「じゃ、穴を埋めるぞ」


「あ、はい」


 アースウォールでまた埋めて、ふう、一仕事、終わった。


「ここからだが…」


 岩をウインドカッターで削るのはおそらく不可能だ。一応、試してはみよう。


「風よ、刃となりて敵を切り裂け! ウインドカッター!」


 おう、やっぱり傷一つ付いてないね。


「ダメですね…」


「フフフ、だがしかし、俺には奥の手がある! 柔らかきは硬く、硬きは柔らかなり。石よ、我に従え、ストーンウォール!」


 ピラミッドの王が唱えていた古代魔法エンシェント・マジック

 密かに小石で練習して、熟練度を育てておりました。

 石を盛り上げるだけならそこまで難しくないが、祭壇の形に整形するとなると、熟練が必要になる。


「わあ」


 クロが喜ぶ顔が良いね。


「クレア、こんなもんでどうかな?」


「はい。そうですね…ここの紋様をもう少し、くっきりお願いできますか?」


「お、おう」


 注文、細かいな…。

 予め、どんな祭壇の形が良いのか、クレアに紙に書いてもらったり、説明はしてもらったのだが。


 もう一度、呪文を唱え、そこだけ整える。


「…はい! これで良いです」


 じゃ、後は残りのポイントまで、ゴーレムに運ばせるか。結構、遠いんだよね…。

 ポイントの近くで探して掘り返す方が早いかな? まあ、もう掘っちゃったし、面倒。


 四つの祭壇を作り終える頃には、日が暮れて、疲れ果ててしまった。


「では、結界の儀式はまた明日と言うことで」


「うん…」


 翌日、みんなや村の人間も集めて、少し、祭事っぽくする。


「ファルバスの神々よ、ここに謹んで願い奉り、聖なる土地ならんことを」


 クレアが長い祈りを捧げ、最後にその言葉を告げると、祭壇から暖かな白い光が出た気がした。


「皆様、ありがとうございました。これで、儀式は無事、終了です」


 振り返って笑顔を見せるクレア。


「ありがたや、ありがたや」


 村の老婆が熱心に手を合わせているが、信心深い人のために、神殿とか作るのもいいかもね。

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