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天使の急食。
その日、自分の給食を最速で食べ終えると花咲と手分けして、
芋虫が葉っぱを齧るようなスピードで食べているお兄ちゃんの給食を手伝う。
「お兄ちゃん、そのシチュー私食べるね」
「そ、それはまだ一口も食べてないよぉー」
「いったい、今まで何食べてたんだよ?」
「パンだよぉー」
「何で最初にパンから入んのよ!」
「だってぇ~」
「よし、俺がシチューパンにしてやる」
「ふぇ~ん。花咲君、パンくり抜かないでよぉ~」
「よし、そっちのおひたしも一緒に入れよう」
「ふぇ~」
「さぁお兄ちゃん食べて。十秒チャージで」
「ムリだよぉ~」
結局おひたしシチューパンを二口ほど齧ったところで、
お兄ちゃんには給食をあきらめてもらった。
教室を出るとき、
放置したお兄ちゃんの食べさしの給食の方を見ると、
それを囲むようにして男子達の本気ジャンケンが開催されていた。
――今日は死人が出るな。




