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悪魔の王子は戦隊レッドを守りたい  作者: ムネミツ
第四章:追加戦士加入編
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第27話 白いモフモフ、エティ入隊

 「結局、何者かの尻尾は掴めずだった」


 俺は報告書を書き終えて一休み。


 勇子ちゃんは本日の業務終了と言う事で、赤星家へと帰宅させた。


 「しかし、本当に神がかった力だな。 魔王印ブースト込みとはいえ」


 火炎能力者の一族だってのは知っているが、詳しく調べた方が良いな。


 勇子ちゃんには万が一でも、何かよからぬ事があってはならない。


 ゴートランド王家は愛の重い一族、愛は力だ。


 彼女がヒーローなら、俺はヒーローを守り助けるヒーローだ。


 ヒーローが人を救うなら、ヒーローを救うのは誰だ?


 その答えは、ヒーローに寄り添う人々や仲間だと万別だろう。


 俺の答えは、いわゆる二号ヒーローだ。


 ヒーローのピンチを救うと同時に、世界や人々も守る存在。


 チームのメンバーとも、弟子みたいなサイドキックとも違う存在。


 自分もメインを張りつつ、ヒーローに寄り添い共に轡を並べて戦うヒーロー。


 推しと同じステージに立つ為に、同じ事務所のアイドルになったアイドル?


 いや、この例えは何か近い気がするが違うかな?


 「う~ん、やはり一人で考えても混沌とするだけだな」


 一つの事を考えていても、ポンポン他の事が浮かび思考にノイズが発生する。


 下手な考え休むに似たりと言う奴だろうか、悩むのは止めよう。


 「書く物も書いたし、母屋へと戻るか」


 俺は大使館を出て、母屋の玄関を開けた。


 「お帰りなさいませ♪」

 「……誰?」


 玄関開けたら即、毛玉けだま


 魔界の王子でも驚くよそんな状況。


 メイド服着たガタイの良い白い毛玉を見て、イエティ族だと思い出す。


 「殿下、どうなされました?」

 「人間に化けられる?」

 「ああ、そうでした! 変化します!」


 俺の燃えの前で、毛玉メイドが煙を上げて変化する。


 メイド服を着た毛むくじゃらのモンスターが、白髪褐色のちびっこ女子になった。


 「は、初めまして! 自分は、イエティ族のエティ少尉であります♪」

 「うん、簡潔に説明してくれ少尉」

 「はっ! 自分は本日付で特殊遊撃救命近衛部隊に配属となりました!」

 「誰の命令?」

 「はっ、女王陛下直々の命令であります!」

 「わかった、宜しく頼む!」

 「サー、イエッサー♪」


 俺の前で敬礼するエティ少尉、聞いてねえけど受け入れるしかねえ。


 俺は突如増えた追加メンバーに驚きつつ、家に上がる。


 「自分はメイドとしての研修も受けておりますので、家事もお任せを♪」


 料理の配膳をしてから自分も食卓に着くエティ。


 ザーマスやガンス達は、今日は魔界で食うらしい。


 「本当に、少尉さんが来てくれて助かるわあ♪」 

 「最初は驚いたが、すぐ馴染んだわい♪」

 「いや、祖父ちゃん達は魔族に馴れ過ぎだよ」

 「山羊原家の方々の護衛やアシストも、自分の任務でありますから♪」


 エティは微笑みながら語り、丼飯を五杯ほど平らげた。


 確かにイエティ族は、攻防一体の強さを持つ護衛向きの種族だ。


 今回倒したフロストジャイアントに標的にされていたが、決して弱くはない。


 新しい仲間に俺は期待を寄せた。


 「モフモフね♪」

 「毛には自信があります、村一番の美少女です♪」

 「でも、人間になると小さいのよね」

 「潜入任務が可能であります!」


 翌日、大使館の居間でエティと皆の顔合わせ。


 勇子ちゃんは、魔族形態のエティに抱き着いて楽しんでいた。


 モフモフと戯れる勇子ちゃんも可愛いぜ。


 「チビッ子仲間が増えたのだ♪」


 エティと同じく人間態が小柄なフンガーが喜ぶ。


 「よっしゃ、エティには母屋の家事を任せやしょう♪」


 家事能力が高い後輩が来て喜ぶガンス。


 「私もガンスに賛成です、殿下♪」


 ザーマスも家事の負担が減って喜ぶ。


 「平時はそれで異存なしですが、巨大戦ではどうしましょう?」

 「担当機体ができるまでは、リュウギョオーのサブパイロットを務めて貰おう」

 「はい、操縦訓練も受けております♪」


 ギョリンとのやり取りで、エティの戦闘での大まかな立ち位置も決まった。


 「じゃあ、エティにマカイチェンジャーの支給なのだ♪」

 「はっ! ありがとうございます♪」


 フンガーがエティに、変身ブレスレットのマカイチェンジャーを渡す。


 「エティ少尉、今日から君はマカイホワイトだ♪」

 「はっ! エティ・フット少尉、拝命いたします! マカイチェンジ!」


 俺の前で敬礼してから変身するエティ。


 彼女が人から魔族の姿に変わり、変化後の体の上を白いスーツとマスクが覆う。


 寸胴体型で手足が太い巨体の白い戦士、マカイホワイトの初変身だ。


 こうして、七人目のマカイジャーが誕生した。


 「それじゃあ、私達も変身ね♪」

 「そうだね、ホワイトのお披露目をしないと♪」


 勇子ちゃんと俺は語り合い、全員がヒーロースーツ姿へと変身した。


 「イエロー先輩、お披露目とは一体どういう事でありますか?」

 「ああ、お前さんの顔見せでござんすよ♪」


 ホワイトが、兵学校の先輩でもあるイエローに尋ねる。


 「地域の皆さんに存在を認識してもらわないと、任務の妨げになりますからね」

 「なるほど、交流も兼ねているのでありますね♪」


 ブルーの説明で納得したホワイトの地頭の良さが光る。


 「守るべき人達を見て見られる、心身が引き締まりますよ」

 「はい、肝に銘じるであります!」


 シルバーの言葉に気を付けの姿勢になるホワイト、ドスンと室内が揺れる。


 俺達はホワイトの顔見せも兼ねて、全員で商店街のパトロールに出動した。


 「商店街の皆様、デーモンナイトと魔界勇者隊マカイジャーでございます♪」


 ブルーがマイクで商店街の皆さんにご挨拶をする。


 「おおっ! 何か白いのが増えてるぞ!」

 「お相撲さんみたいに大きいわねえ♪」

 「お~い、マカイジャー♪ 野菜買っていてくれ~♪」

 「家の店の肉も、ただいま三十円引きセール仲だよ~♪」

 「マカイジャー、今日は良いアジが入ったよ♪ 寄って来な♪」


 昼間の商店街、八百屋に肉屋に魚屋さんと街の人達が声をかけてくれる。


 「白いのはマカイホワイト、家の新人よ~♪」

 「白い勇者、マカイホワイトでありましゅっ!」


 ホワイトが緊張からか名乗り台詞を噛んでしまう。


 「おう、可愛い声してるなあお嬢ちゃんか? 頑張れよ♪」

 「ホワイトちゃん、街の平和を宜しくね~♪」


 商店を営む人達だけでなく、通行人も声をかけてくれた。


 「あ、ありがとうございます♪ マカイホワイト、がんばります!」


 照れつつも手を振り声援に応えるホワイト。


 自分達が守るべき人達の事を知り、相手にも自分達を知ってもらう。


 ホワイトには軍人ではなく、この街の人達に愛されるヒーローになって欲しい。


 そして、人間と言う種族に対して愛情を抱いて欲しい。


 愛し愛されての繋がりがヒーローを強くし、人と魔族を繋げる取っ掛かりになる。


 「皆さん、ありがとうであります~っ♪」


 感極まったホワイト、変身を解除して魔族としての素顔を見せてしまった。


 「きゃ~っ、可愛い~っ♪」

 「モフモフだ~っ♪」

 「アザラシみたいで可愛いぞ~♪」

 「モフらせて~♪」


 ホワイトの素顔、エティの姿に黄色い声援が上がり街の人達の一部が群がる。


 「はわわっ! 皆さん、くすぐったいであります~♪」


 街の人々にすり寄られたり撫でられるエティ、予想もしないハプニングであった。


 「……坊ちゃん、うちの新人が町の人達の人気を集めてやすね?」

 「まあ、モフモフで可愛いからな」

 「イエティ族が、人間の皆様に好かれる容姿だと見越した人事でしょうか?」

 「女王陛下ならあり得ますね」

 「うんうん、可愛いとモフモフは正義よね♪」


 人々に可愛がられるエティを見て、俺達は可愛いの力を見せつけられた。


 「先輩方に殿下、助けて欲しいであります~っ!」


 俺達に助けを求めるエティ。


 悪いが、俺達の好感度アップの為にしばらくモフられてもらおう。


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