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悪魔の王子は戦隊レッドを守りたい  作者: ムネミツ
第四章:追加戦士加入編
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第25話 二号ロボ、リュウギョオー登場

 無惨衆の一件が片付いてから数日後。


 俺と勇子ちゃんは、赤星家の居間で宿題をしていた。


 「進太郎、古文の方を手伝って?」

 「枕草子か、教科書より古典の漫画がおススメ」

 「平安貴族って、感性違うわね」

 「漫画読むのも良いけど、問題解こうぜ?」


 夏休みも残り半分、宿題はまだ少々残っていた。


 学校の宿題は、凶悪な怪人よりも手強かった。


 「二人共、そう言う所は変わらないねえ?」


 勇子ちゃんの祖母、居間の隅でほむらさんが微笑む。


 「だってよ、進太郎♪」

 「外見は変わるけど、魂は変わらないよ俺は」

 「変わらない物も大事にしないとね♪」


 勇子ちゃんが微笑む、その笑顔と魂は昔から変わらない。


 「なら勇子は、着付けとお茶を覚えないとね♪」

 「え~? 私、着物は苦手!」

 「稽古着は着れるのにね?」

 「稽古着は空手の奴だから楽じゃない!」

 「宿題が終わったら、進太郎君も交えてお茶会にしましょう♪」

 「ご馳走になります」


 ほむらさんが言う場合のお茶は、お抹茶を立てていただく茶道だ。


 「おばあちゃん、着物は胸がきついんだけど? 進太郎、どう?」

 「うん、夏が春に戻ったくらいに素敵すぎるよ♪」

 「あらあら、馬子にも衣裳ね♪」


 赤星家の茶室で、きちんと桃色の着物を着た勇子ちゃんは美しかった。


 ほむらさん、良い物を見せていただきありがとうございます。


 ほむらさんは、着付けの腕前も結構なお点前です。


 ボーイッシュな勇子ちゃんが、桜の妖精のような乙女に大変身だよ。


 恋人の家族とは仲良くしておくに限るぜ。


 「進太郎君は正座に慣れてるわね♪」

 「稽古に加えて、家の祖母に良く叱られてましたので」

 「香織ちゃん、変わらないわね♪」


 俺と勇子ちゃんは頑張って礼儀正しく、茶道方式でお茶を戴いた。


 「着物はやっぱ、面倒くさい! 着替える!」


 お茶会が終わると、すぐに自室へと着替えに言った勇子ちゃん。


 いや、魔界での研修の時に着替えの魔法教えたから使えば良いのに?


 ピンクのジャージにスパッツと、普段のラフな姿に戻っていた。


 「あの子ったら、着物の魅力がわかるようになるのはいつの事やら?」

 「勇子ちゃんその物が魅力の塊ですよ、生きた宝石です!」

 「あらあら、良い人を見つけたのねあの子♪」

 「進太郎、恥ずかしい事言うな! お祖母ちゃんも!」


 いや~、勇子ちゃんの喜怒哀楽は全てが愛しい。


 守りたい、その心♪ 俺は君にクレイジーラブ♪


 「ツッコミダイナミック!」

 「ぐわ~~っ!」


 勇子ちゃんが俺の前でハリセンを召喚して手に持ち、縦回転から叩きつけた。


 彼女とのヒーローごっこで、俺が怪人役をやった時を思い出したよ。


 「進太郎君、夫婦漫才も良いけれど体の張り処は間違えちゃ駄目よ?」


 ほむらさんが俺に忠告をくれる、肝に銘じます。


 俺と勇子ちゃんが漫才をしていると、左手首に装備した変身ブレスレットが光る。


 「おっと、これは呼び出しか。 ほむらさん、お孫さんをお預かりいたします!」

 「お祖母ちゃん、進太郎と出動して来るね♪」

 「うん、二人とも気を付けて行ってらっしゃい♪」


 俺と勇子ちゃんは、ほむらさんに見送られて赤星家を出たのだった。


 マカイジャーの基地である俺の家に戻ると、仲間達が揃っていた。


 「お呼びだてして申し訳ございません、殿下に勇子様」


 戦隊ブルー担当の吸血鬼執事、ザーマスが一礼して詫びる。


 「お帰りなさい坊ちゃん達、お待ちしておりやした」


 イエロー担当の料理人で狼男のガンスが俺達に声をかけた。


 「ああ、ただいま皆。 どんな事件なんだ?」

 「そうそう、緊急なら進太郎に戦艦を召喚してもらわないと」


 俺と勇子ちゃんが仲間達を見回して、用件を尋ねる。


 「はい、実は我々に応援要請が届いたのです」


 シルバー担当、灰色のスーツ姿の銀髪の美青年こと半魚人のギョリンが語る。


 「宮城県の沖合に、深海王国ヒラメトピアの軍勢が出現なのだ!」


 グリーン担当だが、髪の毛の色は紫のおかっぱ頭で白衣姿のフランケン少女。


 装備の開発や整備も担当する、博士枠でもあるフンガーが叫ぶ。


 「良し、急いで出撃だ! ゴーストヘッド号を呼ぶか?」


 俺は空飛ぶ鮫型戦艦を召喚しようとした。


 「お待ち下さい殿下、リュウギョオーで参りましょう♪」


 ギョリンがニヤリと笑い話には聞いていた二号ロボの名を挙げる。


 「凄い、完成してたのね♪」


 乗り物好きの勇子ちゃんが笑顔になる。


 「頑張って作ったのだ♪」


 フンガーが胸を張る。


 「我々も乗り込む単体型の機体との事です」

 「景気よく行きやしょうぜ♪」

 「よっし、マカイジャー出動だ!」


 俺達は一旦、魔界にある第二の基地ゴールドパンプキン城へと移動する。


 変身した俺達が城の格納庫に向かうと、巨大な銀色のしゃちほこ型ロボが鎮座していた。


 シルバーの機体、リュウギョオーに俺達も乗り込む。


 コックピットは、戦艦の艦橋のように広かった。


 室内は、色分けされた各自の操縦席とコンソロールがVの字に配置されている。


 「殿下、下知をお願いいたします」


 先頭の席のシルバーが叫ぶ。


 「良し、リュウギョオー出陣っ!」


 俺の下知と共に仲間達が操作を行い、リュウギョオーが載った作業台が移動する。


 作業台がカタパルトに嵌ると同時に異次元のゲートが開く。


 「ゲートオープンなのだ、ゴー!」


 グリーンがスイッチを入れると、カタパルトからリュウギョオーは撃ち出された。


 ゲートが開いた先は宮城県の沖合が見渡せる空の上。


 眼下では巨大な巻貝から戦闘員が乗るシジミみたいな飛行艇の群れが発進し、地元のヒーロー達と交戦していた。


 「敵飛行隊が来やしたぜ?」

 「遠慮なく迎え撃つわ♪ スケイルミサイル発射!」


 レッドがコンソロールレバーの引き金を引けば、機体の背中からミサイルの群れが飛び出して敵の航空部隊に降り注ぎ撃破して行く。


 「それでは変形いたします。 リュウギョオー、スタンドアップ!」


 シルバーが操作すると、上向きの船尾が下方にスライドしロボの足腰になる。


 船主も左右に開いて肩と腕になり、開いた箇所から人型ロボの頭が飛び出す。


 「リュウギョオー完成!」


 メインパイロットのシルバーが叫ぶ。


 中華の武将風の銀色の巨人、リュウギョオーが誕生した。


 「東北ヒーローの皆さん、マカイジャーが加勢に参りました!」


 俺が外にも通信をオープンにして叫ぶ。


 「ほい、挨拶も終わりなので水流砲発射なのだ♪」


 グリーンの操作で、リュウギョオーの肩鎧の口が開き超高圧の水を放出する。


 水流は再度襲て来た敵の航空隊を撃破した。


 「レーダーに反応あり、巻貝から砲撃が来ます!」


 レーダーで観測していたブルーが叫ぶ。


 「回避運動は任せておくんなせえ♪」


 イエローが自分の席のレバーを動かせば、リュウギョオーが海の上を側転で回り回避して敵の戦艦らしき巻貝の光線を無駄射ちさせた。


 「メインパイロットとして頑張らせていただきます、スクリューナックル!」


 シルバーが叫べば、リュウギョオーの右の前腕が回転しながら飛んで行く。


 だがその拳は、敵の巨大化した戦闘員が自分を犠牲にして巻貝を庇い失敗。


 「敵ながら天晴だがこれで終わらせる、リュウギョトライデントの使用承認っ!」


 俺が自分の席にあるスイッチに拳を叩き下ろす。


 機体の外では、俺達の頭上に雨雲が立ち込め雷と共にリュウギョオーの手に必殺の武器が握られる。


 「殿下の為に我が槍を振るわせていただきます、サウザンドライトニング!」


 シルバーが叫べば、リュウギョオーの持つ巨大な三叉槍に天から稲妻が落ちて穂先を輝かせる。


 雷光を纏った無数の突きが敵艦を貫き、爆散させる。


 「お粗末さまでした」


 シルバーが呟けば、機体が爆炎を背に残心を取る。


 かくして、俺達の二号ロボはデビュー戦を勝利で飾ったのだった。

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