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悪魔の王子は戦隊レッドを守りたい  作者: ムネミツ
第三章:巨大ロボット登場編
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第17話 パンプキンオー、初陣

 「やっぱり、和の要素は良いわね♪」

 「五月の節句と、ハロウィンが同時に来た感じになったな」


 ネットでは俺達の事、年中ハロウィン戦隊とか言われてるけどね。


 「カボチャの胴体が、お盆の精霊馬にも見えますね」

 「いや、日本の技術の凄さがとんでもねえですよ」

 「これがマカイジャーの一号ロボ、パンプキンオーなのだ♪」


 ハンガーの壁に佇む巨大な武者ロボ。


 俺達の巨大ロボット、パンプキンオーだ。


 青い蝙蝠が左腕、黄色い狼が右腕。


 胴体はオレンジの南瓜ランタン。


 胴体から、日本の甲冑のように草摺が垂れて股間を覆っている。


 頭部は赤いフェニックスの兜を被ったツインアイのマスク。


 井伊の赤備えの兜っぽい。


 腰から両足は緑の人型。


 勇子ちゃんの希望から、鎧武者風の外見。


 サイズは五十メートルのスーパーロボだ。


 「腰の刀もナイスね♪」

 「うん、これは玩具化してもそこそこ売れそうだな♪」


 和物好きな外人さんに、通販で売れそう。


 だが、転売は許さない。


 俺達は、新たな仲間であるパンプキンオーの誕生に大喜びした。


 「これで私達も、ロボ持ちヒーローチームよ皆♪」

 「うおっしゃあ、巨大な敵もどんと来いでさあ♪」

 「誠に目出度いですね♪」

 「開発に携わった甲斐があったのだ♪」

 「ありがとうございます、百地さん♪」


 俺は工場長の百地さんにお礼を言う。


 「いえいえ、今後とも御贔屓に♪」


 うん、今度は目も笑ってるなこの人。


 忍者は油断できねえ、きちんと信頼関係を作らねえと。


 「各パーツの機体は、皆さんの変身装置で召喚と送還が行なえます」

 「召喚と送還、稼働のコストの大半はプリンスと勇子ちゃんの魔力なのだ」


 百地さんとフンガーが説明してくれる。


 「うへえ、つまり坊ちゃん達に俺達の分の魔力を肩代わりして貰うわけか」

 「ゲームで言う所の、MPの消費が激しいんですねこの機体」


 ガンスとザーマスが苦い顔になった。


 「つまり、私と進太郎が永久機関の動力源になるって事ね♪」

 「俺達でコスト管理は頑張るよ」

 「機体の燃費の方は、今後改善するようにして行くのだ」


 フンガーが申し訳なさそうに言うが、まあ仕方ない。


 役所への登録など手続きも終え、伊勢神宮の祈祷も受けたパンプキンオー。


 作ってもらった手持ち武装を含め、無事にゴールドパンプキン城へと納品された。


 「分離するとまた、謎なのだ」

 「我々にしかわからない意味ですね」

 「俺だけカボチャなのは、国のシンボルだからな」

 「あんたが心臓って事よ♪」

 「いや、そのデレ方はどうよ?」

 「坊ちゃん、そこは素直に受け取りやしょう?」


 分離して城の格納庫に、十字状態で並んだ各自の搭乗機体達。


 武装のラックには、巨大な日本刀や苦無に金棒。


 刀は鍛冶師の人達が列を組んで打った大技物だ。


 手持ちの火器は法螺貝と和弓、どちらもデカい。


 この巨大な和弓も、職人さん達の手と魂が籠っている。


  他の火器は内臓兵器だ。


 不謹慎だが、使うのが楽しみでもある。


 「進太郎、あんたこの武器達を使いたくなったでしょう♪」

 「そりゃあ男の子だからね、ロマンだよ」

 「魔界なら、そこそこ暴れても怒られないわよね♪」

 「勇子ちゃん、中身が小学生時代に戻ってるよ?」

 「良いじゃない、ひと狩り行こうぜ♪」

 「うんじゃあ、ザーマス達も呼ぶか」

 「仲間外れは駄目だもんね~♪」


 勇子ちゃんの場合は、共犯者を増やしたいだけではなかろうか?


 とはいえ、兵器の試運転や訓練はしないといけない。


 建前が本音の味方をしてくれるって、良いなあ♪


 思考の属性が、秩序にして悪に進んでるがまあそれは後で戻せる。


 「良し、皆の者~♪ ロボで魔獣狩りに出陣じゃ~♪」

 「パンプキンオーの試運転よ~♪」


 作戦室で休憩していた仲間達に、俺は城主として下知を下す。


 「ノリが王子と言うより若殿様なのだ」

 「暴れん坊にはお目付け役が必要ですね」

 「主君の命なら仕方ねえでさあ♪」


 付き合ってくれる仲間達、城を出た俺達は変身してマシンを呼び出す。


 だだっ広い岩山の開けた場所だからできる召喚。


 俺達の変身ブレスが輝き、空の上に火の鳥にカボチャに蝙蝠に狼にフランケンと各自のマシンが現れて俺達を吸い込む。


 操縦は、コンソロールに付いた二本のレバーとシートの肘掛けのスイッチ類。


 俺の操縦席はコックピットの中心。


 俺の担当機体、オレンジパンプキンは合体後に仲間が合流するから広い。


 レッドフェニックスとブルーバットは俺の機体とデルタ編成で空を飛ぶ。


 イエローウルフと緑の巨人、グリーンフランケンは大地を駆ける!


 「良し、合体だ!」

 「「了解っ♪」」


 俺の機体が、緑色の蔦型のジョイントを出す。


 各自の機体はロボットであるが、魔界の生物であるモンスターを素材にしている。


 所謂、生き物と機械の融合体なので普通の機械では無理な動きができた。


 翼を広げたバットは頭が肩鎧になり、下半身が伸びて左の前腕部分に変形。


 ウルフも同様に頭部が肩鎧となり、残る部分が変形し左腕になる。


 グリーンフランケンは、頭が胴に引っ込み前屈姿勢に変形。


 胴体が腰、両腕が右足で両足が左足と下半身になり合体した。


 最後はレッドフェニックス、翼を広げて垂直になれば人の顔が現れて頭部に合体。


 「「完成、パンプキンオー!」」


 合体が完了すると法螺貝が鳴り響く、見事に自分達の操縦で合体できた。


 「決まったわね♪」

 「合体成功なのだ、開発者の面目躍如なのだ♪」

 「良いですねえ、こういう合体♪」

 「よっしゃあ、何か気分が高まて来やした♪」

 「やったぜ皆、宜しく♪」


 コックピット内に全員が揃ったのでハイタッチ。


 仲間達と皆で合体ロボに乗るって、楽しい。


 重厚な音を立て、大地に立つパンプキンオー。


 「オートバランサー、正常作動なのだ」

 「衝撃もスーツとシートで問題なし、動けますぜ♪」

 「各種センサーも正常に作動しておりますよ、殿下♪」

 「エネルギーも問題なし、行けるわ♪」

 「良し、手始めにワイバーンを狩るぞ♪」


 パンプキンオーの出現に反応したのだろうか?


 ワイバーンの群れが山の彼方から、俺達の方へ飛んで来た。


「パンプキンアロー、構えっ!」

「狙い良し、自動補正良し!」

「レッド、お願いなのだ!」

 「見てなさい、プロミネンスアロー!」

 「いきなり必殺技か」


 機体が自動で正しい弓の姿勢を取り、魔力を矢の形に変えて撃ち出す。


 放たれた矢は空中で炎の矢となり、無数に分裂。


 外すことなく着弾した矢は、ワイバーンの群れを射抜き爆散させた。


 「全弾命中、ワイバーンの群れが一気に全滅なのだ!」

 「いや、レッドの力って坊ちゃんと同じくべらぼうだな?」


 グリーンとイエローが驚く、俺も驚いてるよ。


 「いやいや、次代の王妃たるものこうでなくては♪」


 ブルーは拍手してるよ。


 「まあ、ナイトがいるからね♪」

 「いや、俺も負けてられないな」


 レッドが俺のヒーローであると言うように、俺もレッドのヒーローだ。


 レッドが俺を想うように、俺もレッドを守りたい。


 俺達は、互いが互いのヒーローだ。


 子供のころ俺が泣いていた時に、彼女が手を差し伸べてくれた。


 彼女が落ち込んでいる時は俺が手を伸ばした。


 互いが互いを引っ張る機関車だ。


 「ちょっと、ナイト! ロボの試運転中に恥ずかしいこと考えるな!」

 「恥ずかしくても良い、俺は君を愛してる!」


 俺とレッドは、魔王印でリンクしてるのを忘れていたが構わない。


 大事な事は相手に言葉に出して言わないとね。


 「私の方があんたの事、好きなんだから~っ!」


 レッドが叫び、自分の操縦席にある赤いボタンを叩く。


 「まずいのだ! パンプキンファイヤーが出ちゃうのだ!」

 「ひいっ。緊急姿勢変更ですっ!」

 「上だ、上なら何もねえ!」


 ブルーが機体をブリッジの姿勢に変える。


 空に向けて胴体のカボチャランタンの目と口が光り炎が灯る。


 同時に、炎が灯った個所から必殺の熱線砲が祝砲の如く放たれた。

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